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オンラインでコラボできる力

「ITリテラシー」なんて言葉がありますが、ITが生活を覆い尽くしてしまったためでしょうか。もはや「IT」という言葉の中身があまりに広くなりすぎたなと感じます。
「ITができる人」なんて言ってみても、実際はあまり何も説明していない状態になりつつある気が、最近しました。

たとえば
「うちのチームで新しいメンバーを迎え入れよう。他のメンバーと一緒に生産的な仕事をしてもらえるだろうか??」
という局面において、どういう能力が必要なんだろう、と考えてみたときに、その答えの1つは「オンラインでコラボできる力」のように思えました。

コラボ:collaboration:協働する なので、チームとしての生産性を高めていけるか?が関心事項になります。

オンラインでコラボするのが難しそうなとき

「オンラインで上手にコラボできるまでに、乗り越えないといけない壁がいくつかありそうだな」と感じる場面があります。

逆に、特殊な才能を要求される世界では全くないと思いますので、乗り越えられればそれで済むような、意外に小さな壁であると言えるかも知れません。
その壁たちを分析してみると、「オンラインで上手にコラボできる」手がかりになりそうです。以下に、自分が「壁」を感じる例を並べてみます。

【オンラインでコラボするために壁があると感じる例】

  • 「GoogleDriveで共同編集しましょうか」といって意味が通じないとき

  • 「アクセス権付けときますね」といった場合に、どうも伝わっていないと思われるとき

  • リンクの発行という発想がおそらく無く、必ず実体のファイルが送られてくるとき

  • 要約や過剰書きがなく、ただ「文章」が流れてくるとき

  • 「二要素認証付けてくださいね」とお願いしたら、「なにそれ」のような反応が返ってくるとき

  • 成果物を作ろうという場合に、非常に当然のようにメールの往復と添付ファイルの往復になる(それしかできない)とき

  • 番外:入り口に入っていないとき(パソコンとにかく苦手、スマホ持ってない)

どれも小さなことなのですが、存在すると大きな壁になります。しかし、少しの発想の転換や、少しのスキルでクリアできそうなものばかりです。
以下、私が「オンラインでコラボできる力」だなと思うことや、関連することを、7つに分けて書いてみます。

オンラインでコラボできる力 7選

その1 発想:オンラインで作業場所を共有する

物理オフィスだととなりに座っているかもしれません。そして、机の上に資料や用紙を広げていたら、お互い手に取って渡したり、一緒に書き込んだりできそうです。

このような、一緒にそこでやってる感じを、現代のサービスはかなり頑張って再現しようとしています。つい見落としがちな機能が結構含まれているのですが、極める必要は全然なくて、それらをある程度上手に使うと、割とすぐに実現します。

10年前くらいだと、「とは言ってもやっぱりリアルのほうがいいんだ!」と断言できる状況も多かった気がしますが、ここで更に逆転現象というか、現代ではオンラインのほうが勝ってる局面も普通に出てきました。

1つに、オンラインのほうが、対象物がしっかり見えるというパターンを感じます。

リアルのセミナーや研修があるとして、正面にプロジェクターを準備してうつすとします。これだと、フォントサイズが32くらいないと読めないのですね。
でも、ZOOMだと、フォントサイズ12くらいでも読めたりします。
オンラインだと、自分の目の前に対象物が出現するので、文字通りに「解像度」が上がるわけです。

一般化して言うと、
オンラインのツールにおいては、全員の手元に即座に劣化のない情報が届くため、解像度の高い情報を確実に普及させる力はオンラインのほうが勝る
という場面がよくある気がしています。

その2 発想:成果物の横で作業する

単に会話するのでなくて、成果物の横で作業します。

物理の世界でいうと、
・ホワイトボードに付せんを貼って、その横に書き込む
・誰かがドラフトを書いてきて、それに対してみんなが意見を言います
というようなアクションです。

仕事は大抵作りたいものがあるのです。
これを成果物と呼ぶことにすると、成果物のドラフトを作って、みんなが意見を言って、揉んででき上がるというステップがよくあります。

  • 成果物(ドラフト)がいつも脇に見えている状態にする

  • 成果物に対して何か言う

上記のほうが作業は生産的です。そのためには、「成果物の横で作業する」みたいな環境があると一番よいわけです。

2つの側面があります。

  • オンラインだとこれがやりやすい

  • オンラインでは物理的に横にいないので、そういったもので補う必要性が高まる

得意だし、必要でもあるというイメージです。

文章を作るのだったらたとえばGoogleDocumentで作って、共同編集やコメント機能を使います。
Notionみたいなツールもそれに適します。
プログラマだとgithubを使います。

その3 共同編集&コメントの「意識」がある

まず、事実レベルの話として、「成果物は共同編集できます」

共同編集というのは、全く同時に同じ画面上で、複数の人が文字をいじったりできることです。ですので、積極的な必要が無い限り、コピーを互いに送り合う(メールの往復運動)ことは現代では不要になりました。

私の知る範囲では、共同編集が早い段階で実用レベルになっていた大手サービスはGoogleDriveの印象です。最近は、できるサービスがどんどん増えており、珍しくなくなってきました。

やり方には、なにも難しいことはないです。私の理解では以下の2つが最初の分かれ道です。

1 共同編集できる、という事実を知っている
2 「共同編集でやれないか?」と考える癖がある

意識と行動だけだと感じます。

共同編集の仲間として、「コメント」というものもあります。
成果物を直接変更するのが共同編集です。成果物を直接変更しないで、脇に気づいたことなどを付けるのが「コメント」です。

このような頭の整理で使うことが多いです。

その4 箇条書き、階層付き箇条書き 一緒に見やすい文章を

コラボするという観点で言うと、美麗な文章は必要ないことと、簡潔さが有用です。

他のメンバーがぱっと意味を理解でき、打ち返しやすいものを提供すると、みんなの仕事が捗りますね。それができる人はチームに貢献していますね」という理解です。

この場合、箇条書きが王道的に優れていると思います。

  • ぱっと見て意味が取れること

  • コメントしやすいこと

  • 流用しやすいこと

  • 書き足せること

  • 早く書けること

など色々なメリットがあります。

逆にいうと、どんなにきれいで論理的であろうとも、「長い文章」だと、「あれっ」と感じることがあります。その場面と目的にふさわしくないということですね。
むしろコミュニケーションをフリーズさせたりもしますので、マイナスも生み出します。

階層になる箇条書きもコラボの場面だと便利です。Wikipediaとかでもよく見かけます。
他人が追記するときも簡単ですよね。

その5 リソースとアクセス権

ここでカタカナを登場させたのですが、この2個のカタカナが使える・通じる、となると非常にスムーズになります。応用が利きますし、互いに説明が楽になるのです。

オンラインのコラボツールって一体なんですか?を、極めてざっくり言うと、
「オンライン上にリソースを保存しておいて、そこにメンバーのアクセス権を付ける」
ツールです。

物理の世界で言うと、机の上にはさみが置いてあって、みんなが使える状態になっているとすると、「はさみというリソースに、メンバー全員のアクセス権が付いますね」みたいな状況です。
金庫の中に実印が保管してあって、本人しか触れないとすると、「実印というリソースに、本人だけのアクセス権が付いていますね」という感じです。

インターネットの世界ではどうでしょう。

とりあえずURL(リンク)さえ発行してしまえば、潜在的には誰だって情報を触れるのがインターネットです。

このリンクの宛先に登場しそうなものは、全部リソースになります。
GoogleDriveにファイルAを保存しているとしたら、ファイルAは「リソース」です。Youtubeのリンク先にある動画も「リソース」です。

でもそれが機密情報の場合、世界中の人に見せるわけにいかないので、「そこに置くのはいいとしても、誰に見せるの?」という問いが出てきます。
これが「アクセス権」です。

普通アクセス権は、ログインに紐付けて管理します。ログインというのは、物理の世界では身分証を見て本人確認するようなものです。

なので、オンラインの世界では、極論を言えば、(1)リソースをどこに置くか、(2)誰に触らせるか、だけ決めてしまえばいいのですね。これで共同作業が成立します。

というあたりが、もし皆さん揃って分かっていると
「リソースはどこに置かれてますか?」
「アクセス権は誰に付けましたか?」
といった簡潔で正確な表現ができて、スムーズに意思疎通できます。

ちなみにURLという単語は、Uniform Resource Locator の略です。決められたフォーマットでリソースの場所を表現できるようにしましょうということです。リソースという発想はごく初期からあるのですね。

その6 ログイン・二要素認証

上で少し言ったのですが、「リソース」の「アクセス権」は、多くの場合に、ログイン次第になります。

もし他人に自分のアカウントに勝手にログインされたら、「自分」が見えたものは、容赦なく全て読まれます。読めるだけならまだしもですが、「全部消す」とかもできる場合があります。

ログインを破られるのは何に似ているのか?と言えば、「運転免許証と実印を盗まれました」、みたいな感じです。その心は、
「あなたになりすませますよ、あなたにできることはなんでもできてしまいますよ」
という意味です。
オンラインの世界で死守しないといけなのは、まずログインです。

そこでどうしたらいいかなのですが、パスワードについては、管理が難しかったり、簡単に盗まれたりと弱点が多く、様々限界があります。ですので、「二要素認証必須でお願いします」などとルールレベルでお願いしたり、「二要素認証強制にしています」というようにシステム側で強制したりします。

二要素認証というのは、SMSに届く6桁の数字を入力するとか、GoogleAuthenticatorとか、そういったものです。
スマホアプリで顔認証するとログインができるという形もあります。

これができていれば、不正ログインの危険はかなり低くなります。
逆にできていないと、大変不安です。
もしここで「二要素認証」という言葉が通じないと、アカウントをきちんと守ることが難しそうだという印象を受けてしまいます。

なお、個人的には、Googleアカウントだったら、物理キーでログインを守るものをおすすめしています(高度な保護機能プログラム)。
もし「FIDO2」という言葉を知っておられる方だと余計に安心感が高まります。参考までに。

その7 分からないことをすぐにGoogle等の検索ボックスに入れて調べることができる

非常に単純なのですが、とても大切なことになります。

経験上なのですが、不慣れな方は、人間に向かって質問をしてくださるのです。○○の操作をしたいのですがどうやったらいいのですか、と。

ただ、少なくも仕事で使うような、よくあるITツールであると、その質問の単語をGoogle等の検索ボックスなどに入れると、トップ1~3に、画像も入った丁寧な解説が出てくるのが普通です。
人間に聞くよりも答えが早くて、画面の写真とか操作方法とかもあって、問題が的確に解決したりもします。

ですので、自分で上記の動作ができると、進歩の速度が全く変わってきます。この習慣は、一緒に仕事をする中では、是非望まれるように思っています。自己解決ができるなら進歩が早いですし、周りの手を煩わせないで済みます。
それに、人にたずねるときも、「このリンク先のページを見て、ここまでできたのですが、この先がよく分からないのです」ということであれば、より親身で具体的なアドバイスがかえってくるものです。

ですので、私はこれは真っ先に覚えたほうがいい、意識して身につけたほうがいい習慣であると思っています。

まとめ

日常で感じることを、ひとしきり書いてみました。
ここに書いたことは、主に同じ組織内など、近い関係性の共同作業に当てはまるように思っています。
逆に、組織外になると、ちょっと考えることが増えてきますね。

ご参考までに。

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