外出自粛をライフセービング的に考える

4.7緊急事態宣言が発出された。

政府が外出自粛の要請や、施設の使用停止・イベントの中止を要請したりできるようだ。

仕事はリモートになり、休日も極力家にいる日々が続いている。
競技においても国内、国際大会は中止・延期になり、再開目処は立っていない。加えて、普段練習しているプールやジムが営業中止を決定するなど、影響がでている。

この緊急事態宣言は、それまでの自粛要請から大きな変化があったとは感じづらい。流行初期より、異常事態であると理解の上、行動変容を起こせていた人にとっては。の話であるが…
今回はこの外出自粛について考えたい。

結論、行政側からの外出自粛要請は、「危険性を理解できず、リスクのある行動を取ってしまう人たち」のための手段であり、
最も重要なことは『一人一人が感染しない環境を作りながら生活を維持すること』と、私は考える。

この長期に渡る歴史的な戦いにおいて大切なことはウイルスによる感染者を増やさないことである。
そのためには、感染源を遮断し、新たな感染を防ぐ事が求められる。

〈感染源の淘汰〉
保菌者や保菌疑惑者(濃厚接触者等)に加え、
免疫が落ちている体調不良者は
他者との接触を避け療養に努める。

〈感染拡大防止〉
健康な人は、三密を避け、自らが保菌者である可能性を理解し、予防と免疫回復に徹する。

本来、上記に配慮した生活、営業していれば、
必ずしも全員が外出を自粛したり、営業を停止する必要はないのだ。

にも関わらず、こうした自粛要請や、緊急事態宣言が発出されるのは、なぜだろうか。

それは、菌を不特定多数の人にばら撒き、感染者増加・医療崩壊を引き起こす可能性を持つ人を減らすためだろう。
つまり、リスクを目の前に、行動を変えられない人のためである。

“自分は大丈夫だろう”といった考えを持ち行動を変えない人や、
どう行動を変えて良いかわからない人
がそれに当たるだろう。

彼らは自分で行動の良し悪しが判断できない、いわばリスクマネジメントにおける赤ちゃん状態にある。
赤ちゃんは、他の人を真似たくなる。
SNS等で周りの人が外に出てるから大丈夫だと思い、何の対策も無しに外に出てしまう。
そんな赤ちゃんのために、政府や自治体だけでなく、YouTuberや芸能人も挙って外出自粛を促すことに繋がっている。

こういった、リスクを前に、行動変容を起こせない人は、実は夏の海水浴シーズンにもよく目にする。

海での溺死を引き起こす、最も大きな危険性は沖への流れ”カレント”である。
ひとたびカレントに入ると、沖に流され戻れずパニックになり溺れてしまうのだ。
大きなカレントはたくさんの人を一気に沖へと誘う。

ライフセーバーはカレントを早期に発見し、
付近にいるお客さんに、注意を促す。
カレントのない安全なエリアへ誘導することで、事故を未然に防いでいる。

しかし、大きな波も割れづらいため、オレは大丈夫。と、注意を無視してわざわざカレントに入る人がいる。
1度は移動したものの、継続した意識ができず、吸い込まれていく人もいる。
そう。リスクマネジメントの赤ちゃん達である。

それにつられて子供や、カレントを知らない人達が、次々と、誘引され、一気に全員沖に流され大事故に繋がってしまう。パンデミックに近い。

もちろん救助に向かうのもライフセーバーである。
救助している間にも、次なる赤ちゃんが、カレントに入ることは想像に易い。これでは溺者の増加を止めることはできない。
参考

こうなると、ライフセーバーが、お客さんの命を守る手段としては、遊泳禁止しかない。須く全員が、海で遊べなくなるのだ。
これでは正しくカレントを理解して、遊んでいる人たちも、遊べなくなってしまう。リスクマネジメントの赤ちゃん達にとっても面白くない。

うまく行動を変えれば、楽しく遊べるにも関わらず、一部の変えられない人の命を守るために、誰も楽しめない状況が生まれてしまうのだ。
この状況は、誰にとっても望ましくない。

1番望ましい姿は、
ライフセーバーの周知により、
お客さん全員がカレントの危険性を理解し、
カレントを避けて遊ぶなどの行動変容を起こす事で、
安全に海を楽しんでいる状態である。

これを置き換えるならば、

今、国として、1番望ましい姿は、
緊急事態宣言も出す事なく、
適切な情報を基に、一人一人が状況を理解し、
行動を変え、感染予防に徹し、感染者数の爆発的増加を抑えながら、一人一人が支え合い、暮らしを守ることであると言えるだろう。

海とは、唯一異なる事がある。
全員が外出しなくなる(遊泳禁止になる)と、経済が止まり、新たな死が生まれてしまうこと。
だからこそ、遊泳禁止ではなく、遊泳自粛とすることで、安全を守りながらも遊び続けなければならないということだ。

リスクマネジメントにおける赤ちゃん向けの
外出自粛要請によって、
多くの人の着目点が、外に出る出ないになったが、
本当に大切な論点は、安全な状態を維持するということだと思う。

政府による緊急事態宣言が出された今も、強制力は無い中で、どこまで国民が、行動を変え、感染を減らせられるか(命を守れるか)は、1人1人の意識にかかっている。

全ての人は、政府の判断を正しく理解し、
感染リスクのある外出を止めるべきだ。
そして、最も大切なことは、
出来る人が、
安全な状態を維持しながら、
価値創造・価値消費の活動を継続する事だ。

そのためには、次の3点を意識したい。
1,コロナウイルスの特徴と危険性を理解(for 自分)
2,三密を避け感染予防を徹底(for自分&大切な人)
3,楽観的なムード(上記を無視する行動が許容される雰囲気)を作らない(for赤ちゃん)

行動を変え、環境を整えて、大切な人・社会のために、自分にできることを一生懸命行いたい。
その結果として、価値を創出し、対価を得て、消費する、経済活動の輪を止めないで、日常を維持したい。
停滞を前にあきらめず、V字回復を虎視眈々と狙いたい。

こうしている間も、
医療従事者や、自治体、政府は通常業務にプラスして、コロナと戦っていることを忘れないでおきたい。
改めて感謝の気持ちでいっぱいである。
今こそ我々も通常以上にギアを上げて、日本のために、誰かのために、日々に向き合っていくべきだ。

難しい場合は、家にいて自分の命だけでも守って欲しい。それだけでも十分”誰かのためになる”価値のある行動である。

小さな変化が誰かのために繋がっていることを実感しやすい今だからこそ、
人のため、誰かのためを思いやる心を持ち、
困っている人に手を差し伸べられる強さが、
人生を豊かなものにしてくれると実感できるのだと思う。

長くなったが、この文章が少しでも、多くの人の行動の変化に繋がり、1人でも多くのライフセービングに繋がれば幸いである。

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