序章 始まり編|The Beginning 『4 破壊の力』
奴の背後には既に魔王軍がいた。
「なッ――あの大地をどうやってッ――!!」
あの高さと魔法で全員登った?いやあの魔力なら可能か……だったらもう魔力は少ないはず……。
その瞬間、魔王軍が突撃してきた。
「クソッ、魔王軍を殲滅しろぉぉぉぉぉッ!」ラウルは指示を出し、盛り上がった大地から降りてくる魔王軍を光の騎士と暗黒騎士が切り刻んだ。
雑魚はいいッ、問題はあいつだッ!ラウルは黄金の鞘から剣を抜き、丁度迫ってきた奴に剣を振り被った。
「ハァァァァァッ!」
奴はラウルの剣を素手で止めたのだ。
くッ、何だこいつはッ!
こいつは神を凌駕しているッ――!!神々の実力で上位に入るラウルが冷や汗を垂らした。
グシャッ、と硬い地面に強く叩きつけられたレイムは意識を失った。
力が足りない――今の自分の実力では!
他の神から見ても破壊の力というものは恐ろしくもあり、謎であった。強さを求めた先になるがあるのかは進んだ者しかわからない。
必ず約束されるモノは、絶対的な力!神であり、その力は万能ではない……この世界において万能な力なんて存在しない。
破壊神――。
ジュウロウからは破壊神は悪くないとずっと言ってきた。
その類の話をするときは……。
二代目は機械のような人格で善か悪かで判断し、二代目様は悪と判断され、裏切りの神とされたこと、それを止めようとしたが、二代目に利用され、そして実の父に殺され、三代目破壊神の死によって大戦は終結した。
四代目は迫害され、レイムですら神々が恐れる存在となっている。
「なら、呼び覚まそう……」
「え……」レイムの耳に声が囁く。
漆黒の空間に誰かいる。
レイムとは少し年上の少女の声……それが形となり、レイムに近寄る。
「さぁ、曝け出しなさい!」
その漆黒に包まれた少女は、レイムを包み込む。
するとみるみると下半身が生えるように再生していった。
これはどんな力なのか……。
再生の力なのか……。
破壊の力だけの途轍もない自己再生能力なのか……。
自分でも不明な破壊の力なのか……。
五代目レイム・レギレスは異例の個体である。
この世界に能力というものがあり、この中で絶対的なもの……。
神の中で最強の固有スキルを持ち、それは基礎の『破壊之神(シヴァナーダ)』の他に『能力操作(スキルマスター)』と『絶対之命(アブソリュートライフ)』の二つも獲得した。
『能力操作(スキルマスター)』は固有能力(ユニークスキル)から無敵能力(チートスキル)へと宿した瞬間に変わり、この世界にいくつか存在するまさか無敵の力が神にも宿ったのだ。
そして『絶対之命(アブソリュートライフ)』は他者からの手で命を奪うことは絶対に不可能であり、命を絶つには自殺しか他ないという力である。
即ちレイムは戦いで死ぬことはなく、自分から手を下さない限りは死という概念が存在しないのだ。
それは一種の呪いでもあり、破壊神に似合った力である。
そして『能力操作(スキルマスター)』は自分の周りの能力を奪う、獲得できる能力であり、複数の能力を合成することも可能である。
弱点として見る前から発動済みの能力を奪うことはできない。
獲得できる条件として、視界に入ったり、自分の周囲で発動した能力を感知することができ、発動した能力は獲得できる。
これが五代目破壊神レイム・レギレスに与えられえた能力である。
そしてレイムの下半身は完全に元に戻り、ゆっくりと立ち上がり背中には漆黒の翼を生えていた。
閉じていた瞼をゆっくりと開け、その目には黒く輝く紋章が浮かび上がっている。
「さぁ、殲滅だ――!!!」人格が変わったようにそう呟き、上を向き翼を動かし、一瞬にしてその場に姿はなかった。
~コメント~
覚醒ではないですけど、その力はサブタイトル通りの破壊の力が関係しているのです。