
さくらの精?じゃないみたい
川崎桜ストーリー
うちの学校には大きな桜の木がある
別に木の下で告白したら結ばれるとか
決まった事もない
普通に校庭にどっしりと佇んで
生徒達を見守ってる
〇 …もぐもぐ
その傍で1人お昼ご飯を食べる主人公
ぼっちでも
別にいじめられているわけでもない
一人の時間が大事だから
偶に1人の世界に入りたくなるのだ
春の陽気に誘われて自然と足が向いた
桜の木に導かれる様に…
〇 あぁ美味しいかった
母親の手作りの弁当
忙しくても作ってくれる
冷凍食品が入ってるのはお約束
これがうちの味なのだ
食べ終わりゆったりする
心地よい風が吹き
体を揺らす
お腹は満足
地べたに座りぼーっとすること数分
どこからか声が聞こえた
?? 美味しかった?
〇 うん
………えっ?
?? ふふっ♪
声が聞こえた
ただ姿が見えない
〇 だ、誰だ?
?? ふふっ
質問に返答はなかった
あたりを探すが姿はない
それ以来声も聞こえなかった
〇 …まさかね
見上げる大きな桜の木
風にゆれる木の下で俺は不思議な体験をする
毎回ここに来るとその声は聞こえた
食べ終わる頃を狙って
タイミングが凄くいい
時間をずらしてみても可笑しな事に
それでも変わらないって言っても
実は正体ももう分かっている
〇 …ご馳走様
今日も木々がザワザワしだす
季節は夏に入る頃
そろそろ答え合わせをしたい
?? 美味しかった?
〇 うん美味しかった
?? へへっ♪
〇 …あのさ
出てきたら?川崎さん
?? …だ、誰の事〜?
〇 同じクラスメイトの川崎桜さんでしょ?
?? …そっかぁバレてたー

木の後ろからひょこっと現れる女の子
うんやっぱり
〇 そりゃあクラスでも話すし
ここに来るのもクラスが同じとか
じゃないと分からないでしょ?
正当な事を言う
桜 そっかぁ そうだよね〜
〇 うん
それで川崎さん俺に何か用かな?
桜 うーんなんだっけ?
腕を組んで考えてる
ふわふわした姿にはミスマッチな姿
思わず笑みがでる
〇 ふふっ
桜 どうしたの〜?
桜の事みて笑ってるけど
〇 いや何でもないよ
桜 そっかぁ
〇 うん
そう話した彼女は自然な動きで隣に座る
それが本来の場所だと主張する様に
〇 えっ!?
桜 何でそんなに驚くかな〜?
〇 う、うん
クラスでの川崎さんってもうちょっと静かで
大人しいイメージ
こんなにグイグイくる子だとは思わない
裏表があるって悪い言い方じゃなく
本当にそう思っての言葉
そんな自分の感想など彼女には関係なく
話し続ける
桜 この木にね〜桜の精霊がいてさ
〇 そうなんだ
桜 実はね桜が演じてたの♪
〇 …うん今までの流れだとそうでしょ
桜 そうかな〜?
分かんないと思ってたけど
〇 俺が声掛けなかったらずっと演じてたの?
桜 それは分からないかな〜?
だって桜の方が
我慢出来なくて出てきてたと思うし
〇 そうなの?
桜 うん〇〇くんを見守る♪
〇 み、見守る?
うん何かちょっと変な子だ
ふわふわとして可愛いんだけど
〇 じゃあ昼ご飯の時には一緒に食べる?
桜 ほんと!?いいの?
〇 うん
桜 わぁ♪じゃあさ…
〇 う、うん///
ニコニコして笑う川崎さん
照れてしまった俺に考えなしに
顔を近づけられ一言
桜 じゃあ手作りのお弁当作ってあげるね♪
〇 へっ?いいの?
桜 うん 料理した事ないけど大丈夫!
〇 …おーそうなんだ
桜 うん!
〇 じゃあ楽しみにしてる

桜 まかせて〜♪
その日ひょっこりと姿を現した桜の精の正体は
ちょっと変なふわふわした女の子でした
そして次の日
お弁当食べてお腹痛くなったのも別の話
桜 あれ〜?ごめんね〇〇くん
〇 も、もうちょっと勉強しようか?
桜 うん♪桜がんばるよ〜♪
桜の精よどうか次はしっかりと焼いて下さい
あと味見もお願いします
俺には甘すぎて食べられ…
桜 そんな事言うと桜間違えて塩多めに
入れちゃうかもな〜
〇 ご、ごめんって
おわり
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