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なんと日々の歯のケアが、つらいがん治療を楽にしてくれた

治療中の小話を、何回かに分けて書いていきたいと思います。

自家造血幹細胞移植とは

僕が受けた自家造血幹細胞移植(大量化学療法)とは、早い話が、
通常の量の抗がん剤では効かないので、致死量に及ぶ抗がん剤を投与してやろう、ということなのです。

ですが、それをそのままやってしまうと、がん細胞だけでなく、自分の正常細胞も攻撃されるので、ほんとうに死んでしまうのです。

ですから、致死量の抗がん剤を投与する前に、元気な細胞を体外に保存しておいて、抗がん剤の投与後に、それをまた体内に戻して(幹細胞移植)、回復の種にしましょう、ということなのです。

危険性・副作用は大きい

一度は致死量の抗がん剤を入れることになるので、当たり前ですがリスクの大きな治療なのです。医師からは関連死リスクが5-10%と説明されました。

また、抗がん剤に攻撃されることで、白血球はじめ自分自身の免疫力は、一時的に文字通りゼロとなります。そのため、通常の抗がん剤の副作用である脱毛・嘔吐・下痢などの副作用に加えて、感染症にかかるリスクが激増するのです。

感染症の中でも、様々なレベルのものがありますが、その中でもほとんどの患者が口内炎にかかるようです。
「口内炎か、大したことないじゃないか」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、移植治療時にかかる口内炎は、通常の口内炎と違い、尋常ではなく痛いそうです。痛みのあまり水を飲むことすらままならなくなるんだとか。
主治医の先生にも、
今回の治療で一番つらいのは口内炎になるかも知れません。」
とおっしゃっていました。

僕の副作用が比較的軽症で済んだ理由とは

入院中、移植治療を行ってから毎日、その恐ろしい口内炎の症状が出るのを今か今かと恐れていました。

ところがどっこい、僕は最後まで口内炎にはかからずに退院を迎えることができたのです。

医師や担当の歯科医曰く、その原因は、恐らく、並外れて綺麗な口内環境にあるのではないか、とのことでした。
僕は大人の歯になって以来、一度も虫歯になったことがなく、歯周病等もまったくないのです。それは、毎日のフロスケア、2か月に1回の定期的な歯科医院での健診とクリーニングのおかげだと思います。

さらに、驚くべきことに、僕は口内炎だけでなく、多くの移植治療の患者が苦しむことになる、40度以上の高熱が起こることもなかったのです。もしこのような発熱があると、大量の抗生物質の投与が必要になったりして、入院期間も長期化してしまいます。

なぜ発熱せずに済んだのか、調べてみたところ、多くの発熱の原因は、口内にいる菌に感染することで起こることが多いようです。
確かに、病院の無菌室に入院していて、管理された病院食を食べる中で、何かの菌に感染するとしたら、もともと自分の身体の中にいる常在菌が感染による高熱の原因となるのは、うなずける話です。

ですから、もともとしっかりと口腔ケアを行っていたことが、口内炎と高熱という重い副作用から、僕を救うことになったのです。

歯の健康が、重大な疾患リスクを下げる

ではなぜ、僕がもともと2か月に1度歯医者さんに通うほど、歯のケアを大事にしていたかというと、歯の健康が全身の疾患リスクと関連すると学んだからです。

  • 心筋梗塞などの心血管疾患

  • 糖尿病

  • 認知症

  • 肺炎

  • がん

近年の研究では、これらの疾患が、歯周病の有無など口腔内の環境と関連しているということが次々にわかってきています。
歯周病菌が直接わるさをしたり、そのような菌がいることで慢性炎症になり、それが間接的に病気を引き起こすなど、そのメカニズムは様々あると考えられます。

そうだ、歯医者へ行こう

というわけで、様々な研究から、歯の健康がいろいろな病気のリスクを下げることに繋がることは明らかですし、僕のように何かしらの病気になったときに思いがけず自分を救うことにもつながるわけです。

ですから皆さん、一緒に丁寧な歯のケア習慣を始めませんか。その第一歩はまず歯医者さんに行き、自分の歯の状態を知り、プロの技で治療やクリーニングをしてもらい、毎日のケアの方法を教えてもらうことだと思います。

以前、あるお医者さん(歯医者さんではなく)のYoutubeを観ていたら、視聴者の健康のために、
病院には来なくていいから、歯医者さんにだけは必ず定期的に行ってください!(笑)」
と呼び掛けていたことがあって、良いことをおっしゃるなと思った記憶があります。僕は歯医者さんだけでなく、お医者さんにもたくさんお世話になってしまっていますが……(笑)。

ということで、この記事を読み終えた皆さんが、さっそく近所の歯医者さんの予約を取られることを祈っています。

今日もお読みいただきありがとうございました。

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