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私の半分

ある城の一室。

私は、恋人と久々に逢える時間に期待を膨らませ、
いつもは気にかけない見た目に何時間もかけ、ドレスを身に纏い、
そわそわしながら、部屋でその時を待っていた。

すると、ドアがノックされ、彼が入ってくる。
私が好きなサラサラの髪に、満面の笑みで近付いてくる彼に
待っていられずこちらからも近付く。

たった数日なのに、もう、何年も逢ってなかったかのように、
二人は強く抱きしめあった。

彼だけはいつも私の味方で、私も彼にとってそんな存在でありたくて、
お互いが側にいるだけで笑顔になれる二人だった。

二人でベッドに横になり、逢えなかった時間にあった事を話していると、
誰かが唐突にドアを開けて入ってきた。

「あ・・・お邪魔してます。」

彼の腕の中から飛び起きて、慌てて挨拶をする私を、
チラッと横目で見たのは一瞬で、彼女は彼に話しかけた。

「帰ってきてたのね。お帰りなさい。」

「はい、先ほど戻りました。ただいま、叔母様。」

彼は、いつもの笑顔を携えて、整った所作で挨拶を交わす。
こんな時にいつも感じる。
私は庶民で、教養もなく、彼の傍にいていいのだろうかと。

それでも、離れられないのは、
私がそう思うことを知っている彼が、彼女らに見せる笑顔ではなく、
私にしか見せない笑顔で私に微笑むから。
私が落ちこんでいる時には、いつも寄り添ってくれる。
何か面白いことを見つけて話すと、同じように面白がってくれる。
食べ物や、音楽、景色など、感動したものは共有して二人の想い出に。
たまには喧嘩もするけど、お互いに自分の気持ちを主張できるし、
相手の気持ちも理解できるから、仲直りも早い。

だから、どんなに辛いことがあっても、私が私でいられる。
こんな日が来るなんで思ってなかったあの頃の私に、
大丈夫、一人じゃないから、あなたはあなたらしく生きるんだ!
と伝えたい。

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涼
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