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3分でわかるH-ⅡB

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有人宇宙探査の鍵となる「きぼう」、「こうのとり」

8月30日、国際宇宙ステーション(ISS)にある日本の実験棟「きぼう」の完成と物資補給船「こうのとり」の初号機打上げ10周年を記念したイベントが開催されました。

ISSは複数のモジュール(実験棟)から構成され、日本のモジュールである「きぼう」はISSで最大の実験施設です。無重力(微小重力)下での実験をはじめ、小型衛星の放出にも活用されています。

「こうのとり」はISSへ物資を輸送するための補給船です。最大6tの物資を輸送でき、ISSで不要になったものを搭載して地球に戻し、大気圏再突入時の熱で処分することも可能です。
宇宙飛行士の生命線であり、当然ながら高い安全性が求められますが、これまでのミッションで培われた技術やノウハウによって支えられています。

そして9月11日には、こうのとり8号機を搭載したHⅡ-Bロケットが打上げ予定です。

こうした日本のモノづくりが、宇宙ステーションでの人類の活動を支えていると考えると誇らしくなりますね。

H-ⅡBロケットー日本の技術力の結晶

H-ⅡBロケットは、JAXAと三菱重工業が共同開発したロケットです。JAXAは工場を持っていないので、三菱重工が製造と打上げを担っています。
主なミッションはこうのとりの打上げで、ロケットは液体燃料エンジンによる二段のブースターと、固体燃料エンジンによる4基のサイドブースターから構成されています。

ちなみに、日本の国産ロケット製造の歴史は日米交換公文に現れています。以下にまとめていますが、H-Ⅱロケットは、地球の重力だけでなくアメリカのコントロールからも脱出する機体だったといえます。

H-ⅡBは、これまで7回打ち上げられ、全て成功を収めています。
開発費用は271億円、打上げ費用は118〜147億円とされます。

そしてH3へー安く、柔軟に、そして安全に

現在、JAXAと三菱重工をはじめとする多数の民間企業によって、より早く、安く、安全に宇宙空間と地球を繋ぐ新型ロケット「H3」が開発されています。2020年には試作機が打ち上げられるようです。

近時、衛星データビジネスが加速する中、いくら優秀な衛星を作ったとしても打上げ手段がなければ意味がありません。より多く、より安く、より安全に打ち上げることのほか、柔軟に対応できることも必要でしょう。
H3は、こうしたニーズに応え、有人探査を支える新たな「希望」として期待されています。

マンガ「Japan as No.1」

冒頭のマンガを作成いただいたのは、昭和が生んだ天才美少女漫画家あんじゅ先生が運営するオンラインサロン「あんマンサロン」に所属するぽっくすさんです。
いつもありがとうございます!

宇宙法、ロケット美少女化という無茶振りミッションにも対応できてしまう「あんマンサロン」はこちら↓

H-ⅡBの魅力は、有人宇宙探査に不可欠な補給ミッションを担い、国際協調の基盤となっているところではないかと思います。
成功率の高さを優等生で表現していただきつつ、製造に関わっている多数のエンジニアの方々への敬意も込めて、マンガにしていただきました。いつもながら、芸が細かい!!

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現在日本には、有人打上げを可能とする法律はありません。それどころか、有人打上げが可能な環境やノウハウの蓄積も課題です。
しかし、今の環境下でも人類の宇宙進出を推し進めるため、日夜開発に勤しんでいるエンジニアがいます。

かつてモノづくりで世界一となった日本の姿は、今はないかもしれません。
しかし、赤道に近く、東側が海であるという恵まれた環境、これまでの補給ミッションで集積された技術やノウハウ、はやぶさ・はやぶさ2の快挙からも見て取れるように、宇宙分野においては、日本が世界をリードできる可能性が残されています。

Japan as No.1を取り戻せるかどうかは、日本の宇宙技術にかかっているのかもしれません。

参考:
・JAXAウェブサイト「宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)」
・JAXAウェブサイト「日本実験棟「きぼう」/国際宇宙ステーション(ISS)」
・JAXAウェブサイト「H-IIBロケット」


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