起業家精神をWeWorkのドラマに学ぶ(Apple TV+)
WeCrashedというApple TV+のドラマが面白いと聞いたので、早速加入して観てみました。
名ばかりの連続起業家(Serial Entrepreneur)アダム
WeWorkを起業する前のアダムは「ベビー服」や「折りたたみ可能なヒール」など様々なビジネスに手を出しますが何も成功しません。
アダムはイスラエル出身です。イスラエルにはキブツという共同体があります。キブツは元々、帝政ロシアの迫害を逃れた人々が現在のイスラエルの土地を開墾し、農業を中心に共同体生活をしたのが始まりです。
アダムもキブツで育ちました。キブツでの経験から、シェアハウスのようなビジネス、Cocept Livingというサービスを思いつきます。しかし、投資家は見向きもしません。
アダムは運命の人、レベッカに出会う
アダムは自分主催のパーティーでAnne Hathaway演じるレベッカに出会います。
アダムは乳首が見える白い変なメッシュの服を着ていたので、レベッカに完全に嫌がられます。アダムはデートの約束を取り付けようとしますが、レベッカは自分の名前すら明かしません。
レベッカはヨガ教室の先生でした。先生と言ってもまだ見習い。生徒一人当たりチップを1ドルもらえるだけの待遇です。
アダムはヨガ教室にも通いレベッカに猛アタック。これが実りデートまでこぎつけますが、デートに遅れて到着した上、お金も持って無く、話している内容も適当すぎるので、レベッカに完全に嫌われて帰られてしまいます。
しかし後日、アダムは突然ヨガ教室に現れます。困惑するレベッカはレッスンを中断してアダムを問い詰めますが、アダムは脇目も振らずに奥の部屋に駆け込んでいきます。そこには食事をしているヨガのオーナーがいました。アダムは得意の話術で(言葉巧みに半ば脅しながら)レベッカの待遇を向上させる条件交渉を行い、見事成功します。
アダムは「ワインごちそうさま」と言いその場を立ち去ろうとしますが、帰ろうとするアダムの腕を取りキスをするレベッカ。これまで全く脈がなかったのに、この一件でアダムのことをべた惚れしてしまい、二人は晴れて付き合うことになります。
レベッカの金言がアダムを変える
レベッカは大学を卒業後にLAに行き演技の勉強をしたことがありました。その時に何を学んだのかアダムは気になり、レベッカに聞きます。
レベッカは答えます。彼女が学んだことは
「人生に勝つ秘訣(How to win the game of life.)」でした。
アダムはその詳しい内容が気になりレベッカを問い詰めますが、なかなか教えてくれません。アダムは少し話題を変えます。
「デートをした時 君はいったろ、僕の起業が失敗するって。本気だった?」
レベッカは困ります。少し間を置いて答えます。「ええ、どうしてだか分かる?」とアダムに聞きます。そしてレベッカは続けます。
このように聞かれたアダムは自信を持って答えます。
キブツで暮らしてたの?(You grew up on a kibbutz?)驚いたわ、どうだった?(I didn't realize that was still a thing. Wait, what was that like?)と、レベッカは聞くと、アダムはそれに答えます。
アダムの心の声が聞けたレベッカは、愛に、深い愛に満ちた笑顔でアダムにこう言います。
アダム・ニューマンに降臨する一つのアイディア
シーンが変わります。だだっ広い誰もいない、しかも鉄骨がむき出しの内装工事前のオフィスで、アダムはただ一人椅子に座っています(レベッカとのやりとりの途中にも、このシーンは差し込まれている)。
アダムはレベッカに言われた言葉を心の中で反芻(はんすう)しながら、瞑想するように考えています。しばらくすると、意を決したように立ち上がります。
そう、Shared Officeのアイディア、WeWorkのアイディアが彼の頭の中には浮かんでいたのです。
【龍成メモ】
WeWorkを追われたアダムは今は別の形で不動産ビジネスを準備しています。なんとこのドラマの最初に出てくるCocept Livingに非常に似たアイディアのビジネスを行おうとしています(WeWorkの共同創業者アダム・ノイマン、次のBig Waveはマンション経営)。
このnoteを書いた頃は、彼がなぜ新しいビジネスでもコミュニティの形成を大事にしているのか分かりませんでした。それがWeCrashedのエピソード1を観て分かりました。イスラエルのキブツでの経験から来ていたんですね。