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岐阜教区学習会レポート

令和6年1月23日、岐阜教区で宗派主催の学習会が開催されました。
参加者は現地84名、オンライン31名、合計115名。参加者の内訳は住職、坊守、衆徒、門信徒と様々で、この問題が一部の僧侶だけにとどまらず門信徒を含めた広い範囲で高い関心を寄せるものであると感じました。

宗派からは、公文名総務、満井総合研究所所長、中井統合企画室幹事の3名。座長は岐阜教区組長会会長でした。学習会では真宗宗歌、恩徳讃の唱和がありましたが、「新しい『領解文』(浄土真宗のみ教え)」(以下、新領解文とする)の唱和はありませんでした。

全体として、僧侶だけでなく、寺院総代、門徒推進委員など、ご門徒様からも質問が次々となされ、予定時間を超過する白熱した質疑応答になりました。最後、この新領解文の唱和を岐阜教区として受け入れるか、この学習会の説明で新領解文について納得したかを採決したところ、現地のほぼすべての参加者が「受け入れない」「納得しない」に挙手され、総局に強烈な「NO」を突き付けた結果となりました。

以下、記憶に残った質疑についてだけレポートします。

教学的な問題

藤田祥道司教和上からは、今回の出来事は必ず後代の研究者による検証がなされる。それに耐える行為を総局は行っているようには思われないこと。新領解文の英訳版を読み翻訳すると、「私の煩悩は仏陀のさとりにいだかれている」となっており、日本語版の「本来一つゆえ」とは異なる表現に英語版には修正が加えられている。このように日本語版の表現と英語版の表現に矛盾があるとの指摘がありました。

今まさに苦しんでいる人たちにこの文章は届くのか?

被災地(高岡教区)選出の公文名総務に対しては、被災され将来が見えず、また家族を失って生きている今が地獄という方たちがおられる。あなたはその方たちに「生きていることに感謝して」と読ませるのか?との質問がありましたが、総務はこれに答えることができませんでした。また、本当に救いが必要な人に間に合わない浄土真宗のみ教えがあるのか?との質問にも答えることが出来ませんでした。

唱和をやめて下さい!お願いします!

上記の質疑を受けて、視覚障害をお持ちの僧侶が涙を流し感情を爆発させながら、この新領解文は私たち社会的弱者に「お前は救われない」「努力が足りない」と言われているように聞こえる。今日は同じ障害を抱える仲間たちから質問を託されてやってきた。せめて唱和をやめさせて下さい、返事を下さい、と切実な質問が発言されました。これに対しても明確な返答はありませんでした。

門徒は軽んじているのか?

門徒推進委員の女性からは、今現在一体どれくらいのお寺が領解出言をお寺の行事でやっていますか?ほとんどやっていないと思います。それなのにそもそもなんで今頃領解文なんですか?ここからわかりません。また、新領解文の中には「これもひとえに宗祖親鸞聖人と法灯を伝承された歴代宗主の尊いお導きによるものです」とあるが、そこにこれまで宗門を支えてきた門徒への思いは全くありません。門徒は軽んじてもいいんですか?これを聞いたとき、私は本願寺は終わったと思った。仲間はもう本願寺にお参りするのはやめようという者もいる。私もそんな風に思った。撤回は考えられないのか?という厳しい声に対しても、明確な答えとしてあったのは、宗規上撤回は考えられないというものだけでした。

本当にご門主が出されたのか?

総代からは、この新領解文は本当にご門主が出されたものですか?あまりに石上元総務の書籍と類似の文言が多い。著作権侵害に当たるように思われる。との指摘もありました。

100%唱和?

新領解文が発布されもう一年が経過したが、総務のお寺では100%唱和を達成したか?100%唱和を達成するためにどのような取り組みをしているのか?との質問に対しては、100%唱和は達成していない。すべての法座ではないが、それなりに取り組んでいるとの回答でした。

これは本当に浄土真宗なのか?

これは本当に浄土真宗でしょうか?自己啓発セミナーと差別化をどこでつけていくのですか?とても若い方が魅力を感じてもらえるように思えない。私には本願寺の終わりの始まりではないかと感じられる。取り下げもできない、修正もできないという頑ななとらわれの心をほどいてくださいという意見が出されました。これに対して、満井所長からは、ボランティアなどに積極的に参加される若い方にこの新領解文がどう響いていくのか。そのような方たちを誘引する一つの入り口になりうるのではないか、という従来通りの返答がなされました。

学習会での意見はどのように反映されるのか?

今回の学習会でだされた総局側の回答、また持ち返るといわれたことについてどのように検討がなされ回答が出されたかを、どのような形で全ご門徒や寺院にお伝えいただけるのか教えてほしいという質問もありました。
これに対して中井幹事からは、この学習会は宗務の基本方針に基づいて実施されているもので、今度の定期宗会で次年度の宗務基本方針というものが諮られる。その際のスタンスがこの学習会で頂いた意見への総局の対応となる。あげられた質問いちいちについて答えるということは慎重に考えたい。

賦課金の上納に関わってくるのではないか?

この新領解文を浄土真宗のみ教えと認めることはできない。そうすると賦課金の上納できない状態ができるのではないかと考える。そういうことが起こりうることは考えておいてほしい。との意見も出されました。



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