【小説】ROCKIN'ON JAPANによろしく 第三話 「揺れる想い」
夜も更け、ジオグラフのメンバーは千葉県市川市本八幡のスタジオで練習を続けていた。といっても、深夜のスタジオにはどこかダラけた空気が漂っている。
そんな時、突然、ゆうがこの世のものとは思えない音でくしゃみを放った。
「クシャポワァァァッッ!」
全員が一瞬動きを止め、驚いた顔でゆうを見つめる。
「おいおい、今の音…小動物でも死んだのか?」と颯太が冷やかす。
「いや、むしろ小動物が一瞬転生して消えた感じだな」とスクがニヤニヤしながら追加する。
「うるせぇ、こういう体質なんだよ!」ゆうは鼻をすすりながらムッとするが、その雰囲気をさらに破壊するように、突然異様な音がスタジオ内に響いた。
「プゥッ!」
今度はスクが屁をこいたのだ。颯太が即座に反応する。
「おい、スク!このタイミングで屁をこくなよ!」
スクは悪びれる様子もなく肩をすくめ、「いや、自然現象だから仕方ねぇだろ。むしろタイミングが完璧だったんじゃねぇか?」と開き直る。
「完璧じゃねぇよ!」と颯太がツッコむが、その直後さらに「プッ…プッ…プッ…」とスクの屁が一定のリズムを刻み始めた。
「おいおい、マジで止まらねぇじゃねぇか!」ゆうが笑いながら叫ぶと、大地が耳を澄ませて真顔で言い出す。
「待てよ…これってBPM120で鳴ってないか?」
全員が耳を傾けると、確かにスクの屁は見事に120BPMを刻んでいる。
「うわ、本当だ!」ゆうが興奮しながら叫ぶ。
大地がドラムスティックを掴み、「よし、合わせてみるわ!」と言うやいなや、バスドラムでリズムを合わせ始めた。
「ドン…プッ!ドン…プッ!」
屁とバスドラムが完全にシンクロし、スタジオ内は爆笑に包まれる。
「これ、ライブの新曲にできるんじゃね?」とスクが冗談を言い、大地が「曲名は『屁のロンド』だな!」と乗っかる。
「いい加減にしろよ、お前ら!」颯太が声を荒げた。「俺たち練習するために集まってんだぞ!」
すると、スクが急に真剣な顔になり、ボソリと言った。
「お前、そんなに怒ってばっかで楽しいのかよ?」
険悪な空気が漂い始める。ゆうが溜息をついて言った。
「あーもう!お前らうるせぇ!こういう時は相撲で決着つけろ!」
「なんで相撲なんだよ!」と颯太がツッコむが、スクは妙にやる気を出して「いいぜ、やってやるよ」とスタジオの中心に立つ。
大地がニヤニヤしながら「よっしゃ、俺が行司やるわ!」と言い、「東、颯太山ぁぁ!」「西、スクの波ぃぃ!」と掛け声をあげる。
スクが力強くシコを踏んだ瞬間。
ゴゴゴゴゴゴ…。
突然、スタジオが激しく揺れ出した。
「うわっ、地震だ!」と颯太が叫ぶ中、ゆうが震えながらスクを指差す。
「お、お前のシコで地震起こしたんじゃねぇか!?」
「バカ言うな!俺にそんな力ねぇよ!」
「スクさん…あんた、伝説の巨人タイタンだったのかよ…!」
その時、スタジオの壁に貼られていた「Earthshaker」のポスターが音を立ててバサッと落ちた。
「ジオグラフのROCK IN JAPAN FESTIVALへの道は始まったばかりだ。負けるな、ジオグラフ!がんばれ、ジオグラフ!」
揺れる想い(ZARD)
EARTHSHAKER(アースシェイカー)は、日本のハードロックバンド。関西出身。ランデブー所属。レーベルはキングレコード。 1978年にヘヴィメタルバンドとして結成。1994年に一度解散したが、1999年に再結成した。