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3分でわかる南アフリカの宇宙活動法

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アフリカの経済成長が注目される中、通信環境や食糧問題といった社会課題を解決するための宇宙技術が注目されています。

2019年8月28日から30日にかけて開催された「第7回アフリカ開発会議(TICAD7)」では、森林管理・農業・インフラ管理などの分野での衛星データ活用、JAICAとJAXAが協力して行う「SARプラットフォーム構想」が発表されました。

ところで、アフリカで宇宙技術を活用する土台としての法整備はどのような状況なのでしょうか?

アフリカ宇宙事業法ー組織の規律色が強い

アフリカでは、1993年に南アフリカ宇宙事業法が制定されています。これは、宇宙活動の管理監督者や管理監督の方法について定めるものです。条文を読む限りは、「ビジネス」に焦点を当てているというよりも、その監督者の組織について規律する色が強いといえます。

宇宙の定義が書いてある

南アフリカ宇宙事業法は、「宇宙空間」を定義する珍しい法律です。
宇宙の定義については、高度100km以上とする説、80km以上とする説、宇宙物体の機能によって定まるという説等様々で、法的な定義は決まっていません。
本法によれば、「宇宙空間」とは、「地表の上方の空間であって、地球周回軌道上で物体を運用することが実際に可能な高度以上の空間」とされています。

評議会

南アフリカの宇宙政策を推し進める役割を担っているのが南アフリカ宇宙問題評議会です。

知識・経験を持つ者(宇宙産業からの任命者含む)によって構成される評議会は、「アフリカの宇宙政策を可能な限り効果的かつ経済的に実施すること」を目的とします。そのために、評議会は以下のことを実施するとされています。

①大臣に助言
②宇宙問題に関する陳述を聞く
③条約など国際的な合意から生じる事項を監督、実施
④免許の交付、修正、停止、取消し
⑤宇宙産業へ参画する個人・機関に対し、評議会への登録、情報を宇宙産業・能力の向上・調整のために利用するよう奨励
⑥政府機関・宇宙産業から見識ある人物を評議会の委員として指名
⑦個人・機関が宇宙問題に秩序正しく責任をもって参加するように進める
⑧評議会の活動を適切かつ可能な限り広範に公表
⑨その他

免許制

以下の行為(要約しています)については、評議会によって発行された免許が必要となります。

①南アフリカ国内(共和国の領域内)からの打上げ
②南アフリカの法人(代理含む)による他国からの打上げ
③打上げ施設の運用
④南アフリカの法人による次の宇宙活動への参加
 ・ 条約や国際的な合意に基づく、国家としての義務を伴う宇宙活動
 ・国益に影響を与える可能性のある宇宙活動
⑤大臣によって定められたその他の宇宙活動、宇宙関連活動

これらの免許を交付するにあたっては、以下の点が考慮されます。

①最低安全基準
②国益
③国際的な義務及び責任

もし、免許を得ずにこれらの行為を行った場合には刑罰があります。

責任の制限

国家・国家の使用人・大臣・評議会は、本法に基づき誠実に、かつ過失なく行動していれば責任を負わないとされています。
最終的に政府がロケットの打上げ事故に伴う責任を負担する政府補償があるフランスやアメリカ、日本と構造が異なっています。

参考:
・共和国における一定の宇宙活動を管理し及び監督するための評議会設置を規定するため、評議会の諸目的及び任務を決定するため、管理し及び監督する方法を規定するため、及び関連諸事項を規定するための法律
https://space-law.keio.ac.jp/pdf/datebase/each_countries/south_africa/19930906.pdf


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