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4months intensive course Day1

マイズナー4months intensive courseが始まった。

初日からものすごく濃い。

1回たった3時間だけどやっぱりマイズナーのエッセンスは全てこの最初の段階にあるように思う。週2日3コマ。
今回はどこまで到達できるのか。
一緒に参加する方たちがどんな風に変化していくのか。それも含め今からとてもワクワクしてる。


1.外の音を聞くワーク

まずはこれから4ヶ月間一緒にワークする俳優たちと自己紹介した後、このワークに入っていった。

1分間、音を聞く。

聞く、というより、聴く、なのかもしれない。

自動車の音。椅子の軋む音。エアコンの音。建物が軋む音。風の音。ブラインドが窓にぶつかる音。衣擦れの音。

外にはたくさんの音が溢れてる。
(もしかしたら自分の体の中の音も聞こえたかもしれない。)

マイズナーは演技を
与えられた状況の中で真実をもって生きること」と定義している。

このワークを終えた後
「今、私たちは演技をしていたのか?」
という話し合いが始まった。

自分は演技をしていたのだろうか。
皆んなはこの1分間演技をしていたのだろうか。

「聞いていたふり」をしていたわけでもない。
聞いていますという「説明」を、誰かにしていたわけでもきっとない。

微かな音も逃さないでキャッチすべく
その瞬間を集中してきっと生きていたはず。

でも、この「きく」は日常の中で自分たちが行う
「きく」とは何か違いもあるような気がする。

普段私はこういうきき方をあまりしないし、「聞こえる」や「耳に入ってくる」という方が、日常で生きている時の感覚に近いような気もする。だから私は、このワークの体験が演技ではないと思う一方で、演技ではない、と断言もできないような気もした。

「というか、そもそも演技って何だ」

そんなことをぐるぐる、ぐるぐる皆んなで考えながら、次のワークに進んでいった。

2.タスクのワーク

今度はタスクのワークを行った。
タスク=作業 たぶんこの認識で良いはず。

1人目がみんなの前に立ち
「この部屋のブラインドの羽の数を数えてください」というタスクが与えられた。
タスクを与えられた方はブラインドの羽を目だけでなく手を使い、また数が分からなくならないようにキリのよいところで押さえたりしながら、数を数えていった。

2人目は
「この部屋の家具を数えてください」
というタスクが与えられた。
2人目の方は身の回りの家具らしき物を数え、最終的には皆んなの前からいなくなって、後方にある家具になりそうな物を探しに行った。

1人目のワークと2人目のワーク、それぞれ終わった後に皆んなでFBを行った。

話のテーマは
「彼・彼女は果たして演技をしていたのか?」
というものだった。

多分、していない。
みんなの意見も大体同じだった。

手を使ってブラインドを数えたり、集中して羽を見上げる姿、家具を数えるために後ろまで行ったり、「これは家具として数えられるのか?」と首に手をやり静止する姿は、決して見せかけの振る舞いなんかではなく、本当だったように思う。

彼・彼女らは、こちら側が見ていることもちゃんと認識している、とも言っていた。

"public solitude" (公共の孤独)

こんな言葉が出てきたけど、まさにそういうものを見せられたのだと思う。
人前でタスクを行っているのだけど、あたかも自宅で独り、ひっそりとそのタスクを行っているかのような。

見られながらも自分のすべきタスクを遂行する。

演技・パフォーマンスは、見る人がいて初めて存在していくものなのだなと改めて思った。
そしてこのマイズナーという技術における演技は、「見られていながら本当にそのことをする」というのが鍵になるような気がする。見ているフリ、でもなく、聴いているフリ、でもない。
本当に相手を見て、本当に相手を聴く。そういう技術を培っているのだと感じた。

じゃあ、「本当に見る」「本当に聴く」とはどういうことなのか。

3.You&Youリピティションワーク

次はYou&Youのリピティションワークへと入っていった。
マイズナーに触れたことがない方は何のこっちゃという感じかもしれない。

このYou&Youリピティションワークというのは
私「あなた〜〜」
相手「あなた〜〜」
とただ繰り返すワーク。
「〜〜」にはパッと見て分かる相手の事が入る。
(まず初めの段階は身につけているものなど、目に見える本当に分かりやすい相手の事から入っていく)

例えば
①私「あなたは靴を履いている」
②相手「あなたは靴を履いている」
③私「あなた靴を履いている」
という感じでこのやり取りを繰り返す。 

1つ注意点は、②相手「あなたは靴を履いてる」は実際相手が靴を履いていなかったとしてもそれを繰り返さないといけないこと。

このワークで俳優がすべきことは
1.相手を観ること
2.相手が言ったことをそのまま繰り返すこと
この2点だけ。

1組目のペアワークが始まる。
「あなた裸足」「あなた裸足」
そんな言葉が繰り返されてた。
そして、ただ同じ言葉が繰り返されてるだけなのに、何故だか表情や話し方、空気が変わっていく。変えているのではなく、変わっていく。
この表現がなんだかしっくりきた。
何を察知してそう感じたのかは分からないし、本人たちは「実は変えてたんですよ」と言うかもしれない。でも私にはそういう風に見えていたし、感じられた。

そして2組目のワークも同じように行い、初日は終了した。

2日目もYou&Youのリピティションから始まる。
2人の間に何が起こってるのか、「真実を持って生きる」とは何なのか、楽しみながらつぶさに観察し続けていきたい。わくわく。


4.おわりに

このnoteは全文無料で読めるようになっていますが、100円で購入できるようにもなっています。
演劇の話や趣味のランニングの話、読書の話や私自身の日々の体験を気の赴くまま細々と書いていこうかなと思っています。
頂いた100円は全額パレスチナ支援の寄付に繋げたいと思っています。
私は2023年10月7日以降、パレスチナの情勢に関心を抱き続けています。2024年2月に現在パレスチナの置かれている状況を初めて知り、歴史を勉強し始め、情報を追うようになりました。
いろんな活動をしてきた中で、演劇や自分の趣味をかなぐり捨てて奔走した期間もありました。
今は、演劇も自分の人生もパレスチナのことも全部諦めたくない、そんな場所にいます。
私は独りが好きで、文章を書いて自分の想いや考えをまとめたり、伝えるのが好きです。そのことに気づいてから、どうせならその自分の好きな事が、知り合いや周囲の誰かの学びや気づきに繋がったら嬉しいなと思いました。そしてその好きな事をパレスチナにも繋げたいと思いました。
自分で書いておきながら自分の文章に100円は高すぎると思っています。なので、全文無料、100円は本当に心が動いたり、すごく良いものを読んだなとか、学びや気づきに繋がったと思って頂けた時だけで大丈夫です。
読んでもらえるだけで心はホクホクするので、気が向いた時に気兼ねなく読んでくださると、とっても嬉しいです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

小比類巻諒介

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