難聴を遺伝子編集によって治療できる可能性が高まる
In vivo base editing restores sensory transduction and transiently improves auditory function in a mouse model of recessive deafness というScience Translational Medicineに掲載された論文より。
TMC1(=内有毛細胞の機械的シグナル伝達に不可欠な遺伝子)に変異がある遺伝性難聴のモデルマウスに対し、シトシン塩基編集剤(cytosine base editor)をアデノ随伴ウイルスを用いて内耳に注入することで、マウスの聴覚を部分的に回復させることに成功しました。
今回の回復レベルをヒトに当てはめると、話し言葉を理解するのには十分ではないかもしれませんが、全く聞こえない人がアラーム・電話の呼び出し音・緊急車両のサイレンを聞き取れるレベルまでの改善を意味するかもしれません。
しかし、あくまでもマウスモデルの改善であり、ヒトのTMC1では同じような変異がまだ特定されておらず、さらなる研究が必要となります。
【龍成メモ】
遺伝子治療(Gene Therapy)は非常に注目されている医療技術で、ビジネス誌でも詳しい記事(Gene therapies must become miracles of medicine)が書かれるほどです。
先日のnoteにも書きましたが、遺伝子治療に対する大きな期待と同時に、その費用の高額さに対する懸念も存在します。血友病に対する治療薬Hemgenixは、なんと5億円近くもします。
世界経済フォーラムも "Gene therapy: Why we need to accelerate global access to the world’s most expensive drugs" という記事を掲載しています。
Arek SochaによるPixabayからの画像