フィリピンのプライマリーケアシステム
概要
フィリピンでは地域のプライマリーヘルスセンターが設置されており、地域の医療を支えています。ここは保健省の管轄にある公的な病院で、医師や歯科医師、看護師などが働いています。Primary Careという観点からは、とても整備された環境があると思います。
ちなみに、SM Foundationはショッピングモール(めちゃくちゃある)などを経営する企業が作っている財団です。この病院もそこから支援を受けているようです。
Health Centerの役割
Health Centerは地域の住民について長期的な保健状態を診る総合性と受診のしやすさを特徴としています。3-4万人ほどの人口をこのクリニックでカバーしているそうです。主な役割としては以下のとおりです。
・ワクチン接種
・結核のフォローアップ外来 (動線を分けるなど工夫)
・歯科診療
・出産
・風邪などの外来診療
TB DOTS Center
結核は長期にわたって治療が必要です。そのため、患者が適切な容量の薬を服用することを医療従事者が直接確認し、治癒するまでの経過を観察する必要があります。この方法として、直接服薬確認療法(Directly Observed Treatment Short-Course, DOTS)と呼んでいます。コロナ禍ではスマホを用いて、動画を撮影し送信することで確認するという工夫をしていたそうです。
小児のワクチン接種
病院へ来た小児だけでなく、個別訪問をしてワクチン接種を実施していました。母子健康手帳のようなものだけでなく、ワクチンスケジュールとその記録用の紙を配って適切なワクチンが接種できるように配慮されていました。BCG, B型肝炎, DPT-Hep B-HIB(ジフテリア、破傷風、百日咳、肺炎球菌、髄膜炎、肝炎が一つになったもの)、ポリオ、MMR(麻疹、風疹、おたふくかぜ)などを接種していました。詳細は下の写真を。
最後に
このクリニックではfacebookを活用して情報発信もしていましたので、興味があればぜひみてみてください。日本ではこのようなPrimary Careという医療制度が十分になく、ゲートキーパー的な役割を担っているという意味では日本よりも優れた医療制度を確立していると感じました。
ワクチン接種をするときは子供たちは泣いていましたが、これによって守られているというのを目の前で実感すると感慨深いものでした。
参考資料
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