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姿勢コントロールとは何か
こんにちは。今日もつらつらと書き連ねていこうと思います。今日のテーマは 「姿勢コントロールとは何か」 です。
セラピストが脳性麻痺のリハビリを行う際に、最も基盤として考えなければならないのが 姿勢コントロールです。ただ、これが意外と厄介で、目に見える数値で測れるものではないため、「一体どういうものなんだろう?」と思っている方も多いと思います。実際、僕自身もまだ全てを完璧に説明しきれるわけではありませんが、一旦ここで整理してみようと思います。
姿勢コントロールとは?
結論から言うと、姿勢コントロールとは「自分の体を重力下で適切にコントロールすること」 だと思います。
このためのキーワードが スタビリティー(安定性) と オリエンテーション(方向性) です。
スタビリティー(安定性)
スタビリティーは、姿勢を安定させるための「土台となる力」のことです。これがあることで、姿勢が崩れそうになってもぐっと耐えることができます。
ジェンガをイメージしてみてください。土台がしっかりしていると、上のブロックが崩れにくいですよね?それと同じように、姿勢の土台がしっかりしていると、外力や動きの影響を受けにくくなります。
スタビリティーには、
静的な安定性(じっとしていても姿勢が崩れない)
動的な安定性(動いているときにバランスを崩さない) の両方が含まれます。
例えば、歩いているときにバランスを崩しかけてもぐっと耐えられるのは、スタビリティーのおかげです。
オリエンテーション(方向性)
オリエンテーションは「空間の中で自分の体がどの方向に向かっているのかを認識する能力」です。
僕がよく説明に使うのは 「力のベクトル」 という考え方です。姿勢が安定するためには、このベクトルが 重力に対してしっかり垂直に上を向いていること が重要になります。
例えば、真っ直ぐ立っているつもりでも、実際には前傾していたり、左右に傾いていたりすることがあります。オリエンテーションが正しく働いていれば、自分の体がどの方向に力をかけるべきかを理解し、適切な姿勢を維持することができます。
姿勢コントロールを支える神経システム
スタビリティーとオリエンテーションを支えているのが 神経システム です。
その中でも 橋網様体脊髄路(きょうもうようたいせきずいろ) と 前庭脊髄路(ぜんていせきずいろ) という神経経路が重要な役割を果たしています。
橋網様体脊髄路
主に 抗重力筋(姿勢を支える筋肉) を持続的に働かせる。
無意識のうちに姿勢を維持できるのは、この神経系のおかげ。
前庭脊髄路
バランス調整 に関与。
特に 外側前庭脊髄路 は、姿勢を安定させるために 伸展筋(体を支える筋肉) を優位に働かせる。
例えば、バランスを崩しそうになったときにグッと足を踏ん張るのは、この神経経路の働き。
この2つの神経システムがバランスよく作用することで、適切な スタビリティー と オリエンテーション が確保され、姿勢が維持されます。
姿勢コントロールに関わる感覚情報
姿勢をコントロールするために、 視覚・前庭覚・固有覚 という3つの感覚が重要です。
① 視覚
目で周囲の景色を見て、体の傾きや姿勢を判断する
例えば、電車に乗っているときに隣の電車が動くと、自分が動いているように錯覚するのは、視覚情報が姿勢の認識に影響を与えているから。
② 前庭覚(ぜんていかく)
耳の奥(内耳)にある前庭という器官が、頭の傾きや加速度を感じ取る
目をつぶっていても頭が傾いたことが分かるのは、前庭覚が働いているから。
③ 固有覚(こゆうかく)
筋肉や関節の感覚
例えば、目をつぶっていても肘が曲がっているかどうか分かるのは、この固有覚のおかげ。
「ボディスキーマ(身体図式)」を使って、無意識に姿勢を調整するのに役立つ。
姿勢コントロールの2つのシステム
姿勢のコントロールには フィードフォワード と フィードバック の2種類の制御システムがあります。
① フィードフォワード(予測的制御)
過去の経験や視覚情報をもとに、事前に姿勢を調整するシステム。
例えば、「ボールが飛んでくるのを見て、キャッチするための姿勢を準備する」など。
② フィードバック(事後的制御)
実際に何かが起きた後に姿勢を調整するシステム。
例えば、「歩いていて突然ぬかるみに足を取られたときに、転ばないように力を入れる」など。
この2つのシステムが、橋網様体脊髄路や前庭脊髄路、そして視覚・前庭覚・固有覚の情報と連携しながら働いています。
まとめ
以上が 姿勢コントロールの基本 になります。
スタビリティー(安定性)とオリエンテーション(方向性)、それを支える神経システムや感覚情報、さらにフィードフォワードとフィードバックの仕組みが組み合わさって、僕らの姿勢はコントロールされています。
インスタもやってますのでよろしければ見てみてください。
Youtubeもやってます
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それではまた。