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親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要御満座の消息
2023年5月21日、慶讃法要の最終日にご消息が発布されました。これまで、新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)に関して繰り返し述べられてきましたが、今回のご消息ではそれに全く触れられていませんでした。
ここに、ご消息を全文転載します。
本年3月29日より5期30日間にわたってお勤めしてまいりました親鸞聖人御誕生850年・立教開宗800年慶讃法要は、本日をもってご満座をお迎えいたしました。このたびの50年に一度のご勝縁に国内外より多くの方々にご参拝いただき、厳粛かつ盛大にご法要をお勤めすることができましたのは、仏祖のお導きはもとより、僧侶・寺族・門信徒など有縁の方々のご懇念のたまものと心より感謝申し上げます。
私たちが浄土真宗のみ教えを確かな依りどころとして生きることができるのは、親鸞聖人が『顕浄土真実教行証文類』(教行信証)を著され、『仏説無量寿経』に説き示される阿弥陀如来の本願名号の真実の教えを明らかにされるとともに、聖人のみ跡を慕う多くの先人方が、み教えに生かされる喜びを今日まで大切に伝えてこられたからに他なりません。
私たちは阿弥陀如来の智慧の光明に包まれ、照らし出されることによって、今まで気づかなかった罪業深重・煩悩具足という自身の姿とともに、如来の広大な恩徳を知らされます。そして、このような私たちが、如来に慈しまれていると同時に私の悲しみを如来の悲しみとして受け入れていただけることを信知することで、自身の悪業煩悩を心から慚愧し、少しでも執われの心を離れなければならないと気づかされます。
それは自分だけの安穏を願うような自己中心的な生き方から、人々の苦悩をともにしていく生き方への転換であり、そこから大智大悲という如来のお徳を真実と仰ぎ、それに沿うよう努める念仏者の生き方が開かれてきます。そして、その努め励んでいくままが如来のお徳に促され、ご本願に生かされて生きる姿になるのです。
このたびの慶讃法要を機縁として、あらためて「世のなか安穏なれ、仏法ひろまれ」と願われた親鸞聖人のお言葉を深く心に刻み、これからもお念仏を喜び、阿弥陀如来の智慧と慈悲をあらゆる人々に伝えることで、自他ともに心豊かに生きることのできる社会の実現に向け、さらなる歩みを続けてまいりましょう。
令和5年・2023年 5月21日
龍谷門主 釋 専 如
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