“良い音”を探し求めて、辿り着いた作品 ~加納奈実『mawsim』リリース記念Interview&Disc Review~
サックス奏者として、ジャズのみならず、2021年に公開された映画、『竜とそばかすの姫』の登場人物でアルトサックスを吹く”ルカちゃん”の音を担当するなど、多方面で活躍を続ける加納奈実。
ピアニストの永武幹子とのデュオユニット、
「Jabuticaba」でも、印象に残る演奏を披露してくれた加納だが、3月15日に自身のリーダーグループ名を冠した、初のリーダーアルバム『mawsim』を発表した。
5月10日からは本作のリリースツアーを控える加納に本作についてのインタビューを敢行。
また、筆者によるディスクレビューも付記するので、ぜひ併せてご覧いただきたい。
さらに発展していくために
-今回、加納さんのレギュラーカルテットでの録音となりましたが、このメンバーとはいつ頃から演奏していたのでしょうか
-今回のアルバム制作のキッカケを教えてください
-それぞれのメンバーの演奏の魅力について教えてください
『mawsim』収録曲について
-個性溢れる収録曲について、各曲紹介していただけないでしょうか
・“Le Bourgeon” 6年前のライヴ動画
・加納自身のDuduk演奏動画
この演奏をさらに発展していったものが今回のアルバムに収録されている
“良い音”を求めて
-今回のレコーディングにおいて、
印象に残っている事、難しかった点など、
教えていただけませんでしょうか
-アルバムの特に聴いてほしいポイントがあれば教えてください
-最後に、このアルバムを聴くリスナーへのメッセージと、リリースツアーへの意気込みを聞かせてください
『mawsim』Disc Review
冒頭の“Crepuscular Rays”で、
加納のサックスとコーラスによって彩られた、
ダンサブルなサウンドが飛び出してきて、
良い意味で意表を突かれた。
そこから、本作が壮大な世界観を有している作品の予感がしたが、まさにその通りの作品だった。
1曲目から転じて、“Le Bourgeon”はストリングスを加えた穏やかな曲調で生命の息吹を細微に表現している。
3曲目の“Doubt”では、ヨーロッパや中近東の香りを纏い、敬虔な祈りを音楽で捧げるような神秘的な楽曲。加納の幅広い音楽の素養が伺える。
また4曲目“Far Away Far in the Sky”は、加納のサックスが暖かい旋律を奏で、広大な大地を闊歩するような力強さを感じた。石田のフェンダーローズの心地良い響きも素晴らしい。
5曲目の“Whisper of the Moon”は再びストリングスを迎え、加納の清らかで伸びのあるサックスの音色が映える叙情に満ちたナンバーだ。
杉本と吉良は、多彩な楽曲に柔軟に対応し、
曲の世界観を克明に映し出していく。
石田はピアノ、キーボード、フェンダーローズを使い分け、加納のイメージする音世界を仔細に具現化していく。そして、彼らの盤石のバックアップを得て、加納は天真爛漫に演奏に邁進する。
今回のアルバムで、壮大な世界観の一端を垣間見せてくれた「mawsim」の活動は、今後のジャズシーンでも特筆すべきものとなるだろう。
『mawsim』リリースツアー情報
〈mawsim〉
加納奈実(sax,fl) 石田衛(pf,key)
杉本智和(b,eb,etc) 吉良創太(ds)
▶︎5/10(金)&5/11(土) 御茶ノ水NARU
…w/maiko(vln) 平山織絵(vc) 5/10
…w/岡部洋一(per) 5/11
▶︎5/17(金) 名古屋jazz inn LOVELY
▶︎5/18(土) 神戸100BANホール
▶︎5/19(日) 岐阜Island Cafe
〈加納奈実 Official Site〉
▼『mawsim』CD購入はこちら▼