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教学者懇談会(仮称)設置案

『新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)』に対する総局の対応に関して、1月17日の宗門総合振興計画推進会議において、『新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)に関する教学者懇談会(仮称)設置』が提案されたと中外日報に掲載されています。仏教学、真宗学の有識者から学問的、専門的知見を得るための懇談会としていますが、総長不在の会議でもあり内容への疑義も多く早々に撤回されました。

発布から2年が過ぎ、宗門校や得度習礼をはじめ内部ではかなり常態化されている中、知見を得るとはどういうことなのでしょうか。『新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)』に問題があると認識していれば、まずはそれを止めることが先決ですが、そもそも内容に問題があるとは考えていないのが総局のスタンスです。このスタンスの違いにより、話し合いにならなかったのが全教区で行われた学習会でした。

この提案の資料には、「宗門の現状認識」として、池田総長就任のあいさつがほぼそのまま掲載されています。その冒頭には

SNS をはじめとするネット社会にフェイクニュースの拡散や誹謗中傷が蔓延するなか、いまだそのモラルやルールが十分に確立していない現状において、新しい「領解文」をめぐり、さまざまな誤った情報がとびかい、事態の鎮静化を難しいものにしている。

とあり、『新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)』の問題は、「さまざまな誤った情報」が混乱を深めているという認識です。多数の批判的な声は、本文自体やこれまでの総局の対応に問題があると考えていますが、総局は本文には問題はない、もしくは、内容は総局ではなく勧学寮のテリトリーであると考えています。5名中の2名が責任を重く受け止め辞任した勧学寮ですが、今も納得のいく返答はなく話し合いの場もありません。この隔たりは非常に深く、2年間ずっと議論にならない原因がここにあります。

さらに、総長挨拶と同様に提案資料には、「勧学寮は宗法上、宗門の教義に関する最高機関」であると監正局が認定していると示し、『新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)』の制定には法規上問題がなく、内容は勧学寮が認めているということが記されています。そして、「宗門秩序の保持については、監正局の判断に、教義問題の是非については、 勧学寮の判断に従い、事態の終息に向け、相互理解を深める」とあります。

つまり、制定に対する疑問は監正局の判断をあおぎ、内容に関しては一般僧侶や門信徒はとやかく口に出す権利はないということでしょうか。『新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)』本文や総局の対応に問題があるという視座がない限り平行線は続きます。

ここに改めて、総長就任あいさつを転載します。就任直後のアドリブではなく事前に準備されていた文章なので、池田総長の方向性が明確に示されており、今回の提案にもほぼそのまま記された内容です。

池田行信総長あいさつ
総長候補者としての指名を賜り恐縮至極に存じております。 また只今は総長選挙にあたり、議員の皆様から尊い御協賛を賜りましたこと衷心より厚く御礼申し上げます。もとより浅学非才のわたくしでございます。甚だ微力ではございますが、皆様のご教導ご鞭撻をいただき宗務に精励させていただきたく思います。
さてこの機会に『新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)』に関しましてひとこと思うところを述べさせていただきたく存じます。昨今SNSをはじめとするネット社会にフェイクニュースの拡散や誹謗中傷が蔓延する中、未だそのモラルやルールが十分に確立していない現状において、新しい「領解文」をめぐり様々な誤った情報が飛び交い、事態の沈静化を難しいものにしていることは残念に思います。その意味において、正確な情報の共有に資する事を目的として、軽戒3年の処分が確定した前勧学寮頭の審決書の閲覧が、前総局により許可されたことは問題解決に向けたひとつの前進に思います。監正局は宗法第60条に、懲戒処分を行い宗務および事務に関する訴え等を審判して宗門の秩序を保持することを目的に設置されている機関と明定されています。その監正局が審決書の中で勧学寮は宗法上、宗門の教義に関する最高機関と認定されていることに留意する必要があります。その勧学寮の『新しい「領解文」(浄土真宗のみ教えについての消息)』に対する原点は公文書によってあきらかな通り、総長宛令和4年12月19日付同意についてであります。前寮頭のご消息文案同意を再考するように求めた要請書に対しましても、現勧学寮頭は再考は差し控えさせていただきたく存じますと正式に回答されています。ご高承の通り、教義問題の是非につきましては、宗法第70条の規定上、宗会も総局も原則その内容に立ち入ることはできません。もし宗会が勧学寮を差し置いて御消息内容の是非について議論するとしたならば、宗会の多数決でその是非が決められることになります。『新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)』をめぐる混乱を鎮静化するためには、それぞれの守備範囲、役割分担を踏まえて、着地点を見出す必要があると思います。 よって、私たち宗門人は、宗門秩序の保持については監正局の判断に、教義問題の是非については勧学寮の判断に従い、事態の収束に向け相互理解を深めるよう努力すべきと考えます。教義問題に関して総長には宗法上の制約があります。常に適法かつ慎重に対処しなければなりませんが、より宗門内の相互理解が深まるよう、努めて参りたい所存でございます。僧侶門信徒宗会議員の皆様をはじめ、ひろく宗門内の皆様方のご理解ご協力をお願い申し上げ、新総長挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。


1/23中外日報


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