作家・ライターのための「やってはいけないギャラのお作法」とは?
■編集者は〇〇な人が嫌い
突然ですが、あなたは歌舞伎をご覧になりますか?
人の情緒や喜怒哀楽を、豪華な衣装や舞台装置で演出する歌舞伎は
日本人はもちろん外国人も虜にしてしまう
まさに大人のたしなみの集大成。
その根底にある考え方は「粋な世界」と言えるでしょう。
デジタル大辞泉によると
「粋」とは気質・態度・身なりなどがさっぱりとあかぬけしていて
しかも色気があること。また、そのさま。
その対義語の「野暮」は、人情の機微に通じないこと。
わからず屋で融通のきかないこと。また、その人やさま。無粋とのこと。
この「粋と野暮」という考え方が
作家・ライターが編集者とギャラの話をするときに顔を出してきます。
結論から申しますと
編集者は最初にお金の話をする人を野暮だと思う傾向があります。
そしてぐいぐいお金のお話をする人をとても嫌います。
仕事の対価に対してのギャラの確認なので何の問題もない。
むしろ当然だ!と、あなたは考えるかもしれません。
でも「あなたの常識は他人の非常識」なことが
世の中には存在するのです。
編集者からすると2つの観点でいきなりギャラの話をされると
もう仕事を頼みたくないと思ってしまうのです。
■編集者が仕事を頼む時に考えていること①
「この人、納期は守ることができるのか?」
どんな仕事にもスケジュールがありますが
こと物書きの世界では良い物さえ書ければ
納期は少しくらい遅れてもよいというような風潮があります。
でもこれは完全なデマ・間違いです。
世の中は働き方改革が叫ばれる令和です。
編集者も会社員の一員。
約束した日までに原稿を上げてくれないと困ってしまいます。
その納期を守るという実績が無い状況でギャラの話をされると
「やることやってから言って欲しい」と思い
野暮な人というレッテルを貼られ、避けられてしまいます。
■編集者が仕事を頼む時に考えていること②
「そもそも面白いものを書けるのかな?」
どんなに実績がある人でも
新しい仕事・人間関係に置いては新人と同じ立ち位置になり
まっさらな状態で初めての編集者と向き合うことになります。
そこで重要なのは編集者の要求に応える面白い原稿を書くこと。
こればかりは書いてみないとわからない。
でもそのわからない状態にも関わらず、ギャラの話を先にすると
ここでもやっぱり野暮な人と勘違いされてしまいます。
■粋なギャラのお作法とは?
上記を整理すると
「面白い原稿を約束通りに書いてもいない段階でギャラ交渉をするな」
ということになります。
逆に言うと、あなたが約束通り面白い書けるとなれば
相手の態度も変わります。
その信用が置かれた状況になって初めてギャラ交渉をすべきなのです。
私はこの編集者のやってはいけない常識を知らず、
数々の仕事が破談になったり
複数回の打診だったものが単発に変更などの痛い目にあってきました。
粋と編集者に思われるために、以下の工夫を行いましょう。
書籍の依頼であれば、相手からギャラの打診を待つ。
=出版間近まで契約書が送られてこないのが普通です
雑誌・WEBの記事執筆であれば、5回以上仕事を頼まれてから交渉する。
=最初の5回まではあなたの腕を確認するお試し発注です
これらの編集者側の気持ちを踏まえれば
あなたの仕事も増え、
また気持ち良くギャラ交渉をすることができます。
でもそもそもギャラ交渉って、どうすればよいの?ですって。
だいじょうぶです。
次回、あなたのために「禁断のギャラ交渉術」をお話しますので
ぜひご期待ください。