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第323回定期宗会、総長執務方針演説

2024年2月28日午後1時より、第323回定期宗会が始まりました。開会式は昨年と同様にネット中継も行われ、おつとめの後にご門主と議長挨拶がありました。ご門主と議長挨拶は先に公開していますのでこちらをご一読ください。

議会でははじめに、新しく宗会議員に就任された奈良教区の西光義秀氏、福岡教区の門徒議員、太田喜之氏の議席が報告されました。西光義秀氏は顕心会の所属になりました。その後の議事は、総長執務方針演説、決算報告、監査報告、本願寺執行長報告、財務方針演説と続きました。ここでは、総長執務方針演説において、「新しい領解文」に関する内容に触れた箇所を抜粋して掲載します。後に宗報で全文が公開されると思いますのでご確認ください。

総長執務方針演説より、新しい領解文について

最後に、新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)につきまして申しあげます。ご案内の通り、昨年の御正忌報恩講法要御満座に引き続き、ご門主様より、「新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)についての消息」を発布賜りました。そのお心を体し、本年度の宗務の基本方針は、主題を「新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)に学び、行動する~「伝わる伝道」の実践~」とし、注力項目の一つに「新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)の学びと実践」を掲げ、昨年二月の第三二一回定期宗会の議決を経たことであります。

さらには、その基本方針の具体策として、第四十八回常務委員会の議決を経て「全教区・沖縄特区での学習会の開催」、「寺院行事での唱和百%をめざし、さらなる周知に努める」の取り組みを進めた次第であります。これら新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)にかかる取り組みに関しましては、これまでの企画諮問会議にその進捗をご報告申しあげ、種々ご意見、ご提言をいただき、特に、宗門総合振興計画推進事業計画に掲げる取り組みでありますので、「宗門総合振興計画推進会議」におきまして、宗会議員の皆様にご報告申しあげてまいりました。

申すまでもなく、新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)は、ご門主様がご消息によってお示しになられた御文であり、そこに「僧俗を問わず多くの方々に、さまざまな機会で拝読、唱和いただき、み教えの肝要が広く、また次の世代に確実に伝わること」を切に願われ、制定いただいたものであります。総局におきましては、当然、このお心を体し、周知と普及を図るうえから宗務の基本方針の具体策に基づき、取り組みを進めてまいりました。特に八月三十日の北豊教区から始まりました各教区での学習会におきましては、本月十六日の大阪教区まで、これまで二十八教区で開催いたしましたが、多くの教区で、さまざまな異論の声があがるとともに、唱和の推進につきましては、懸念するお声も伺いました。さらには、議員の皆様も参画される諸種会議におきましても、再三「宗門が混乱している」との厳しいご意見を承っております。

これまでも、ご消息やご親教等を賜れば、お言葉を重く受け止め、そのお心を体し多くの方々に実践されるよう、総局が宗務に反映してきたという当然の姿勢に、今後いささかの変わりはございません。しかし同時に、ただいまの宗門の現状を受けとめますと、宗務を執行する立場にある総局といたしましては、このような宗門内の状況に鑑み、来年度の宗務の基本方針に唱和の推進を掲げることは、更に宗門内の混乱を長引かせると判断し、本定期宗会に「二〇二四(令和六)年度宗務の基本方針(案)」をご提案した次第であります。その基本方針には、新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)を示した取り組みについては掲げず、また、明年度の宗務の基本方針の具体策につきましても、ただいま申し述べましたことを前提に、本定期宗会後に招集する常務委員会にご提案申しあげる予定でございます。議員の皆様には、何卒、特段のご理解を賜りたくお願い申しあげます。

次に、今後の新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)の取り扱いにつきまして申しあげます。先日の宗門総合振興計画推進会議におきましてご説明申しあげました通り、本年度の具体策に掲げております、次回の宗勢基本調査(二〇二六年を予定)において「、寺院行事での唱和百%をめざし、さらなる周知に努める」については、これを見直し、今後は、総局、内局、宗務の現場である教区・沖縄特区、組、直轄寺院、直属寺院及び一般寺院における拝読・唱和等につきましては、各機関及び寺院が判断し行うことといたします。具体的に申しあげれば、寺院においては住職、教区・直属寺院にあっては、教務所長・輪番が判断することといたします。総局におきましても、主催する全ての会合等で唱和を行うのではなく、その行事内容等に鑑み唱和の判断をしてまいりたいと存じます。

加えて、明年度は、各教区・沖縄特区での学習会における意見等の取りまとめを行うこととし、また、新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)、ご親教「念仏者の生き方」や「私たちのちかい」とともに、これらの理解や学びを深める機会を求めるご要望等があります際には、総局として、関係機関と連携し、必要な手立てを講じてまいりたいと存じます。

以上、新しい「領解文」(浄土真宗のみ教え)につきまして申しあげました。重ねてのお願いとなりますが、議員の皆様には特段のご理解を賜りたくお願い申しあげます。

結果としては、次年度の宗務の基本方針に「新しい領解文」を掲げず、拝読や唱和は各現場に任せるという提案です。混乱への対応が見られますが、「新しい領解文」本文の問題点や、それを申達した総局の責任については触れていません。2日目3日目に行われる通告質問において、どのように追求されていくのかに注目します。



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