パルワールドとヒュッケバイン
はじめに
先日、僕も記事にした【任天堂VSポケットペアVSダークライ】の話を友人としていた時の事
友人「これって、ヒュッケバイン問題と本質は同じ気がする」
なるほど、その観点はなかった!
あれだけロボ大好きを公言しておきながら、この点に気づかなかったとは不覚!!
というわけで、ネタの掘り返しというか、権利の「ライン」という話を続けます。
ヒュッケバインとは
TVゲーム「スーパーロボット大戦」シリーズに登場する、同作オリジナルの人型ロボット。
スーパーロボット大戦というのはあれです、マジンガーとかゲッターとかガンダムが一緒になって戦うゲームです。略称はスパロボ
それのオリジナルロボットなのですが…まぁ、まずはこれを見てくれ。
はい、とゆうわけで、顔たちが非常にガンダムに似ています。
それもそのはず、デザイナーがガンダムの関係者なので。
当時の権利関係は非常にややっこしく、当然ながらスパロボ作ってる会社はガンダムの著作権は持っていません。
なので、このゲームのガンダム出演は文字通り権利をお借りして作っているのが時代背景でした。
とはいえまぁ、ガンダム『も』出ているゲームでしたから、この辺はお目こぼしを頂いていた模様。
スパロボをプレイする人にとって、ガンダムとヒュッケバインは明確に区別がついていましたから、混同の恐れもありませんでしたし。
そしてヒュッケバインは『オリジナル』ロボットの中でも、かなりの人気を博す機体となったのでした。
まぁ、MK-3まで作るんだから、シリーズの顔の一つと言って差支えはないでしょう。(現在はさらに増えました)
そんなヒュッケバインでしたが、あまりに似すぎた顔が問題となって悪い転機が訪れます。
ヒュッケバイン問題とは
スパロボのシリーズが続き、『オリジナル』のロボットも数多く生まれた後に、ス開発陣はある舵取りを行いました。
それが『オリジナル』機体を集めたスパロボを作り、一つのブランドとすることです。
ゲームタイトルとしては「スーパーロボット大戦 オリジナルジェネレーション」と銘打たれています。結構長いタイトルなので、ファンの間では「OG」と呼びます。この記事でも便宜上これにならいます。
OGは当初GBAで販売され、シリーズとしてもそこそこの売れ行きだったので、続編やPS2リメイク、そしてついにアニメ化までこぎつけました。
当然、『オリジナル』の顔であるヒュッケバインも、OGシリーズに参加していまして、ついにアニメ化…というところでストップがかかりました。
このタイミングで、ヒュッケバインという機体が全く表に出なくなったのです。
PS2用のリメイク作品にはかろうじて出演していましたが、対外セールス向けのPVからは姿を消しました。
そして、アニメでは全く姿を見せない。
アニメはゲームシナリオの再現でしたが、ヒュッケバインが活躍するシナリオはカットされるか、ヒュッケバインとは別の機体があてがわれました。
これは風のうわさですが、ガンダムの版元であるサンライズが『ゲームまでは許容するが、アニメは認めない』として、ヒュッケバインの意匠に物言いを出したといわれています。
確かに、ゲームに出る限りはガンダムとの区分を知っているユーザーしか触れないので、混同する恐れはありませんが、アニメ化などの映像化によって無作為の人が触れるとあっては、ガンダムとの混同は避けれないでしょう。
某ガンダムの漫画で「人型のロボットにV字のアンテナと目が二つ付いていれば、世間はガンダムだと思う」なんて、ネタ味のある発言をしていましたが、ある意味で、世間の認識はその程度というメタな認識だったのでしょう。
これが、版元が考えていた【ライン】だったのかもしれません。
当然ながら、スパロボ開発陣としては、ここで拗れて「本流」のスパロボにガンダムの許諾が下りない事態になってしまうととんでもないことになるため、相手方の言い分を受け入れるしかありません。
結果として、V字のアンテナを取り外しとツインアイを隠すためにゴーグルを装着した「エクスバイン」が発表され、ヒュッケバインの後継という位置に収まりました。
パルワールドとヒュッケバイン
こうしてみると、著作権と特許権という違いはあるのですが、元の会社が考える一定のラインを超えたときに、問題が表面化する傾向にあるようですね。
具体的には、元の迷惑になる悪影響を及ぼすなんて言うときには、さすがにラインを超えるのでしょう。
ヒュッケバインも独自のブランドに乗っかってビジネスをしようとした矢先でしたからね。
ガンダムと間違えられると、ガンプラの売上に関わる。今なおガンダムと間違えて買い占められているような気がしますが
ヒュッケバインの場合は、そもそものゲームの制作会社が「お借りしている」というスタンスを徹底したため、大事には至りませんでした。
ガンダムが欠けたスパロボとか想像できない…
奇しくも、パルワールドも同じようなタイミングで物言いがつきました。
こっちは落としどころがよくわからない状態ですし、なんならTGSも参加が怪しい状況になっているようですが、果たして…。
ヒュッケバインのその後
スパロボの開発会社もガンダム版元のサンライズも、バンダイナムコグループの傘下という立ち位置になったため、著作権上の争いは解消に至りました。
その結果、むしろバンダイさんお得意の立体物戦略にヒュッケバインがのっかかる形で次々と商品が展開されます。上の立体物もその一つです。
むしろ個人的には青春時代を共に駆け抜けた思い入れの機体がプラモになったりでうれしい限りですよ
極端な話、間違えられても胴元が同じという、ある意味ではとんでもない事態と言えるんでしょうね。。。
終わりに~ライン超えてる?~
一番初めに戻りますが、特許と著作の違いこそはあれ、権利者としては何かしらのラインを超えてなければ許してくれるという事例は結構あると思います。
というか、現代のSNSって厳密には著作権上アウトというものがごろっごろありますから。
上のパッケージ写真も法律を厳格に適用すればアウトの可能性があります。買い上げた私物なんだから許してくれーとは思ってますが。
僕もこうした記事を書く上で、そうした画像を引用した方が見やすい…のですが著作権が…というので踏みとどまるケースが沢山あります。
悪い様に批判するときは怒られると思うのですが、いい様に書いてるときはお目こぼしを頂きたいなと思いつつ、職業上そんな心構えでは…というジレンマの元に記事を書いてます。
この辺は著作権法をもっと勉強しないトナーと思う次第でした。