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「インタビューは会話をするように」 サービスデザイナーがインタビューで意識していること

こんにちは。NEWhのフルカワです。

大企業における新規事業やサービス開発に特化したデザインコンサルティング&スタジオのNEWhで、サービスデザイナーとして多種多様な企業のサービスコンセプトやビジネスモデル開発のご支援をしています。

直近の私事ですが、プロジェクトで15名の対象者へのデプスインタビューを私1人で実施する機会があり、その中でインタビューの際に意識的・無意識にやっている個人の型があることに気づきました。
NEWhの他のサービスデザイナーでも同様に個人の型があるのかと思い、チームでディスカッションを行い共通するポイントもあれば、異なる気づきとなるポイントもありましたので、今回はそちらについての記事となります。


チームのディスカッションの様子

1. インタビューは会話をするように

チームで共通していたスタンスは「インタビューは会話をするように」でした。
インタビューでは我々が検討した仮説の検証が主な目的です。しかし、対象者からしっかりと話を引き出すには、場の設計が重要です。
「インタビューさせてください。よろしくお願いします。」では対象者も「しっかりした回答をしなければならない」といったマインドセットになり、本音や適切な回答が引き出しづらくなってしまいます。
なるべくリラックスしてもらう、個人の話をしてもらうためのスタンスとしてチームでは挙がっていました。

ただ、あくまでも「会話をするように」が重要です。会話をするだけでは、インタビューの本来の目的、「検証したい仮説に対する顧客の声を引き出す」が失われてしまいます。そのため、会話をするような話の運び方やリアクションを意識するデザイナーの声が多く挙がりました。

具体的なテクニックとしては
・「面白い」、「意外だった」等の感情や感想を述べる
・話すスピードを相手に合わせる
・相槌だけでなくうなずき等の動きを伴うリアクションをする(特にオンラインインタビューの場合)
が挙がっていました。

2. 相手と共通点をつくる

「会話をするように」と近しい部分ですが、主にインタビューが開始した早めの段階で親近感を持ってもらうために「相手との共通点をつくる」ことが挙げられていました。

私がよくやる例としては、対象者に冒頭では自己紹介をしてもらったタイミングで些細な点(誕生日や出身地が近い、最近見た映画が一緒等)でも良いので共通点を見つけ、伝えることを意識的にやっています。

他のデザイナーが挙げているテクニックとしては「相手と同じ言葉を使う」が挙げられていました。対象者の属性や所属するコミュニティによって利用する言葉や言い回しは異なります。なるべく近しい属性だと感じてもらうためには相手と同じ言葉を使うことが有効なテクニックであると考えられます。

上述2点はインタビューで一般的に言われている「ラポール形成」(インタビュー対象者との信頼関係の構築)につながる部分です。
インタビューに慣れておらず、初対面のインタビュワーに対して自身の話をすることが求められる対象者は緊張しており、自身の話をしづらい心理的状況です。
そのため、緊張を解きほぐし、話しやすくするためには関係性(ラポール)を構築することが重要になります。
そのためインタビューの際には、まず対象者とラポールの形成をし、話しやすい環境をつくることがインタビューの成功へとつながります。
因みに、NEWhが提供しているイノベーション人材育成プログラムではこのような形でインタビュー時のラポール形成の手法を伝えております。

イノベーション人材育成プログラムのラポール形成スライド

3. 「なぜ?」はなるべく使わない

こちら2点の関係性を構築するためのラポール形成とは少し異なり、対象者から回答を引き出しやすくためのポイントです。
アンケートとインタビューの異なる点として、「顧客がなぜ、そのような行動や感情になっているのか?」が得られる点があります。
しかし、「なぜ、XXXしたんですか?」という聞き方では、対象者は理由を言語化しなければならず回答に難しさを感じてしまう、「批判されているのでは?」と身構えてしまう可能性があります。

そのため、なるべく「なぜ?」は使わずにその他の5W1H(いつ、何を、どこで、誰が、どのように)を活用して質問をするように意識している、というデザイナーの声もありました。
具体的には「どのような時にそう感じましたか?」や「そう思ったきっかけはなんですか?」等、質問の切り口を変えていくやり方です。

これは自分も意識しながらインタビューをしているのですが、なかなか難しく、より良いインタビューをするためには直していかなければならないと感じているポイントです。

その他に挙がっていたテクニック

上述以外にも挙がっていたポイント、テクニックも幾つかご紹介します。

「インタビューの全体像を冒頭に伝える」
インタビュー以外でも同様ですが、自分が何を求められているのか?、どのように進行する場なのかがわからないと不安になります。デザイナー全員で共通していましたが、細かな配慮ではあるが必ず行う重要なテクニックとして挙がっていました。
具体例としては「前半はXXXに関してお伺いさせて頂き、後半はXXXについてお話頂きたいと思っております。」と伝える形です。

「回答してほしい内容のイメージを伝える」
一部のデザイナーから挙がっていたテクニックです。設問によっては対象者がどのように回答して良いのか迷う、対象者自身では考えたことのない設問のため回答イメージが湧かないという場合があるため、その際に利用するそうです。イメージを伝えることによって、対象者の回答がそのイメージに引っ張られてしまうのを避けるために幅を持った複数の回答イメージを伝えるのがポイントになります。

「発言をオウム返ししつつ、まとめる」
インタビュー対象者が話してくれた回答を理解していることを理解していることを伝えるためのテクニックとして挙がっていました。私個人はあまり活用したことがなかったのですが、インタビュー対象者へ興味関心がある、話を理解していることを理解してもらい、より話を引き出しやすくなるテクニックとしては活用できそうです。

実践する際のマインドセットとちょっとしたテクニック

とは、言いつつ読んでいる方では「難しそう」や「自分にできるのか不安」と感じる方もいると思います。
私自身、上記を説明すると実際にクライアントからも言われることも多いです。

ただ、上記であがっているテクニックは基本的にはインタビューに限った話ではなく、顧客への営業、社内の打ち合せ、飲み会、デート等、日常のコミュニケーションでみなさんが実践・意識している内容と大きく違いはないと思います。
営業が「案件を獲得する/購入の意思決定をしてもらう」を目的であるのに対して、インタビューは「検証したい仮説に対する顧客の声を引き出す」と目的が変化しているだけで、やっている内容は目の前の対象者を理解し、コミュニケーションを行うということに違いがありません。

「インタビュー」という名前が付くと少し小難しいように感じてしまうだけです。
私自身はインタビューの冒頭で対象者に「本日はインタビューという形でお時間を頂いていますけど、ざっくばらんにお話がしたいだけなので、しっかりした回答をしようと思わず、かしこまらずにリラックスして参加してください。」と伝えるようにしています。
これは対象者に対してだけではなく、自分自身に対してもマインドセットをつくるための目的があります。
達成したい「検証したい仮説に対する顧客の声を引き出す」がコミュニケーション・対話を通じて達成できれば良く、わざわざ緊張感が生まれる「インタビュー」という言葉は場面によっては敢えて使わない方が効果的だと考えているためです。

まとめ

今回は、NEWhのサービスデザイナーがインタビューを実施する際に意識しているスタンス、テクニックをお話ししました。
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