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花瓶の中の海

会場は北千住BUoYという、元銭湯とボーリング場だった建物をリノベーションしてカフェと劇場にしたスペースだそう。地下の結構広いスペースで、銭湯の名残である湯船だったり、柱だったりを活用した演出でした。
ストーリーは、問題を抱える子供たちを保護する施設でのお話。そこに頻繁に遊びに来る「さちこ」という女の子を軸に話が進んでいきます。父親は人当たりは良いけども、女癖が悪く、また育児放棄や暴力をふるったりするタイプ。さちこもそんな環境で育ったからなのか、先天的なのかわからないですが発達障害的なものがみられる感じなのかな。(それとも役者さんの見た目年齢と役の年齢がズレているだけかも知れませんが)
一見「普通」に見えたさちこが闇を抱える設定だったわけですが、冒頭の彼女のモノローグでタイトルである「花瓶の中の海」という単語も出てきます。狭い世界での自分という比喩表現かと思いますが、そんな彼女は最後に「天井に染みがある」と言い舞台は暗転して冒頭と同じシーンの繰り返しだが、モノローグは違う少年が手紙を読む形で相違点が生じ、そこで終わります。
自分の予想では、さちこは父親の暴力で死んでしまい、少年2人が回想と想像で語りかけているラストシーンなのかなと思いますが、そのあたりは明確に答えを出すわけではなく、受け手に委ねるというのはこういう作品ではアリなのだと思います。
観劇の後に飲みながらあーだこーだと意見を交わしたくなるやつ。

気になったというか、もったいないなあと思ったのは、施設の説明のために出てきた人物たちが、未消化のまま終わってしまっていたことかな。もっとコンパクトにして、主題の方に時間を割けた気もします。

ここのところエンタメ色が強い舞台ばかりだったので、こういう作品に出逢うとまた世界が拡がったなあと感じることができて良い体験でした。
不思議な縁で知り合った人が出演するということで観劇することにしましたが、良い機会をいただけて感謝です。

https://www.google.com/amp/s/amp.natalie.mu/stage/news/384210

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