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純ジャパ社会人 24歳(♂)の英検1級合格記 【英語力編】




▶︎英検1級の英語力とは?

英検1級は,CEFRの「熟練した言語使用者」(上からC2, C1のうちC1)に位置する。

・英検1級の推奨目安:「大学上級程度」
・審査基準:「広く社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる。」

CEFRは,同レベルを以下のように定義する。

熟練した言語使用者:C1
いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の、詳細な文章を作ることができる。

公益財団法人日本英語検定協会公式HP

試験の基準を批判する訳ではないが,上記は英検1級を取得した私の実感とは乖離している。「広く社会生活で求められる英語を十分理解」するのは一苦労で,「広く社会生活で求められる英語を使用」できる場面は限定的。

CEFRの定義においても,それらは条件付きで達成できたり,日々のコンディションに結構左右される。「いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解」できないことはないが,時間はかかり,返り読みは必須。また,言葉を探している印象は与えまくり,非流暢に不自然な表現を頻発する。学問上の目的で英語を使うには,テンプレ表現の準備が必須。

残念ながら英検1級を取得しても,当人の英語力に劇的な変化はない。あくまでも,B1, B2の延長線上にC1の英語力がある。

この記事は,英検1級の取得と,その英語力を異次元の境地として夢見ていた,高校生の頃の私に向けて書いた。同時に,未来の私が過去を振り返るための回顧録である。以下で,語彙力/TOEFL iBTの得点/各技能で「できること」「困ること」「できないこと」を見てみよう。


●私の推定語彙数:約1.2万語

概ね,英検1級レベルの語彙数は1万〜1.5万語と言われている (上下の幅広すぎ!)。私がPreplyで推定語彙数を測定したら,結果は約1.2万語。ただし,C1レベルの語彙は,見聞きして意味は分かるが,コロケーションや用例のストックは限定的。英語のネットサーフィンでも,初見の単語にそこそこ遭遇するので,私はこの現状に満足していない (文脈や背景知識から推測可能で,数行に何個も未知語があって読解が妨げられるほどではない)。GRE (北米大学院進学用の学力テスト) では,語彙セクションは知らない単語だらけで,順位は下から数えたほうが早い (初回147点と,日本人にしては健闘した)。ESL向けのYou Tube鑑賞時は,単語で困ることはない (愛しのVeronikaとか)。


●TOEFL iBT:94点 (MyBest Scores:101点)

英検2次試験の前日に受けたTOEFL iBTは,94点 (内訳ーR:26, L:29, W: 19, S:20)。このTOEFLで,MyBest Scores (複数回受験したTOEFLのうち,各セクションの自己ベスト得点を組み合わせた点数) は101点 (内訳ーR:28, L:29, W: 24, S:20)。まだ1回の受験で100点を超えたことがないので,そろそろ100点超えを叩き出したい。最大瞬間風速 (4技能が自己ベストで同時に噛み合う)を出すのはまだ難しい。

・R:毎回25点を切らないが,テーマによって理解度が異なる / 完全理解はできない (制限時間内で一貫した理解はできない) / 文挿入問題とサマリー問題は毎回6,7割しか自信がない / 単語問題は即答
・L:一字一句聞き取れる(固有名詞や生物名以外)/ 時間が無制限で音源止めれるなら,通常速度に対してディクテーションできる / 音源を×1.5倍でも25点以上取れそう
・W:調子が良く,採点官が普通なら23点以上取れる / 採点官次第では点数が低くなる / 独自のテンプレを作り出せる 
・S:現状だと20点が限界 / Lが得意なので音源はすべて聞き取れる


●Reading:ネイティブには到底及ばないが,幅広く色々読める

・できること
英語のWikipediaやBritanica百科事典の内容を理解 / ネット上の英文記事を読む (新聞記事は無理) / 専攻分野の論文を英語で読む

・困ること
英語でネットサーフィンすると知らない単語はある / 英語の記事を読むと時間かかる / 日本語を読むようにはいかない / 長い英語記事は翻訳したくなる

・できないこと
Economist, NewYork Times等,英字新聞を読んで理解 (国際関係や政治の背景知識はない) / 英語小説を読む (現地の小学生レベルの小説でも無理)

→英検協会の定める「読む:社会性の高い幅広い分野の文章を理解することができる。」は感覚値で70%達成だが,理解への障壁は多く,流暢ではない。それなりの難易度と分量の読解は,英語ネイティブの4,5倍の時間はかかり,同等の理解度に追いつくには4,5回の再読が必要と思う(4,5倍で済めばいいのだが)。


●Listening:ネイティブスピードはきつい,ESL向け音源は余裕

・できること
簡単な英語ニュースの聞き取り / TOEFLのリスニング (29点 / 30点) / ESL向けの音源 (例えばVOA)を1.5~2倍速で理解 (字幕なし) / 英語話者と1:1で会話

・困ること
アクセント強めの話者のリスニング / ネイティブ複数人の議論に参加 / BBCアクセントを聞く / 日常的な雑音がある中で話を聞く

・できないこと
海外ドラマや映画のリスニング (半分以上聞き取れない) / BBCやCNNのリスニング (背景知識がない) / ネイティブのマシンガントークを聞く

→英検協会の定める「社会性の高い幅広い内容を理解することができる。」は,対策した試験やESL向け教材では,80~95%達成できる。1:1で英語話者との会話も問題ない。一方で,スラング,口語, アクセントを含め,リアルでの運用 (雑談 / アカデミック議論 / ビジネス会議 / 交渉等)のためには,今まで以上の質と量の訓練が必須。


●Writing:語のニュアンスまで考えて書けないが,意見が形になる

・できること
英語の試験で求められる5段落構成の英作文 / Grammarlyと共に英語で卒論執筆 / ネイティブや,凖ネイティブ(主にフィリピン人)とのチャット/ 自分で書いた文の文法的な誤りに気づく / 自分で英文メールを執筆してネイティブに送信 

・困ること
TOEFL writingで安定して24点以上を得点 / IELTSのTask 2で7.0 

・できないこと
Grammarlyや生成AIの補助なしでSoPや論文の執筆 / 各語の細かい意味やニュアンスの違いを考えて文を作る / 英語を英語のまま考えて作文

→英検協会の定める「社会性の高い幅広い話題についてまとまりのある文章を書くことができる。」は,細かい言葉のニュアンスを除けば,達成できる。カジュアルなチャット,フォーマルなeメールも失礼なく自力でやり取りできる。ただし,アカデミックな文章には添削が沢山入る。


●Speaking:最低限意図は発信できるが,マシンガントーク不可

・できること
オンライン英会話で非ネイティブ(主にフィリピン人講師)と滞りなく会話 (あなたの英語理解できない,と言われたことは多分ない)/ ネイティブとの意思疎通 (英会話の受講プラン上,あまり機会がないので詳細不明) / 英検の2分間スピーチと質疑応答は,沈黙作らずに対話可能

・困ること
とっさに思ったことを英語で話す / 日常的な話題を話す>>自分の意見を言う / 同じ意味の文を別の言い方で言う

・できないこと
単語,文法のミス0で話す / 単語,文法に意識を向けずに自然に発話 / フォーマル度を意識してTPOに沿った発話 / マシンガントーク / 長い文で話す / 議論で意見をまとめる / 日本語で思ったことを意味の脱落なく発信 / スラング
/ ネイティブや,凖ネイティブ (フィリピン人)のように話す

→英検協会の定める「社会性の高い幅広い話題についてやりとりすることができる。」は,話す内容や,場面で到達度に差がある。オンライン英会話での意思疎通には困らないが,英語話者と対等に井戸端会議に参加はできない。複数人の議論の場では浮いてしまいそう。顔を隠して私が英語を話せば,発音や話し方から,アジア人だということは明らか(侍アクセントからは脱却したので,日本人だとはズバリ当てられないくらい?)。


【Short summary】

私の場合,英検1級合格者 (CEFR C1 レベル)は……
●語彙力:最低でも1万〜1万2千語 (n=1)
●TOEFL iBT:通常90~100点以上 (90点は切らなそう)
●4技能:各技能できる幅は広がったが,できないことも複数ある
●体感:ようやく英語の基礎ができたかも(?),という感じ
●ネイティブ比:英語力は全技能,ネイティブの足元にすら及ばない

24 y + 61 days since my birth. July 22, 2024.

Acknowledgements:
Thanks to Mr. N, the greatest teacher throughout my life.


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