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音楽家にメンタルヘルスの悩みが多いのは遺伝が原因なのか?
Musically Active People Have a Slightly Higher Genetic Risk for Certain Mental Illnesses という論文ニュースから。元論文はTranslational Psychiatryに掲載されています。
音楽活動をしている人の方が、抑うつ症状や燃え尽き症候群が多い傾向
スウェーデンの11,543人に対して、音楽への取り組みと精神的健康の両方について調査。精神科の診断も分析できるように、スウェーデン患者登録DB(the Swedish Patient Register)とリンク。
音楽活動をしている参加者は、音楽活動をしていない参加やに比べて、より頻繁に抑うつ症状、燃え尽き症候群、精神病の状態を自己報告していることが分かりました。なお、メンタルヘルスに関しての診断数については差はありませんでした。
音楽家や音楽活動をしている人は、双極性障害やうつ病の遺伝的危険因子が高い傾向にある
遺伝子データが入手でき、かつ音楽活動への取り組みなどのウェブ調査への入力を完了した5,648人について、遺伝的要因についての分析も行いました。
大うつ病性障害(MDD)や双極性障害の高い遺伝的リスクは、音楽をすることや音楽の練習時間の長さに関連していました。
また、今回の研究から音楽活動とメンタルヘルスに共通する遺伝的影響が存在することが示されました。
つまり、音楽活動遺伝子がメンタルヘルスに影響を与えたり、逆にメンタルヘルス遺伝子が音楽活動に影響を与えるのではなく、共通の遺伝的要因が音楽活動とメンタルヘルスの両方に影響を与えているということです(この論文では水平方向の多面性=horizontal pleiotropyと呼んでいます)。
一般的な芸術的業績とも相関
MDD、双極性障害、統合失調症の遺伝的リスクスコアは、より高いレベルの一般的な芸術的業績とも相関してました。
科学領域やスポーツ領域では、メンタルヘルス系遺伝的危険因子と逆相関
大うつ病性障害(MDD)や神経症、そして抑うつ症状に関連する遺伝子変異は、科学的領域で成功しにくいことを予測します。しかし、双極性障害はむしろ科学的業績にとってプラスでした。
大うつ病性障害(MDD)や神経症、環境ストレスに対する感受性(SESA)の遺伝的リスクスコアが高いほど、スポーツをする機会が少なく、スポーツの練習量も少ない傾向にあります。
【龍成メモ(音楽活動がメンタルに悪いという話ではない)】
当然ですが、音楽活動を行うとメンタルに悪いという話ではありません。今回の研究でもそのような関係は見られませんでした。
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