ダブリーの世界に棲む魔物の話
配牌
僕は南家、ドラは1萬だった。
配牌と第1ツモがコチラ。
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テンパっとるやないかいっ!!
さすがにちょっとテンション上がるよ、これ。
ダブル立直って響きだけで軽くご飯3杯いけますよね。
嘘です。
そこまでではないです。
とはいえ、このダブリーチャンス。
どうしてくれようか…。
打点で考えるなら、打9筒の5索単騎でダブル立直断么九5,200点也。
…いやいや、5索単騎はさすがにヤンチャがすぎますよ、えぇ。
「ダブリーの待ちなんてわからんし、だいたい当たらんよ」なんてシャア・アズナブル並みにゴリゴリ抉ってこられたらひとたまりもありませんって。
チキン・オブ・チキンの僕には耐えられませんよ。
じゃあ、5索切って9筒単騎にする?
まぁ誰かがジェットストリームアタックならぬ「端っこアタック」って心の中で呟いた瞬間がそいつの命日なんだけど、ダブリーのみの2,600点でOKって思える?
いや、それは無理な話よ。
だって、立直断么九でも同じ2,600点よ?
何なら萬子が下に伸びたらドラが使えるかもしれないし、三色だって一盃口だって…!
これ、ウチの子の才能無限大ってことやんか!
この間だいたい10秒くらいでしょうか。
「(長考して)すみません」と呟くていたんの心の内で、我が子の可能性を信じてやまないバカ親が爆誕した。
ってことで、9筒とお別れして、一旦は5索単騎ダマ。
ひょっこり出てもロンはしませんよ!
ウチの子はできる子なんやから!
素敵な出会いへの期待に胸躍らせながら、ていたんは2巡目へと進むのであったー。
2巡目
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7索…
まぁ、来るよね…
でも、こんなにあっさり来ちゃうんやね…
とはいえ、嵌6索待ちにするなら5索単騎にしてるのよ。
ごめんね、7索。
君とは仲良くできない。
君のおかげで6索とも仲良くできなくなったわけやけども。
いや、君を責めてるわけじゃないのよ。
これで索子の上はほぼ死に体なわけやけども。
いや、責めてはないのよ。
とりあえず、まぁ…何か…ごめんね。
345の三色はまだ見てたい。
7索ツモ切り。
3巡目
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7索 is back!
ターミネーターか!
7索単騎の選択肢はなかったよ。
さっき伝えた話、忘れたんかな?7索くん。
いいかい?
よく聞くんやで。
もう戻ってくるな。
7索ツモ切り。
4巡目
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6索…
そろそろ来るんちゃうかと思ってたよ…
空気読めよ…
いや、ある意味読んでるんか…
…そんな話ちゃうねん!
お前と7索、順番が逆!
順番が逆なの!
お前が今来たところで!
もう!
どうにも!
ならないの!!
手遅れなの!!
6索ツモ切り。
5巡目
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8索ぉぉおお!!
索子の上は!!
もう!!
1枚もいらんって!!
ずっと言うてるやろ!!
8索怒りのツモ切り。
6巡目
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1索ぉぉおお!!
…なんでやねん。
お前だけは違うやん。
確かに索子の下やけども。
確かに待ちは23索待ちになるけども。
違うやん。
お前を採用したら1,300点やん。
今までの何よりも安くなっとるがな!!
帰れ!!
1索ツモ切り。
7巡目
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待ってた…!
本当に待ってたよ!
あかん…ちょっと泣きそうや…
もう索子とはお別れしよう。
これからは筒子で幸せ掴も。
一盃口目指そ。
5索、ごめんな。
期待かけすぎたな。
ゆっくり休んでくれ、5索。
あとは任せろ。
5索切り。
8巡目
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さんぞぉぉぉおおおおおおお!!!
遅いんじゃぁあああああああほぉぉぉおおお!!!
お前さえ…お前さえ早かったら…
あほぉぉぉ…
5筒か7筒ツモって一盃口!
2筒とかツモって立直断么九でももう良い!
最低でも2,600点持って帰ろ!
ダブリーを諦めた決断を!
英断だと信じたい!
俺の手は!
出来る子なんやぁぁあああ!!!
3索ツモ切り。
9巡目/終焉
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・・・。
・・・。
・・・。
ハァ?
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「リーチ」
「ロン」
「2,000点です…」