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経済学の数式を記号の定義からしっかり理解する〈インセンティブ制約〉
経済学の公式で定義をきちんと書いてみようと思います。
経済学の教科書では、記号の説明不十分で、読んでいても頭に入ってきません。そこで、記号の定義を含めて詳しく書いてみようと思います。今回はインセンティブ制約のことについて書きます。
インセンティブ制約の式
$$
p_{H}u(w_{S})+(1−p_{H})u(w_{F})−d≥p_{L}u(w_{S})+(1−p_{L})u(w_{F})
$$
用語の定義
プリンシパル: 自身の利益を実現するためにエージェント(Agent)に行動を委任する者。
例えば、会社へ出資する「株主」が該当する。
エージェント: 特定の目的を持つ他者(プリンシパル)のために行動を実行する者。
例えば、株主から出資を受けて会社を経営する「経営者」が該当する。
各記号の意味
$${p_{H}}$$: 望ましい行動を選択した時の成功確率
望ましい行動とは、エージェントの行動によって得られる結果が、プリンシパルにとって好ましい影響をもたらす行動です。たとえば、経営者が株主の利益になる行動をとる場合です。
$${p_{L}}$$: 望ましくない行動を選択した時の成功確率
望ましくない行動とは、エージェントが、自分の利益を優先し、プリンシパルにとって不利益になる行動を取ることを指します。このような行動は、エージェントが自身の利益を優先する場合に起こりやすく、双方にとっての利益のバランスを失ってしまいます。
$${u(w_{S})}$$: 成功時の報酬に対する効用
成功時のエージェントに対する効用を指します。
効用は報酬$${w_{S}}$$の関数となります。
$${u(w_{F})}$$: 失敗時の報酬に対する効用
失敗時のエージェントに対する効用を指します。
$${d}$$: 望ましい行動をとるためにかかるコスト
エージェントが望ましい行動をとるためのコストです。エージェントの努力やリスクを表します。
数式の解釈
この数式は、エージェント(経営者)がプリンシパル(株主)にとって望ましい行動を選択するための条件を示しています。
経営者に対して株主が望ましい行動をとってもらうときの制度設計の条件となります。
おわりに
インセンティブ制約は、プリンシパル・エージェント問題の解決に必要な条件です。契約理論における基本的な考え方です。制度設計を行うときに、この考え方が基本となるのです。