黒単デプスで神決ベスト16に残りました #神決定戦
はじめまして、フジキです。
7月16日(土)開催の晴れる屋主催「第20期レガシー神挑戦者決定戦」に黒単デプスで乗り込みました。
ベスト16に残ることができ、自身にとってはじめて大きな大会で成績が出せたので、日記的に考えていたことをまとめようと思います。
※ひとつだけ最初にお断りすると、僕は2022年に入ってからマジックを始めたので、全くアテにならないことや自明のことも書くかもしれません。新規の戯言だと温かい目で見ていただけるとありがたいです。
デッキ選択
デプスコンボを選択する前に僕がレガシーを始めた当初のデッキを紹介します。
↓ 19期レガシー神にメガハンデスで臨んで見事に0-6していました。
ねっちりした攻めが性格には合ってたので回してて楽しくはあったのですが、あまりにも勝ち筋が細く「さすがに初心者はちゃんと勝てるデッキ組まなあかんな!」と強く思ったことをよく覚えています──プレイングをカードパワーでカバーする場面は20期レガシー神でも多々ありました。
とはいえ、レガシーでは不遇とも言われる黒に愛着があるうえ、始めたばかりでカード資産もない。そんな縛りプレイの中見つけたのが「黒単アグロ」です(まだ少しだけ寄り道します)。
1T目に出したレギサウルス(3マナ7/6! 3回殴ると勝つ)に対処できなければ勝てる!というわかりやすさで、勝ち越しもたま~にとれる程度には勝てるようになったのですが、あくまで噛み合いが前提の話でしたので、デュアランの無い貧者のレガシーの限界を感じながら回していました。
そんなある日、TC東京でこのデッキを回していると
前期レガシー神挑戦者の方と何度かマッチし、「黒単使われてるならMOレガシーチャレンジ優勝したデッキ見ましたか?」と声をかけてもらいました。
それが今回使用した「黒単デプス」でした。
カード資産的にもほぼカバーできていた上、なにより20/20で殴ると勝つという、わかり易さに惹かれました。当社比レギサウルスの3倍強いです(実際5億倍くらい強いと思います)。
黒単という茨の道からレガシーをはじめた僕にとって、
はじめて勝ち筋のはっきりしたアーキタイプを見つけたといっても過言ではなかったです。
「このデッキを次の神決定戦まで回してリベンジするぞ!」とデッキを握る決心をしました。
黒単デプスの変遷
デッキが決まったらまずは元のリスト(4月25日MOレガシーチャレンジ優勝型)のコピーをしました。
デプスコンボ(吸血鬼の呪詛術士、もしくは演劇の舞台を使い20/20を出す)を主な勝ち筋としながら、ダウスィーの虚空歩きやウルザの物語といったカードでもガンガン殴っていけるデッキです。明瞭。
さらに、サイド戦ではヘルムコンボで勝ちに行くという軸ずらしと呼ぶにはあまりにも強すぎる死角からの一撃で、初見殺しのように立ち振る舞うことができました。
う~ん、強そう。
翌週以降のレガシーチャレンジにも何度かリストは掲載されており、
・「ウルザの後継、カーン」がメイン投入
・「致命的なひと押し」「突然の布告」といった除去がなくなる
・サイドに「エムラクール」ハードキャストの目をつくる
など、細かい調整が進んでいきました。
特に対デルバーに対して除去が欲しい場面自体は多々ありましたが、フォーマット的に他デッキとのマッチでは腐りやすく、受けることよりも攻めきることを考えるデッキなので甘んじて先人の意思を受け継ぎました。
僕が「レガシー神挑戦者決定戦」で元にしたリストは6月15日にレガシーチャレンジで勝っていた下記の形です。
上記で記載したもの以外で大きな変更は
・闇の腹心の減量
・古の墳墓、カラカス、死の溜まる地、死蔵など特殊な土地の採用
・ファクトランドの採用によるサーガ・トークン強化
・後継カーンの増量によるビートプラン強化をサイドに追加
あたりでしょうか。
特に「死蔵」は全く知らないカードだったので驚いた記憶があります。
ここから魂のカードを積む、など調整していくことになります。
採用カードの取捨選択
ようやく本題です。
20期レガシー神で僕が持ち込んだのは最終的にこの形でした。
結局この形でひと月ほど回したのですが、3-0なんて一度もできなかったので「やはり原典が最強なのか……?」と不安になりながら大会に出ていました。
でも採用理由はきちんとあったので信じて回すことにしました。
▼闇の腹心の不採用
このカードは強いのですが、前提として黒単デプスは土地コンボが主軸ゆえに「トップメタである対デルバーでカードを大量に腐らせられるから良い位置にいるデッキ」だと考えています。
黒と無色で出せること、ヘイトを稼ぐこと自体はいいのですが、自らのライフをリソースにアドを取るカードは単純に不利になると考えて外しました。
▼不気味な発見
「闇の腹心」の代わりに採用したのが「不気味な発見」です。
少し古い型のデプスコンボによく採用されていたと聞いて試していました。
生き残らないとドローしない「闇の腹心」に対して、こちらは墓地にカードが落ちてさえいれば欲しいカードを的確に拾うことができます。
・吸血鬼の呪詛術師+暗黒の深部
を拾うのが一番よいのですが
・ダウスィーの虚空歩き+ウルザの物語
でも十分強いですし、いずれかだけでも及第点です。
(サーガが強すぎるのはもちろん、サイド後のヘルムボイド用ダウスィーを戻せるのは優秀)
とにかく最序盤でなければ急所になるカードを2枚も引けることが重要でした。
一時は「血の署名」あるいは「夜の囁き」(いずれも2マナ2ドロー)も候補でしたが、これらと「不気味な発見」を比較すると最序盤に打てないことは弱いですが2T目にドロソを打たないといけない状況自体が攻めっけの強いデッキでは弱いですし、初動スカした盤面を取り返すことに注力しました。
なお、竹沼の魂力も稀に起動するのですが、ここで落ちた土地も回収できるのでふんわりシナジーがあります。
▼ファクトランドの不採用
このデッキはデプスをちらつかせて構えさせながら、
サーガトークンや「ダウスィー」でビートしている時が一番強いです。
その状況ではスタッツが正義となるため、ファクトランドが非常に活躍するのですが、「溶融」が必ず飛んでくるといっても良い環境でこの土地を採用するのはさすがに許容できませんでした。
▼Nether Voidの採用
デッキには1枚魂のカードを入れたい、という枠です。
本来「後継カーン」が入っていたところを入れ替えているのでマナ粋的にも一貫性があり、またカーン以上のマストカウンターカードなので採用しました(ファクトランドを切った時点でカーンは抜く候補でした)。
という効果なので、着地すると4マナで「剣を鋤に」や「思案」を打つことになります。
そもそもこちらのデッキのほうが土地が多いマッチが多いため3マナ要求にも耐えやすく、また基本的には「暗黒の深部」も「ウルザの物語」も土地効果で攻めるデッキなので攻め筋にはほとんど関係ありません。
黒単デプスならではの構築にしたく採用しましたが、きちんと活躍するマッチがあったので良かったです。
▼呪詛の寄生虫、消耗の儀式
これはTCでミラーマッチになった際にお相手の方が採用していたのを見て入れたカードです。
消耗の儀式はソーサリーになった代わりにドレインのついた黒い「投げ飛ばし」。優先権の関係でソープロを使うようなコントロールに対し非常に有効でした。また殴ったサーガ・トークンをメイン2で投げることで予想外のバーストが出るので意表をつけます。
そして呪詛の寄生虫。
マナ食い虫なことに目を瞑れば、めちゃくちゃ器用なヘックスメイジです。
プレインズウォーカー戦に対して非常に有効に働くほか、サーガ3章の誘発にスタックしてカウンターを取り除くことで2章に下げ、毎ターンシルバーバレットをサーチすることも可能です。余裕があればデプスのカウンターを取ることもありました。
またダウスィーは強力なクリーチャーなのですが、黒黒が出なく負けることも多々あるデッキなので減量し、サーガから飛び出すこともできれば無色でも場に出せるこのカードはデッキの潤滑油として非常に活躍してくれました。
▼サイドボード
サイドはかなり明確に相手を意識しました。
特に大規模大会で当たるであろうコンボを仮想敵として重点的に意識しています。
エルフやマーフォークなどの部族デッキメタとしての役割はもちろん、最近流行りのウーロ、船乗りを滅ぼすものを入れたミッドレンジにも接死で当たれる「疫病を仕組むもの」。
メインからの血染めの月があまりにも理不尽な赤単プリズンにデプス友情コンボを決めるための「大群への給餌」。
デスタクや8castに対して主要なクリーチャーを機能不全にできる「倦怠の宝珠」。
自分より早いコンボ(特にANT)にお守りといっては強すぎる「精神壊しの罠」。
ここまでで10枚で、残りをヘルムボイド枠にしています。
力戦4/ヘルム4構築については、
・いずれも2枚目を引きたくないカードであり、トップの弱体化につながること。
・ダウスィーも追放要因としてカウントできる。
・ヘルムが5マナと大ぶりなアクションの割に盤面に、力戦(ダウスィー)が必要なため、タイミングがわかりやすくカウンターを構えやすい。
・カウンターされた時にデプス側がとれるアクションがない。
などの理由でサイドの枠を圧迫しすぎていることを天秤にかけ、減量することにしました。決まれば勝つコンボなのでもちろん採用自体することは強いのですが、メインの勝ち筋を歪めてまで入れないといけないマッチアップがあまり思いつかなかったことも大きい要因です。
実際には、「暗黒の儀式」が絡むと最速1T目からの目もありますが、カウンターに対するリカバリーが無さすぎるのでブッパ以外の何者でもなくなってしまいます(パなせること自体は強いんですけどね)
この動画で冨澤さんも話していましたが、基本的に過剰では?という気持ちが拭いきれなかったです。
当日のマッチ
R1:URデルバー
✕○✕
おそらく純正のURデルバー。
g1は1T目の返しに不毛でアーボーグを割られ、黒マナが出ず敗北(不毛は「演劇の舞台」や「暗黒の深部」に温存したいと思いますが、急所は「アーボーグ」です)。
マリットレイジが着地して殴れたg2。
ラストはお互い殴り合いになったがマナフラッドして惜敗。
初戦から敗北は精神的に相当キツく、もう今日はエンジョイやな~と天井見てました。
R2:ANT
✕○○
苦手なANT。
本来ハンデス、墓地対策、サーチ妨害、マナ要求エンチャントと相手へのヘイトカード山盛りのハズなんですが、ANTの速度で上回られg1敗北。
サイドからは虎の子「精神壊しの罠」が八面六臂の活躍。
R3:オムニテル
✕〇〇
オムニテルもコンボですが、速度的には互角程度。またメタカードもあるためやや有利な印象です。
g1は対処できず負けましたが、ショーテルで「エムラクール」と「カラカス」のお見合いができたg2。「カラカス」素引き牽制できたg3と終始有利に立ち回れました。サイド後はヘルムコンボもショーテルによって早期に達成できる可能性があるため非常に強力です。
R4:ANT
✕✕
再びANT。大きい大会はコンボによく当たる印象です。
メインはなにもできず敗北。
g2はNether Void着地で封殺かと思いきや、「耐え抜くもの、母聖樹」で割られそのまま完封。まぁ初手ハンデスで母聖樹あるの見てるんですけど、1T分対処迫ったところで追いつくの難しいですね。
ここで2敗目。雲行きは相当怪しいですが頑張ることにしました。
R5:Lands
○○
g1ではマリットレイジを「消耗の儀式」で勝利。
landsはマリットレイジのお見合いが発生するマッチなので、「影槍」ゲーになりがちなのですが「消耗の儀式」のプレイヤーに直接打点が非常に偉いです。
g2はダウスィーのビートで墓地対策しながら「罰する火」もケアできて勝利。
R6:エルフ
○○
1T目「緑の太陽の頂点」に「敵対工作員」が刺さり初動を抑え、「真髄の針」で「ワイアウッドの共生虫」を抑えられたので勝利。g2は部族メタ「疫病を仕組むもの」がしっかり仕事してくれました。
R7:ANT
✕〇〇
またANT……と思いつつも、メタカードを仕込んでよかったと本当に思いながら対戦しました。
ただここで、デッキケースをひっくり返してしまい慌ててカード整理してg1へ。焦りがそのまま出たのか勝ち盤面をそのまま返してしまい敗北。
このときばかりは終わった……と今日一番の激しい後悔が押し寄せました。。。
ただg2,3と「精神壊しの罠」を複数枚ハンドに引き寄せることができ、カードのパワーで勝つことができました。
R8:URデルバー
✕○○
ラストはURデルバー。「帳簿裂き」が入ったいわゆる「デルバー抜きデルバー」でした。
初戦はフライヤーのチャンプを抜けきれず敗北。
g2は飛行チャンプを乗り越え「借り手」も間に合わず殴りきり。
g3、2T目の返しにマリットレイジ着地→返しのトップが「死蔵」で飛行を畏怖で躱して勝利。
前ラウンドから右手が光りすぎています。
後記
終わってみれば158人中(多分。公式で書いてあったんですが見つからなくなってしまった)、実質10位タイと非常に好成績を残せました。
ここまで来るとSEに残れていたら……というスケベ心も湧きますが、運は完全に上ぶれていたので、あとはきちんと練習積んでまた勝ち上がりたいなという気持ちです。
サイドプラン含めてデッキ自体は大会向けの非常にいいものがつくれたと思います。やはり魂のカードを入れたデッキは楽しい。
正直一度でもリスト載せられるといいなと思ってずっと回していたのですが、良くても2-1を繰り返している状況だったので、大きな大会で公式記事にも掲載いただき、最高のタイミングでリスト化できたのはとても嬉しいです。
勝ちきってない解説に意味あるのか……?とは思うものの、今回ばかりは記念なのでガイド的なものを書いてみました。
いうて歴史あるデプスコンボの中でも黒で縛っている以上ローグ寄りのデッキだと思うので、各々の構築があると思いますが参考になればうれしいです。
長々とありがとうございました。
対ありでした!
ちなみに賞品の「ニューカペナ」6パックが爆アドでした。
やはりこの男、運で勝っている。