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ロケットの打上げ

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ロケットの打上げをめぐるルールを3分で解説しています。
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#ロケット

3分でわかる宇宙活動法〜ロケット打上げ計画〜

3分でわかる宇宙活動法〜ロケット打上げ計画〜



Falcon HeavySpaceXのFalcon Heavyが初の商業打上げを成功させました。「Arabsat-6A」というサウジアラビアの通信衛星を搭載し、ブースターの自動着陸にも成功しています。
アメリカではロケットを打ち上げる際、商業宇宙打上げ法に基づき運輸省連邦航空局(FAA)の許可が必要ですが、日本で人工衛星を搭載したロケットを打ち上げるには、宇宙活動法によって内閣総理大臣の許可が

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3分でわかる宇宙活動法〜第三者損害賠償〜



宇宙活動法3つの柱宇宙活動法は、ロケットや人工衛星の打上げ・管理の許可制、保険の義務付け、損害賠償制度の整備によって、宇宙条約の要請に応え、宇宙ビジネスへ新規参入を促進することを意図したものでした。今回は、その3つの柱のうち、万が一事故が発生した場合の損害賠償制度について取り扱います。

第三者損害賠償制度の内容1 無過失責任
2 責任集中
3 損害賠償担保措置(保険・供託)

無過失責任ロケ

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3分でわかる打上げ契約

3分でわかる打上げ契約



宇宙品質にシフトMOMO3号機打上げ成功5月4日、インターステラテクノロジズのロケット「宇宙品質にシフトMOMO3号機」の打ち上げが成功しました。プレスリリースによれば、
飛行時間8分35秒、最大高度113.4kmに到達したとのことです。
民間企業で民生品を使ったロケットの製造・宇宙空間への到達が可能であることが実証され、今後、打上げビジネスの拡大が見込まれますが、衛星を打ち上げようとした場合

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3分でわかる打上げ国

3分でわかる打上げ国



なぜ重要か?宇宙損害責任条約2条は、ロケットなどの事故によって地表で損害を発生させた場合、「打上げ国」が無過失責任を負うと規定しています。
したがって、打上げ国がどこなるかは非常に重要です。

宇宙損害責任条約1条(c)、宇宙物体登録条約1条(a)は、「打上げ国」を以下のように規定してます。

①宇宙物体を打上げ、又は行わせる国
②宇宙物体が、その領域又は施設から打上げられる国

これを分解し

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3分でわかる米国商業打上げ法アウトライン



海外でロケットを打ち上げるには?
日本では、宇宙活動法でロケットを打ち上げる手続が規定されていますが、海外ではどうなっているのでしょうか?今回はアメリカのロケット打上げルールである「米国商業打上げ法」を取り上げ、その全体像についてみていきます。
なお、宇宙活動法についてはこちらもご参照ください。

アメリカの規制緩和と4つのルール米国商業打上げ法(Commercial Space Launch

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3分でわかるサブオービタル

3分でわかるサブオービタル



サブオービタルとは?ー周回軌道に乗るかどうかサブオービタルとは、周回軌道に乗るのではなく、打上げ後弾道軌道を描いて高度約100km付近を飛行するものをいいます。
例えば、インターステラテクノロジズ社のMOMOや、Blue OriginのNew Shepard、Virgin GaracticのSpace Ship2が行う飛行形態がこれにあたります。他方、三菱重工のH-ⅡBやSpaceXのFalc

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3分でわかるオランダの宇宙活動法アウトライン

3分でわかるオランダの宇宙活動法アウトライン



ロケットや人工衛星を打ち上げるための根拠法は、日本やアメリカにだけ存在するものではありません。今回は、オランダの法律を紹介します。

宇宙条約で求められる監督体制と許可制そもそも宇宙条約は、宇宙活動の基本的なルールとして、民間企業などの非政府団体の宇宙活動を監督する義務について定めています(2条)。

月その他の天体を含む宇宙空間における非政府団体の活動は、条約の関係当事国の許可及び継続的監督

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3分でわかるフランスの宇宙活動法アウトライン

3分でわかるフランスの宇宙活動法アウトライン



ロケットや人工衛星を打ち上げるための根拠法は、日本やアメリカにだけ存在するものではありません。今回は、フランスの法律を紹介します。

宇宙条約で求められる監督体制と許可制そもそも宇宙条約は、宇宙活動の基本的なルールとして、民間企業などの非政府団体の宇宙活動を監督する義務について定めています(2条)。

月その他の天体を含む宇宙空間における非政府団体の活動は、条約の関係当事国の許可及び継続的監督

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3分でわかるロシアの宇宙活動法アウトライン

3分でわかるロシアの宇宙活動法アウトライン



ロケットや人工衛星を打ち上げるための根拠法は、日本やアメリカにだけ存在するものではありません。今回は、ロシアの法律を紹介します。

宇宙条約で求められる監督体制と許可制そもそも宇宙条約は、宇宙活動の基本的なルールとして、民間企業などの非政府団体の宇宙活動を監督する義務について定めています(2条)。

月その他の天体を含む宇宙空間における非政府団体の活動は、条約の関係当事国の許可及び継続的監督を

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3分でわかる中国の宇宙活動法(民生用宇宙飛行打上げプロジェクト許可管理暫定弁法)

3分でわかる中国の宇宙活動法(民生用宇宙飛行打上げプロジェクト許可管理暫定弁法)



ロケットや人工衛星を打ち上げるための根拠法は、日本やアメリカにだけ存在するものではありません。今回は、中国の法律を紹介します。

宇宙条約で求められる監督体制と許可制そもそも宇宙条約は、宇宙活動の基本的なルールとして、民間企業などの非政府団体の宇宙活動を監督する義務について定めています(2条)。

月その他の天体を含む宇宙空間における非政府団体の活動は、条約の関係当事国の許可及び継続的監督を必

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3分でわかるイギリスの宇宙活動法と宇宙産業法

3分でわかるイギリスの宇宙活動法と宇宙産業法



ロケットや人工衛星を打ち上げるための根拠法は、日本やアメリカにだけ存在するものではありません。今回は、イギリスの法律(正式名称:「この国と関連する者による宇宙物体の打上げ及び運用及び宇宙空間におけるその他の活動の実施に関して連合王国の国際的な義務への適合を確保するため免許交付その他の権限を国務大臣に与える法律」)を取り上げてみます。
※訳:https://space-law.keio.ac.j

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3分でわかるSpaceX vs. Blue Origin特許無効手続(Inter Partes Review)

3分でわかるSpaceX vs. Blue Origin特許無効手続(Inter Partes Review)



宇宙開発競争から知的財産競争へ?アメリカの宇宙開発企業といえば、スペースXとブルーオリジンが有名です。
世界的決済アプリで有名なPayPalの前身X.comの創業者イーロン・マスクにより創設されたスペースXは、打上げ後に再度地上に戻ってきて再利用することができるロケット「ファルコン9」と、世界最大級のパワーを持つ「ファルコンヘビー」による打上げサービスが主力製品です。
現在は火星移住計画に活用

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