ジャズサックスにおける「良い音」についての考察
こんばんは。
ジャズサックス奏者の津田亮輔です。
今回は、ジャズサックスにおける、良い音についての僕なりの考察を記事にまとめました。
サックス吹きの方や、ジャズサックスを聴き始めた方などの参考になればと思います。
良かったらご覧になってください。
ジャズサックスにおける良い音とは
日常的に、プロミュージシャン達のジャズサックスの音をライブ、レコード、CD、YouTubeなどから聴いている方は分かると思いますが、サックスの音の聴こえ方は、同じ音程の音でも十人十色と言っていいほど、吹く人によってまったく違います。
丸い音であったり、尖った音であったり、音程が少し高かったり低かったり、音量が大きかったり小さかったり、などなど。
様々な要素によってサックスの音に違いが見られると思います。
そこで、良い音とは何か?とか、どんな音がジャズらしい音なのか?、とかどんな音が正解なのか?などと考える方も多くいることでしょう。
最近では、YouTubeなどでジャズらしい音の出し方の解説などをしている方も多く見受けられます。
しかし、ここで僕の考えを述べさせてください。
サックスの音に正解なんてないし、ましてやジャズらしい音ってなんやねん!!
ということです。
つまり、何が言いたいかといいますと、結局、どのようなサックスの音の聴こえ方を良いと思うかは人それぞれなのだから、どのような音を良い音だと特定することはできないということです。
例えば、ピッチが少し低めのサックスの音が好きという人がいれば、反対に少し高めのほうが好きという人もいるし、音量が大きいほうが迫力があって良いという人もいれば、小さい方が聴きやすくて好きという人がいるわけなのです。
それでは、サックスはどんな音でも良い音なのか?と言いますと、それもまた違ってくるわけです。
オンリーワンな音が1番注目される
そもそも、ミュージシャンというのは、他の人と同じような音をしていると、真似しているとか二番煎じだとかいうような評価を受けてしまうため、常に新しいサウンドを目指すものです。
そして、ジャズをかじっている人であれば誰もが知っているような偉大なジャズサックスのミュージシャン達も、自分だけの音を持っている人ばかりです。
例えば、即興演奏を始めた人とも言われているチャーリーパーカーは、少し聴いただけでパーカーだとすぐに分かるようなシャープでかつ暖かみのあるサウンドを持っています。
他にも、ジョンコルトレーンは1音のロングトーンだけでも分かるようなオリジナリティ溢れる音をしているし、ジャッキーマクリーンは息が強烈に入っているのがわかる太い音をしているし、スタンゲッツはサブトーンが物凄く効いているのが分かるゲッツらしい音をしています。
つまり、僕はジャズサックスにおける良い音とは、「聴いててその人の音だと分かるようなオリジナリティ溢れるオンリーワンの音」なのかなと思っています。
とはいっても、ジャズの歴史は100年以上もあるわけで、フレーズとか関係なく、単純な音の質だけでオリジナリティを出すというのは至難の技であるし、中々難しいことだと思います。
オンリーワンな音を目指すために
オンリーワンな音を目指すために、どのようなことをすればいいのか。
結論からいうと、ジャズミュージシャン達の歴史を辿ることが1番効果的なように思います。
偉大なチャーリーパーカーは、元から何でもできたわけではなく、レスターヤングやジョニーホッジスなど色々な人の影響を受けてあのスタイルと技術を確立したのです。
そして、パーカー以降のミュージシャンは全員がパーカーの影響を受けています。
つまり、オンリーワンの音を目指すためには、偉大な先人達の技術を盗み、自分の中に昇華しつつ、自分の中の美意識に乗っ取りさらに発展させることが重要となるということです。
偉大なジャズミュージシャン達の技術的な共通点の考察
僕も、オンリーワンな音を目指すために、様々な偉大なサックス奏者達を研究していますが、彼ら全員の奏法にはある程度の共通点があるように思います。
それらを簡易的に箇条書きでまとめると、以下の通りです。
・息を真っ直ぐに吹いている
・息をたっぷりに吹いている
・下唇のクッションがものすごい
個人的に全員に共通しているなと思うのは、上記3つです。
順番に説明してきます。
まず、息を真っ直ぐに吹いているということですが、これは息の向きが常に真っ直ぐであり、息の流れにブレがないということです。
つまり、ロングトーンをしたときに、出音から音の切りまでの間に、息の向きが変わらないためピッチの揺れなどがなく、綺麗に聴こえるということです。
基礎的な話ですが、これをしっかりとできている人は少なく、プロでもたまにできていない人も見受けられるため、難易度の高い技術であり重要な美意識であるように感じます。
次に、息をたっぷりに吹いているということですが、これは単純に息の太さですね。
特にパーカーなどCDで聴くと、尋常ではなく息が入っていて楽器が良く鳴っているのが分かります。
太い息がしっかりと入っているかというのは、楽器の鳴りにも関わってくる重要なスキルのように思います。
そして、最後の下唇のクッションがものすごい、という話です。
サックスを吹く方は分かると思いますが、下唇の抵抗をリードにできるだけ掛けないようにすることで、柔らかい音を出すことができます。
これらの技術が、先人達全員に共通して物凄いなというように感じます。
他にも、音に関してだけでも思うことはたくさんありますが、全員に共通している音に関する卓越した技術はこれらのように思います。
とりあえず、僕が良い音を目指すために考えていることは以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。