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【非デザイナー向け】デザイナーに必要な能力

前回のnoteは、無風かなー🌀と思っておりましたが、お陰様で、期待した以上の多くの方に読んでいただきました。ありがとうございました🙇‍♂️!

今回は、前回の続編として、コンサルタントとの共通点や相違点を織り交ぜながら、デザイナーに必要とされる能力についてお話しできればと思います。

デザイナーとコンサルタントって、対極にいるんじゃないか?」と思われる方も多いと思います。そもそも違う職種なので、違っていて当たり前ですが、私の中ではわりかし地続きで、共通する部分も多いと考えております!

今回も非デザイナーの方、とりわけ、コンサルタントの方、経営企画やマーケティング、事業開発、プロダクトマネージャーを担当されている方、さらには、最近、デザイナーと協業することが増えてきた方、これからデザイナーを目指す学生の方、デザイン会社への転職を考えている方にも読んでいただけますと大変嬉しいです!

本noteをご覧いただく上での留意点

・今回は、マインドセットやスタンスも含めた必要な能力にフォーカスをあてております。「素質」や「資質」という言葉ではなく、「能力」という言葉を使用しているのは、これらは後天的に身につけることが可能であることを意図しています。一方、とても重要ですが、グラフィック作成やコーディング、リサーチ設計、インタビューのファシリテーション、資料作成、プレゼンテーション等のスキル面にはあまりフォーカスをあてていません。

・デザイナーと言った場合に、グラフィックデザイナーやWebデザイナー、インダストリアルデザイナー等の様々なデザイナーがいますが、今回は、UI/UXデザイナーやクライアントワークを行うデザイナーの目線にやや寄っている場合もありますのでご了承ください。

・当然、会社・事業体、役職・ポジション、テーマ・領域、事業・プロダクト・サービスのフェーズ(0→1、1→10、100→1,000)の様々な条件や状況により、デザイナーに求められる能力は異なりますが、ある程度共通して必要だと考えた能力を抽出しています。

・なお、社内の他のデザイナーにも意見をもらった上で、まとめています。

それでは、コンサルタントとの共通点や相違点に触れながら、デザイナーに必要な5つの能力について、ご説明したいと思います!

デザイナーに必要な5つの能力

1. 共感力

デザイナーは、ユーザに関心を持ち、彼ら・彼女たちが抱える感情や言動を自分なりに理解し、寄り添っていくスタンスが求められます。デザイナーは、「n=1」の声を大切にしますが、ユーザのことを深く理解するために、まずは、共感力を持つことがファーストステップとなると考えています。
(ただし、共感したからと言って、ユーザの言動をそのまま鵜呑みするわけではないので、ご注意ください!)

ビジネスを行う上で、知らず知らずの内に、ユーザを、1人の人間としてではなく、企業側の論理や都合によりデフォルメされた対象として、見てしまうことも多く、本当の意味で、ユーザの声を聞いていない、しっかりと寄り添えていないこともあるかと思います。

また、クライアントワークに携わるデザイナーは、様々な業界や領域のデザインを担当しますが、デザイナー自身が、それらのユーザであるケースはあまり多くなく、自分とは属性や趣向、環境が異なるユーザについて、きちんと理解する必要があります。

ちなみに、「共感」という言葉ですが正直、コンサル時代は仕事をする上では、あまり使わない、聞かない言葉でした(一応、他者に共感できるぐらいの人間性は持ち合わせているつもりですし、笑 共感力はとても重要だと思いますが)どちらかと言うと、コンサルタントは、まずは複雑に絡み合う物事を自分なりに理解し、現状を客観的かつ分かりやすく整理することがより求められていると思います。

2. 知覚力

まだ顕在化していない「まさかそんなところに」というニーズを洞察し、新たな「無形の価値」を見つけ出す知覚力も、デザイナーに必要な能力の1つだと考えています。

デザイナーは、ユーザとの対話や行動観察等を通じて、自ら一次情報に触れ、彼らの思考や価値、ニーズを理解し、そこから意味を解釈した上で、ユーザが本当に求める価値に転換する力が求められます。

とりわけ、UXデザイナーの場合、ユーザの体験価値やサービス全体のユーザ体験を設計する際、使い心地や安心感といった、目に見えない無形の価値を知覚し、それらをきちんと形にできるよう概念を言語化するプロセスが重要となります。当然、これは、容易なことではありませんが、こうしたプロセスに面白さを感じる方は、デザイナーに向いていると思います!

もちろん、コンサルタントも、こうした知覚力を有していると思いますが、見るべき対象の軸足はユーザよりも、クライアント側に置かれている場合が一般的です。

また、コンサルタントは、クライアントを取り巻く外部環境や内部の現状・課題等、複雑ではあるものの、比較的、知覚や認識がしやすい事象を扱うケースが多く、デザイナーのように、ユーザ、さらにはn=1の感情や価値、潜在ニーズといった、目に見えにくく、やや捉えづらい事象を扱う機会はそこまで多くありません。

加えて、コンサルタントもプロジェクトの中で、ユーザインタビューを実施することが多いですが、デザイナーのように、ユーザの言動から価値を知覚し、新たな価値を探索するというよりは、市場を代表するボリュームゾーンのユーザの属性や特徴について理解し、彼ら・彼女たちの課題やニーズを特定した上で、これまでの仮説や結論をサポート・証明するためのファクトやエビデンス収集の手段として、ユーザインタビューを行うことが多いです。(なお、コンサルの場合、やや極端なユーザの声は、いわゆるハズレ値として扱うこと傾向が強いです。)

3. 不確実さ・曖昧さの受容性

事前に計画を立てつつも、それに固執しすぎず、時に予想を裏切るプロセス展開も含め、不確実さや曖昧さを受け入れながら、楽しむこともデザイナーに必要な能力の1つだと考えています。

後述しますが、デザインプロセスは、まだ柔らかいアイデアの段階でも、プロトタイプを作り、素早くユーザに当てながら、検証を繰り返すサイクルを回しながら進めていきます。
こうしたプロセスの中で、「あれ?この前と全然違うじゃん」、「あれ?むしろ、前に戻ってない?」というように、時に大きくジャンプしたり、時に戻ったりを、繰り返しながら進んでいくことが一般的です。
なお、コンサル時代は、ややネガティブな意味で、前者を「ガラ変」、後者を先祖返り」という言葉で呼んでましたが😹、こうした不確実性と曖昧さを受け入れられる受容性も、デザイナーに必要な能力の1つだと思います。

4.  発想力・統合力 

既存の枠組みに捉われない発想力が求められると同時に、多様で相互に矛盾するアイデアや視点、情報を融合させながら、うまく統合していく力もデザイナーに必要な能力だと考えています。

デザイナーは、ユーザを起点としながら、このパターンを他の領域で組み合わせるとどうなるのか?といった横展開的な発想をしたり、時に、プロダクトやサービス、そして企業の歴史にまで遡ったり、社会的・文化的な背景・文脈にも着目しながら、徐々に発想を膨らませながら、一見、無関係でバラバラに見える事象を、ストーリーとして紡いでいきます。

言い換えると、点と点の新たな繋がりを見つけ、それらを繋ぎ合わせ、新しい価値を創出していくイメージです(Connecting The Dots)。
2. 知覚力や5. プロトタイプ思考・実装力にも関連しますが、これらの過程において、いわゆる収束と発散(いわばボケとツッコミ👬)を繰り返すプロセスを踏みます。

実は、コンサルタントも、デザイナーと同様、発想力や統合力を駆使しながら、ディスカッション等を通じて、発散と収束のプロセスを踏むことは多いです。ただし、個人的な所感ではありますが、コンサルタントは基本的にはロジックを拠り所にしているため、デザイナーと比べると、発散フェーズにおけるアイデアのジャンプの幅はやや小さく、どちらかというと収束の方を得意とする人が多い印象です(一方で、全体感、網羅感、腹落ち感が担保されやすい傾向にあります)
ちなみに、アイデアの絞り込みやブラッシュアップに向けた収束フェーズにおいては、事前にいくつかの基準(コンサルではクライテリアと呼びます)を設定した上で、可能限り、ロジカルかつ定量的に決定し、できるだけ例外を排除していくことが一般的です。

誤解がないようにしておきたいのですが、当然、優秀なデザイナーは、決して、自分の思いつきや突拍子もないアイデアで勝負しているわけではありません。むしろ、ビジネスやエンジニアリングを理解した上で、時にジャンプしつつも、ロジックに則り、ユーザを起点とした一貫性のある価値やストーリー、プロダクト・サービスづくりを重視しています。

5. プロトタイプ思考・実装力

3. 不確実さ・曖昧さの受容性でも少し触れましたが、コンセプトや提供価値、コアとなる体験等のアイデアがまだ柔らかい段階から、プロトタイプをつくり、素早くユーザに当てて、検証を繰り返しながら、ブラッシュアップするサイクルを回していくプロトタイプ思考もデザイナーに必要な能力の1つだと考えています。
また、最終的には他のデザイナーやエンジニア等と協業しながら、ユーザーが価値を実感できるように最終的なプロダクトやサービスにまで落とし込む実装力も必要となります。

一方、コンサルの場合、フラグを立てるような感じで、まずはゴールを設定し、そこから逆算しながら計画を立てて、その計画に則り、Step by Stepで、ライナー的なアプローチで進めていくことが一般的です。
当然、適宜、仮説やアプローチ、スケジュールの軌道修正は行いますが、なるべく手戻りが発生しないように、事前に綿密なプランニングを行い、可能な限り、不確実性を排除することが求められます。
また、昨今、コンサルティングファームもデザイナーの採用や、デザイン会社の買収を行なっているため、一概には言えませんが、一部のコンサルティングファームを除き、実際のプロダクトやサービスにまで落とし込むケースは全体としては、そこまで多くないと思います。

ちなみに、自分の中のイメージですが、両者のアプローチの違いを図にするとこんな感じです!
コンサルアプローチは、レーザービームのようにライナー的に進んでいく一方、デザインアプローチは、時に前に戻りながらも、ぐるぐると前進していくイメージです

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個人的な本音を申し上げますと、これまで、考えてから手を動かすこと(言い換えると、無駄なことは極力避けて、最短で答えにたどり着く)に慣れていた身としては、こうしたデザインアプローチが新鮮に映る一方、時折、「本当に前に進んでいるのかなー?」と少しモヤっとする場面もあります。
そういう時は、気を取り直して、「これも、もっといいアウトカムを生み出すために必要なプロセスだ!」と自分に言い聞かせることもあります。
(ごく稀に、プロジェクト中、遭難しているだけの場合もあるかも知れませんが🙀)

これは、どちらが正しいのか、間違っているのかといった話ではなく、状況に応じて、都度、この2つのアプローチを使い分けたり、組み合わせる等、柔軟性な対応が重要だと考えています。

最後に

上段で書ききれなかったため、少し補足しますと、デザイナーとコンサルタントに共通して必要なマインドセット・能力としては、好奇心、学習意欲、前提を疑い本質を捉えまえる力、が非常に重要となります。
これらは、上記で挙げた5つの能力の根幹となると考えています。

当然、これらの要素は、デザイナーやコンサルタントに限らず、多くのビジネスパーソンが身につけるべきものだと思いますが、とりわけクライアントワークを行うデザイナーやコンサルタントにはより一層必要とされるものだと認識しています。

また、今回しっかりと説明しきれませんでしたが、論理的思考力、言語化、構造化、具体⇄抽象の思考の行き来、ドライブ・ファシリテーション力といった、一見、コンサルタントに必要とされそうな能力も、デザイナーにも必要な能力だと考えており、両者は地続きの部分が大きいと考えております。(今回と逆パターンで、コンサルタントに必要な能力を説明した上で、デザイナーとの共通点、相違点を話してもいいかも知れませんね。)


以上です!
今回もそれなりの長さになりましたが、ご覧いただきましてありがとうございました。

続編の投稿、なるはやでがんばります💪😂


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