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プライバシーテック市場は、技術だけでは十分なバリューが出せない

どうも、Acompany(アカンパニー)の高橋です。

Acompanyでは、プライバシー保護技術の一つである秘密計算の技術開発からスタートをし、現在では企業の持つ個人データを始めとしたプライバシーデータの利活用を技術と法律の両面から支援をさせていただいています。

今回は、プライバシーテックというカットで技術サイドを取り上げられる事が多いので、プライバシーテックの社会実装には技術だけでは十分ではないという話を書いていきます。


個人データの利活用に法律検討は必須

わざわざ言及する必要もないほど、今日ではデータ利活用の取り組みが進んでいます。様々なデータが蓄積され、企業はこれらのデータを用いて個人に最適化したサービスの提供やマーケティングを実施できるようになりました。

一方で、このような”個人に最適化した”取り組みを行うためには、当然個人に関する情報が必要となります。

多くの場合、これらのデータは規制の対象になる個人データや個人関連情報などです。

つまり、企業が個人に対して最適化したサービスの提供によって生活の利便性を高めるために、技術的にどうデータ活用をするかだけではなく、規制への検討も同時に必要となります。

プライバシー規制は強化トレンド

前述のように、データが集められるようになり、個人に関する情報を用いて様々なサービス提供が可能になったことで、プライバシー侵害のリスクも大きく高まりました。個人情報から個人の権利利益侵害を防ぐために、個人情報保護法による規制強化が進められています。今年4月にも、2020年改正法が施行されました。

国内のパーソナルデータ規制の経緯

この流れは、グローバルでも同様です。むしろ、グローバルが先行しています。

このようなプライバシー保護に関する規制の大きな転換点は2018年の欧州で適用開始したGDPRです。その他、米国のCCPAなどの規制強化が続いています。

世界のプライバシー規制強化の状況

海外ではプライバシー規制への対応を支援するプレイヤーが大きく伸びている

プライバシー規制とその周辺領域として、GDPRやCCPA、その他のプライバシー・セキュリティ規格であるPIAやDPIA、HIPAA、ISMSなどへ対応するための同意管理、データマッピング、PIAなどの支援ツールを提供する企業が非常に成長しています。

例えば、評価額$5B(約6750億円)のOneTrustや評価額$1.6B(約2160億円)のVantaなどがユニコーンとして台頭しています。

PrivacyTech領域については下記noteでもまとめています。


企業が求める最低条件は、「法律対応した」個人データ活用

規制の強化によって、これまで規制対象になっていなかったデータの活用においても法律対応が必要になりました。例えば、2022年施行の改正法では個人関連情報に該当するサードパーティクッキーの第三者提供などが大きな話題となりました。

当然、法令遵守せずに事業運営を行うことに持続性は存在せず、法律対応した個人データの活用は最低条件です。

ただ、実態としては法律対応だけではなく、プライバシー侵害への配慮不足による社会問題になっているケースも増加しており、社会的な受容も踏まえた個人データ活用が必要になっています。

パーソナルデータ規制に関する事案

現時点では個人データの取り扱いを積極的に実施している一部企業以外はなかなか実施できていませんが、今後はPIA(プライバシー影響評価)などを含めた検討の重要度が高まっていくと考えられます。

プライバシーテックの社会実装には技術&法律の両面が必要

個人に関する情報を利活用する際にプライバシーテックは力を発揮します。一方で、個人データの利活用では、法律対応が同時に求められます。

現時点では、プライバシーテックと法律については十分な整理が進んでいるとは言えない状況であり、結果としてプライバシーテックの利用には高度な技術的知見と法的知見が同時に求められてしまいます。これはプライバシーテックの社会実装において大きな障害になっています。

Acompany自体も秘密計算をフックにした技術領域からこの領域で事業を開始しましたが、顧客と話せば話すほど、技術だけではダメで、法律を踏まえた全体設計の重要性を痛感する日々でした。

このあたりの詳細は下記noteにまとめているのでぜひ。

プライバシーテックの社会実装加速に向けた一つの解決策

プライバシーテックの社会実装を加速させていくために、一つの解決策として「AutoPrivacy Assessment」というサービスのクローズドβ版をリリースしました。

AutoPrivacy Assessmentは、これまでAcompanyの事業を通じて蓄積してきたプライバシーデータの利活用におけるビジネススキームに応じて、どのような技術が有効であり、検討が必要な一般的な法律論点はどこか、という点を整理し、データベース化したものです。

クローズドβ版では、クライアントへのヒアリングを元に該当するデータベース内の技術及び法的スキームのレポートを提供いたします。

これによって、ビジネスを企画する事業部門が自社の法務部門やIT部門と検討すべき論点を早期に把握し、円滑に事業化を進められるようになります。

パーソナルデータの活用では、様々な専門性を組み合わせる必要がある

Assessmentの開発には、プライバシー法務の実務面の知見を豊富に持つ世古弁護士にもアドバイザーに就任いただき、正式版に向けて開発を推進しています。

まとめ

  • プライバシーテックの対象データは規制対象である個人に関する情報

  • プライバシー規制に対応するためのソリューション群が非常に注目されている

  • 企業にとってはプライバシー保護はもちろんだが、そもそも法律対応が最低ラインとして必要

  • プライバシーテックと法律面での整理は十分に進んでいない状況

  • Acompanyとしての解決策として、事業スキームに応じた技術と法的論点をデータベース化


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ホワイトペーパーの公開

『プライバシー保護とデータ活用の両立に向けたアプローチ』についてのホワイトペーパーを公開しました。
(記事内で添付しているスライドはホワイトペーパーのコンテンツです)

こちらからダウンロードできます!


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