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AIが写真コンテストで最優秀を受賞

ドイツの英語メディアDW Newsの Artist wins photo award with AI generated image, sparking debate というニュースで、「AIが写真コンテスト(Sony World Photography Awards)で最優秀を受賞」という話を知りました。

PureにAIが生み出した「写真」

撮った写真を加工したわけではなく、AIに対するプロンプト(指示)が生み出した画像(写真)です。

この作品に関しては、Engadgetの記事で "fake memories of a past, that never existed, that no one photographed." という上手い名前がつけられています。

inpainting、outpaintingなどを駆使して作られた「写真」

AIで画像を生成したことがある方は分かると思いますが、1回の指示でいきなりこのような美しい写真が出てくるわけではありません。

Engadgetの記事にあるとおり、 「inpainting」や「outpainting」、そして「prompt whispering’ techniques」という手法を組み合わせ、20〜40回以上再編集して作られた画像です。

  • inpaintingとは、ある箇所を修復・修正する技術です

  • outpaintingは、簡単に言うとAI画像の拡張です。と言うのも、一回で生成される画像には大きさの制約や制限があるため、より大きくて解像度の高い画像や、異なる画角で描きたい場合には、outpaintingによって「続き」をAIに描いてもらう必要があります

  • prompt whispering’ techniquesは、おそらくプロンプトによる指示そのもののテクニックのことだと思います。例えば、単に"digital art"と指示するのと"futuristic digital art"と指示するのとでは、結果が異なります

AI写真を作ったEldagsen氏は賞を辞退

AI写真を作って応募したEldagsen氏は賞を辞退し、写真はサイトから削除されました。この件に関して主催者からのコメントは現時点ではないようです。

"prompt whispering’ techniques”の例。こんな写真が出てきます

“A Michealangelo’s sculpture of "A woman in her late 20s is sitting in a cafe using a laptop. There is a man behind her” という指示を出すと、このような「写真」を出してくれます。そしてよくみたら "Michelangelo" のつづりが間違ってますね…。

D2 & Ryoryos

こんな写真も出せます。もちろん、こんな場所もオブジェも実在しません。

D2 & Ryoryos

【龍成メモ】

かつては破壊者だった写真が破壊される日

写真の登場によって、精密に対象を描く「写実画」はある意味破壊されました。写真の方が圧倒的に描写の精度が高いので、人間がそれを再現する意味はありません。

しかし、だからといって絵画が廃れたわけではなく、抽象的な絵や「ありえない絵(=写真では取れない)」を描くことで絵画(アート)は生き残ってきました。

ある意味で破壊者だった写真は、最近急速に進化しているAI描画(Generative AI)によって、Artとしては破壊されつつあるのかもしれません。

もちろん、写真のすべてが破壊されるわけではなく、また破壊されてしまう分野(=Art)においても、かつての絵画のように新たな領域を見つける可能性もあります。

Sony World Photography Awardsの受賞作は凄い

主催者からのコメントがないか確認するために Sony World Photography Awards のサイトを見てみましたが、賞を取った数々の作品群に圧倒されてしまいました。

Boris Eldagsen’s award-winning picture.

#写実主義 #写真 #アート #AIアート

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龍成(りょうせい)
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