Back to 2014
またセンター試験を受けることになるなんて、思ってもみなかった。また一から大学生活を始めることになるなんて、思ってもみなかった。また友達と夢を語れるようになるなんて、思ってもみなかったんだ。---
2019年の僕は、2014年の僕を追いかけていた。一番輝いていた自分だったから。東大の文一に合格し、アントレプレナーシップに出会い、シリコンバレー研修にも参加した(実際に渡米したのは2015年の3月だが)自分。何事も上手くいって、自分なら何かを変えられると信じていた。帰国後は英語教育のありかたに疑問を持って、自分で考えた上で行動に移したこともあった。今でも思う、僕の全盛期。
今年の4月。あの頃と同じ大学一年生の自分。入学式で配られたパンフレットに見た、「アントレプレナーシップ」の文字。戻りたいと思った。QRECの授業は受けられるだけ受けた。起業部にも飛びついた。「何かを変えられる人になりたい」一度抱いた憧れは、簡単には消えないみたいだ。
運命というのはどこまでも面白い。アンキャリがやっていることは、僕が参加したシリコンバレー研修に似ていた。研修の方は、サンフランシスコやロサンゼルスに住んでいて、自分が会いたい人に対して自分で連絡をして会いに行くというプログラムだった。アンキャリはその逆で、自分が会いたい人に自分で連絡をして九大に来てもらう。やっていることは真逆だったが、どこか懐かしさを感じながら取り組んだ。そして次第に、僕は「2014年の僕」に近づいていく。
幸運なことに、僕は友達に恵まれた。同級生とは年齢で言えば5歳ほどの差があったから、気の合う仲間ができるとは思っていなかった。ただ実際は、年齢を気にしていたのは僕だけだった。悩みを聞いてくれる友達ができた。夢を語り合える友達ができた。困った時に助けてくれる友達ができた。一人一人が僕にとってかけがえのない存在になった。この人を支え続けるために成長したい。そう思える仲間に出会えたのは、きっとこれが初めてだ。
こんなに幸せになるなんて、夢にも思っていなかった。夢なんてみてなかったくらいにふさぎ込んでいた。そんな自分が、家族に支えられて九大に来て、仲間に支えられてちゃんと大学生活を送れている。奇跡みたいだ。いや、奇跡なんだ。一つ一つの出会いが、一人一人の優しさが、僕に奇跡を起こしてくれた。
2014年の僕。何かを変えようとして、何も成し遂げられなかった僕。自分の力を過信して、何事も一人でやろうとした僕。あの頃の僕を、2019年の僕は追いかけた。そして、あの頃の僕にはいなかった仲間と一緒に、僕は「僕」を超えていく。