後悔しない学部の選びかた⑤〜教育学部〜
大学の学問や、大学生活をイメージしにくい高校生にとって、学部を選ぶのは難しいと思います。自分の興味のあるものを、何学部で勉強することが出来るか分からなかったり、そもそも自分が何に興味があるかが分からなかったりすることもあるでしょう。目的もないまま大学に進学してしまうと、大学に入った後で、何をすればいいかが分からず、こんなはずじゃなかったと後悔することだってあります。
後悔しない大学生活は、自分にあった学部を選ぶことから始まります。ここでは、九州大学で活躍する学生が、何を学びたくて自分の学部を選んだのか、実際に何を学び、どんな生活を送っているのかを紹介することを通して、自分にあった学部を考えるきっかけを生み出したいと思っています。
第5回目に紹介するのは、九州大学教育学部4年生の辻本陸さんです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー名前:辻本陸
所属:教育学部
大学に入る前に学びたかったことや、考えていた将来の夢
僕は勉強が好きなタイプだったので、中学3年生の頃から教師になりたいと思い続けていました。
大学では授業で使えるテクニックや授業の構成方法など、生徒が楽しく・深く学べるような教育方法を学ぶために、理論的なことが学べる研究系の大学に進もうと思いました。
(元々は教育大学を志望していましたが、いろんな分野を専攻している人がいる総合大学の方が刺激に溢れていそうだったので変えました)
大学で学んでいることや、課外活動の取り組み
現在、大学ではカリキュラムというものについて学んでいます。カリキュラムというのは「学びの経験の総体」と説明されます。つまり、学校生活でどのような教育を受け、そこでどのような学習活動をし、そこから何を学ぶかといったことをひっくるめて「カリキュラム」と言います。僕は、学校での学び——カリキュラムをデザインするための枠組みを、理論的に研究しているところです。特に、子どもたちが自ら学習に向かい、自ら考えを深めていくようなカリキュラムをデザインするために、心理学や社会学、脳科学、哲学といった分野もかじりながら(どれも楽しい!)、日々考えを深めています。また、中学校社会・高校地歴・高校公民の教員免許を取ろうとしています。
課外活動としては、今年の2月にフィンランドの学校現場を視察してきました。これはGTP(Global Teacher Program)という研修プログラムで、年齢に関係なく教育に熱い思いを持った人たちが集まって、教育先進国フィンランドの学校教育視察から学び、議論を繰り広げるというものです。ここで多くの志高い仲間に出会い、日本の教育の望ましい在り方を今でもzoomやLINEで語り合っています!
高校生へのメッセージ
もちろん、専門学校や就職といった大学以外の選択肢もありますが、僕は当事者として大学進学に話を絞ります。
まず伝えたいのは、明確な目的もないのに「現役で大学に合格する」などの中身のない目標を立てるのはもったいないということです。大学生活というのは、自分の好きなことを徹底的に追究できる非常に貴重な時間だからです。
大学の勉強や研究がおもしろくなるのは、自分の興味関心とは関係がないと思っていた領域の知識や考え方が結びついてくるところにあると思います。元々は教育を学ぼうと思っていただけでしたが、高校の倫理で習ったような近代の哲学者たちの思想や、大学の基礎教養の授業で習った法学・政治学・経済学・社会学といった分野の知識・考え方が自分の研究に深みを出してくれるものだと分かりました。過去の学者が書いた本を読み解くのにも現代文のトレーニングが役立っていますし、英語の文献だって読むことがあります。教育は人間の発達に深く関わる学問なので、生物や化学の知識が役に立つこともあります。テストの分析をする授業ではがっつり数式を扱いました。今の勉強がおもしろくないという人も、めぐりめぐって自分の興味に結び付くと思いながら向き合っておいて損はしないと思います!