映画「インターステラー」の感想
公開当時に観たインターステラーを10年ぶりにNetflixで観なおしてみた。
本当に凄まじいスケールのSFだ。
干からびてしまい、もはや住むことのできない地球に諦めをつけ、太陽系の外を出て人類移住の可能性を見つけにいくというミッションのもと、ときに人智を超えた多次元空間に行き着いたりする。
科学の素養の無い自分にはやはり難儀な点だらけであった。
相対性理論や量子論、重力場などハードさ満載である。
映像が素晴らしすぎるのでサイエンスの楽しさに心を絶えず揺さぶられることは言うまでもなく、大いなる作品の魅力であるが、それに劣らずストーリーの深みが本作を際立たせている。
地球滅亡に立ち向かう点で、アルマゲドンに共通するため、ここで引き合いに出してみる。
地球に近づく隕石を爆破するために、土壇場で娘のフィアンセを欺いて文字通りの自己犠牲を払ったブルースウィルスと、地球からその最期の勇姿を見送る愛娘、という構図はズルいほどに感動をさそう。何度見ても、このクライマックスシーン5分だけでとめどなく涙が出る。
出てくる男たちはみんないいヤツで、カッコいい奴らがカッコよく使命を果たそうとする。
一方で、インターステラーはそう単純な構図のヒーローものにはしていない。
同じく移住計画に大きく関わる博士たちがそれぞれの正義や信念で事にあたる。
人類の存亡をかけたプロジェクトはとどのつまり、人類が種として存続することを最優先するべきか、心を通わせた愛する人との関係性や命こそ、最も守るべきものか、という答えのない二択を突きつける。
自分が生きている中で、このような究極の場面に立ち会うことは恐らくないだろう。
しかし、映画を通じて切迫した状況を模擬的に体験し、どう考えるべきなのかを吟味することは、自分の価値基準を養う機会を与えてくれる。