ひらけ!アマテラスちゃん2 〜前日譚〜
「山奥で会ったタヂカラオ」
あたしがタヂカラオに初めて会ったのは、山奥の静かな川辺だった。なんでそこに行ったかって?まあ、いろいろあって人目を避けたかったってやつ。
その日、ふとした拍子に見つけた小道を歩いてたら、すごい大きな男の人が川で魚を捕ってたの。正直、最初はびっくりした。だって、めちゃくちゃ体が大きくて、顔も少し怖い感じなんだもん。
「えっと……こんにちは?」
思い切って声をかけてみたら、彼は魚を持ったまま振り向いた。目が合った瞬間、なんか、あたしの方がドキドキしちゃって。
「……あ、こんにちは。」
意外に控えめな声で返事してくれた。なんていうか、そのギャップがすごくて、「怖い人」って感じが一気に消えたんだよね。
「ここで暮らしてるの?」って聞いたら、彼はちょっと困ったような顔で頷いた。
「俺、力が強すぎて……村の人たちから怖がられてるんです。だから、ここで一人で暮らしてる方が気楽で。」
あたし、なんか胸がぎゅっとなった。だって、彼は誰も傷つけたくないから自分を隠してるんだって、すぐ分かったから。
「でもさ、その力、きっと誰かの役に立つよ。」
思わず言っちゃったんだよね。彼は「そんなことあるわけない」って顔してたけど、少しだけ笑ってくれた。
その後もあたしはたまに彼のところに遊びに行った。魚を焼いてくれたり、山の話をしてくれたり、なんか彼との時間はすごく穏やかで落ち着くの。タヂカラオはね、本当は優しくていい人なんだ。
彼の力が本当に役立つ時が来るなんて、この時はまだ思ってもみなかったけど。
「アメノウズメの笑顔の秘密」
アメノウズメと初めて会ったのは、どこかの村のお祭りだったと思う。遠くからでも分かるくらい、みんなの真ん中で楽しそうに踊ってた。太鼓のリズムに合わせて体を動かして、キラキラした笑顔。あたし、その場で完全に釘付けになったよ。
「すごいね、あの人。」
ぼそっとつぶやいたら、隣にいた村の子が「ウズメちゃんはいつもそうなんだよ」って教えてくれた。
その後、あたしはアメノウズメに挨拶したの。
「すごい踊りだね。楽しかった!」って言ったら、彼女はにっこり笑って「でしょ?」って答えた。
でも、それから少し話して分かったんだけど、彼女はただふざけて楽しんでるだけじゃなかった。村の人たちが争い事ばかりして、ギスギスしてたのを、笑顔と踊りで変えようとしてたんだ。
「笑ってれば、みんなちょっとは柔らかくなるでしょ?」って、さらっと言ってたけど、その言葉には重みがあった。
村のおじいちゃんが「あんたのおかげで、隣の家と和解できたよ」って感謝してるのを見て、あたしはウズメちゃんの本当のすごさに気づいたんだ。
彼女って、ただのお祭り好きじゃない。周りのことをよく見てて、誰よりも優しい人なんだよね。あたしは、そんなウズメちゃんのことが大好きで、気づけば一番の友達になってた。
【これで終わりです。よかったら感想を聞かせてね。】