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聴いてくださった方の記憶に残るアルバムになってほしい ~米田あゆ『Reminisce』リリース記念Interview~

関西のジャズシーンを中心に、着実に活躍の場を拡げているアルトサックス奏者、米田あゆ

大阪音楽大学ジャズコースを卒業後、自身のリーダーライヴはもちろん、コンボだけでなく、ビッグバンドなど、様々な形態で印象的な演奏を披露してきた彼女が、現時点での集大成とも言える1stアルバム『Reminisce』を2023年12月20日にリリースした。

『Reminisce』アルバムジャケット


今後のジャズシーンでさらなる飛躍が期待されている米田にインタビューを行い、これまでの音楽遍歴から、自身の演奏や作曲、そして1stアルバムについて話してもらった。


ジャズとの突然の遭遇

‐まず、サックスを演奏するようになったキッカケを教えてください

元々、小学校3年からピアノを習っていて、小学校6年生まで習っていました。音楽はずっと好きだったので、中学校で部活を決めるときに、吹奏楽部に入ろうと思っていました。その見学に行った際、3年生の先輩がアルトサックスを吹いていたのが、とても格好良く見えて。でも、3年間、アルトサックスではなく、バリトンサックスでした。当時、サックスパートで1番身長が高かったので、自動的にバリトンになったんです(笑)
吹奏楽部では、ジャズの曲は、ほぼ演奏したことがなかったです。

-では、アルトサックスは高校から演奏を始められたのでしょうか

はい。中学時代から、高校ではとにかくアルトサックスを吹きたい!と思っていたので、高校の部活見学の時に、「アルトサックスを吹きます!」と最初から言い切りました(笑)
そうして、念願のアルトサックスを吹くことになりましたが、ジャズとの出会いは高校2年生になってからです。吹奏楽部の顧問の先生が、元々ジャズを演奏される方で、私が高2の時に急に思い立って、ジャズのビッグバンドを吹奏楽部でやりたいと仰って。そこで、ビッグバンドに必要な楽器の生徒が集められて、ジャズを演奏し始めました。高校に入学するまでは、主にJ-Popを聴いていて、ジャズは全く聴いてなかったので、なかなか体に馴染まず、演奏することが難しかったです。
でも、カウント・ベイシー・ビッグバンドサミー・ネスティコのアレンジの曲を演奏していくうちに、徐々に楽しさがわかってきました。ビッグバンドのソロパートで、アドリブ演奏ができるようになりたいという想いなども生まれ、大阪音大のジャズコースへの進学を志しました。



あっという間の音大での2年間

-大阪音大のジャズコースでの学生生活について教えてください

ジャズを1から勉強したいと思って大学に行きました。まず、セッションのやり方から教えてもらって、よくセッションで演奏するスタンダード曲や、ジャムセッションの手順など、実践的な事をたくさん教えてもらったので、今までモヤモヤしていたものが解決することが多く、2年間があっという間に過ぎていきました。

-大阪音大で学ぶのと並行して、甲南大学のニューポートスウィングオーケストラにも参加されていましたよね

大学の授業でビッグバンドの練習はあったんですが、ライヴで演奏する機会がなかなかなかったので、もともと演奏を聴いて好きだったニューポートに入部しました。ジャズに触れたキッカケがビッグバンドからだったので、ニューポートに参加して、ビッグバンドでの演奏をする機会を多く経験できたのは、とても良かったです。

-プロのジャズミュージシャンになろうと思ったのは、いつ頃からですか

大学受験の時に、すでに思っていました。まだ知識はないけれど、ジャズという音楽にとても魅力を感じ、とにかくなりたいという気持ちは、その頃からありました。音大に進むことを決めた時、それ以外の仕事に就くというイメージも、あまり湧きませんでした。

影響を受けた方々

-ジャズを演奏するようになってから、影響を受けた方はいらっしゃいますか

サックス奏者の河村英樹さんは高校2年から、大学を卒業するまでレッスンを受けました。ジャズについて1から教わり、大切なことをたくさんご指導いただきました。
どんな時も、命の宿った音を出すこと」という言葉はずっと心の中にあり、大切にして演奏しています。最も影響を受けた方で、河村さんのライヴに伺うと、いつも何か心を動かされます。
今回のアルバムリリースも、とても喜んでくださいました。

土岐英史さんは大阪音大の特別講師で年に2回ほど教えてくださっていたのですが、音大卒業後に個人レッスンをぜひ受けてみたいと思い、神戸のヤマハでのレッスンに通いました。
レッスンで1番楽しみだったのは、土岐さんの音を間近で聴けることでした。それが1番の勉強でもありました。自分のやり方を大事にされる方で、「いろいろな人から意見を言われることがあると思うけど、自分が1番やりたいことを大事にするように」と教えていただきました。その考えは今も大事にしています。

また、今回のアルバムにコメントを寄せてくださった纐纈歩美さんも、とても影響を受けた方です。もともとよく聴かせていただいていたのですが、アルバイトをしていた神戸のジャズバー「グッドマン」で、マスターが纐纈さんのアルバム『Balladist』や『Art』をよくかけて聴いていたんです。グッドマンのとても良いスピーカーで纐纈さんの演奏を聴いて、さらにファンになりました。今では、共演もしてくださって、様々な面で、とても感謝しています。演奏はもちろん、楽曲や演奏に対する考え方など、全てを尊敬しています。


演奏で大事にしている事、作曲方法

-演奏中に大事にしていることを教えてください

常に自然に演奏をしたいと思っています。ジャズのアドリブって、無理をしたり、考えすぎると、どんどん崩れていくような気がして。まだまだ課題はありますが、それは常に意識しています。

-たしかにジャズのライヴで作り込んでいるというか、不自然な流れになると聴き心地はよくないですよね。
米田さんは、オリジナル曲も積極的に創作されていますが、作曲はどのようにされていますか

鼻歌などで一部思い浮かんだものを広げていき、メロディーを作った後にピアノでコードをつけていって作ることが多いです。オリジナルを作ろうと思うようになったのは、纐纈歩美さんのオリジナル曲がとても好きで、自分でも作ってみたいと思ったからです。
本当に纐纈さんの影響は大きいです。

『Reminisce』の収録曲について

-今回のアルバム『Reminisce』では8曲中5曲が米田さんのオリジナル楽曲ですが、それぞれの作曲のテーマなどを教えてください

<Daytime City>
私は神戸で生まれ育ったので、平日の神戸の昼間のオフィス街をイメージしました。スウィングとラテンを行き来する曲です。

<Eternity>
亡くなった親友の事を想って書いた曲です。その親友に会うことはもう叶いませんが、共に過ごした記憶は永遠に残ります。その想いを曲に込めました。

<Scent Of Spring>
春の香り、という意味のタイトルです。その名の通り、春をイメージして書いた曲で、桜の花びらが舞っている様子を曲にしてみました。

Calm
景色の良い場所へ旅行した時に一節思いついたものを膨らませて作りました。元々は落ち着いた曲調でしたが、アルバムのためにアップテンポでスウィングするアレンジにしました。

Reminisce
想い出す、回想という意味の言葉です。先程も話した親友との学生時代の楽しかった想い出などを懐かしんでいる時に書き始めた曲です。また、時間が経っても、親しみを持ち、想い返してもらえる、聴いた方の記憶に残るようなアルバムにしたいという気持ちを込めて、今回のアルバムタイトルにもしました。

-スタンダード曲はどのような経緯で選んだのでしょうか

Alone Together>、<Darn That Dream>は普段からよくライヴで演奏する曲です。
<Darn That Dream>はバラードをアルバムに収録しようとした時に、真っ先に思い浮かんだ曲です。
Bossa Antigua>は、高校では音楽コース専攻の授業も受けていたのですが、吹奏楽部の顧問でもある先生から、好きな曲を耳コピしてくるように、という課題があって、丁度その頃、ポール・デスモンドのアルバムを聴いていたので挑戦しました。
ポール・デズモンドのように吹かなければ、というイメージがこれまでは強くありましたが、今回は自分のしたいように、自然体の演奏を収録しようと思って録音しました。すごく好きな曲だったので収録できて良かったです。

初のアルバム制作でのエピソード

-アルバムの音質がとても素晴らしいです

奈良県にある、三輪卓也さんの「NMG Recording Studio」で録音しました。三輪さんはすごく優しくて、ミュージシャンの意見、要望をしっかり聞いてくださる方です。最終のマスタリング段階までいったのに、もう1回やり直してくださることもありました。「何か気になることがあったら、すぐ連絡してください」とも仰ってくださって、アルバムレコーディングが初めてだった私にとって、すごくありがたかったです。

-アルバム制作前にレコーディングメンバーと事前リハーサルを行いましたか

事前リハーサルというより、レコーディング前に2回ほど、レコーディングメンバーでライヴをしました。そのライヴで今回の収録曲を中心に演奏したので、スムーズにレコーディングできました。

-今回のレコーディングメンバーの方々について、米田さんが感じる、それぞれの魅力を教えてください

左から、時安吉宏(ベース)、米田、中村雄二郎(ドラムス)、牧知恵子(ピアノ)

ピアノの牧知恵子さんのサウンドはもちろん、鋭いタイム感がすごく好きです。一緒に演奏していると、自分の音が引き締まる感覚になります。いつも自分の演奏にいい影響を与えてくださいます。
ベースの時安吉宏さんは、大阪音大の時にコンボの授業で毎週教えてくださっていたのですが、その時から尊敬し、本当に大好きなベーシストのおひとりです。重量感があって、包み込むようなベース音が素晴らしいです。
ドラムスの中村雄二郎さんは、クリアで、しかも迫力あるドラムサウンドで、バンドサウンドを引き締めてくださいます。

みなさんから学ぶことはたくさんありますが、今回のレコーディングでは、私がどういう風に演奏したいかをみなさんが考えてくれて、実際に私の意見も聞きながらレコーディングに臨んでくださって、とてもありがたかったです。

レコーディングの様子


今後の展望

-待望のアルバムをリリースされましたが、
それを踏まえて、今後の展望を教えてください

最近、ビッグバンドでの演奏もありがたいことに増えてきましたが、今後は、コンボとビッグバンド、両方で活躍するプレイヤーになりたいと思っています。
ビッグバンドの演奏が多くなると、コンボでアドリブ演奏する時の切り替えが難しい点がありますが、どちらでも良い演奏をしていきたいです。また、アルバムもリリースしましたし、2024年は東京など、関西以外でのライヴの機会も作っていきたいと思っています。

インタビュー/編集・構成:小島良太
Photo:岡タカシ

【Information】

[アルバムリリース記念ライヴ]
・1月14日(日) 兵庫 神戸100BAN HALL
Start 18:30
予約3,000円/当日3,500円


・1月20日(土) 滋賀 草津COLTRANE
Start 19:30
3,500円


・2月7日(水) 兵庫 明石POCHI
Start 19:30
予約3300円 当日3850円
https://livehouse-pochi.com


・2月29日(木) 大阪 梅田JAZZ ON TOP
Start 19:30
予約3,300円/当日3,850円

[アルバム販売・各種サイト]
・ディスクユニオン

レミニス/AYU YONEDA/米田あゆ/ジャズシーン要注目の若手アルトサックス奏者米田あゆデビュー作!|JAZZ|ディスクユニオン・オンラインショップ|diskunion.net

・Amazon

https://www.amazon.co.jp/dp/B0CM326NVK


・TOWER RECORDS

https://tower.jp/item/6218470/


[アルバムについてのインタビュー動画]

[米田あゆ ライヴスケジュール]

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小島良太
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