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厚生労働省国際保健ビジョン
2024年8月26日、厚生労働省が国際保健ビジョンを発表しました。私はグローバルヘルスの中でも特に顧みられない熱帯病(NTDs)に関心を持っており、このビジョンの発表は今後、厚労省が「国際保健」を強力に推進するための重要な指針となると感じています。本記事では、NTDsに関連する内容やその背景について整理し、解説します。興味のある方は、ぜひ厚生労働省のウェブサイトもご覧ください。
概要
国際保健における感染症対策は、国内外を問わず極めて重要な課題です。新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、この認識が再び強調され、感染症対応、医薬品開発、そして医療人材の育成の重要性が広く認知されるようになりました。この流れを受けて、強靭な保健システムの構築が世界的に求められています。
全体像について
厚生労働省の国際保健ビジョンでは、特に「ユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)、国際創薬、インド太平洋健康戦略、感染症等の健康危機対応」が重点テーマとして挙げられています。このビジョンは、国内戦略と国際戦略を連動させることを目的としており、国としてどのような取り組みを推進しようとしているのかを理解する手助けとなります。
特にUHCに関しては、日本が国際的なリーダーシップを発揮していることが広く認知されており、2025年には日本政府がWHOや世界銀行と連携して「UHCナレッジハブ(Knowledge Hub)」を設置する予定です。さらに、UHCの達成目標である2030年には、日本がG7の議長国を務める予定です。
UHCに関する議論は、私も登壇の機会をいただいた第10回日経・FT感染症会議でも取り上げられました。「議題7 UHC実現のための国際連携の現状と展望」で、この議論のアーカイブ配信を見ることができます。
顧みられない熱帯病(NTDs)に関する記載
NTDsに関しては、国際保健ビジョンの中で「WHO等の国際機関や官民パートナーシップへの適切な貢献」として触れられています。NTDsが三大感染症をはじめとする他の感染症と並んで重要な課題と認識されていることは、NTDsのアドボカシーを行っている私たちにとって非常に喜ばしいことです。
(6)WHO等の国際機関や官民パートナーシップ等に対する適切な貢献
結核やマラリア、エボラ出血熱、エイズなどは、国境を超えて世界の社会経済に大きな影響を与えるが、近年、さらに新型コロナウイルス感染症、AMR問題、「顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases:NTDs)」等、国際社会が協力・連携して対応すべき課題が増加している。
国際機関や官民パートナーシップについて
厚生労働省から拠出されている国際機関の中で、NTDsに関連する機関を以下にまとめました。リンクを付けているので、興味のある方は詳細をご覧ください。
NTDsに関連する機関
世界保健機関(WHO):厚生労働省(令和5年度)からはWHO分担金として約53億円、WHO任意拠出金として約5.6億円が拠出されています。特に、NTDs分野では、WHOアフリカ地域事務局のESPEN(顧みられない熱帯病の征圧のための拡大特別プロジェクト)を通じて、アフリカ地域のNTDs征圧に貢献しています。
Gavi(Gavi ワクチンアライアンス):Gaviが支援する20の感染症のうち、NTDsに関連するものとして、狂犬病の暴露後接種に関する資金提供が開始されています。
GHIT Fund(グローバルヘルス技術振興基金):GHIT Fundは「10億人以上の人々を苦しめる顧みられない感染症をなくすことにより、誰もが公平に健康を享受できる世界を目指す」というビジョンを掲げ、顧みられない感染症の研究開発(R&D)への投資を行っています。
その他の機関
最後に
今回発表されたビジョンの実現に向けて、今後の展開が非常に楽しみです。文中では「民間等とも連携して取り組む。」と締めくくられており、私たちNTDs Youthの会としても、このビジョンを実現するための取り組みを一層加速させる所存です。
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