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高齢者における難聴と社会的孤立の関係(論文紹介)

The Association between Hearing Lossand Social Isolation in Older Adults  こちらの論文内容の紹介になります。

高齢者における社会的孤立の割合

アメリカにおける60歳から69歳の年齢層860人、70歳から84歳の年齢層593人を対象にした研究です。

60歳から69歳のグループでは難聴者の20.6%が孤立しており、難聴ではない人は11.9%が孤立していました。70歳から84歳の群では、難聴者は19.8%が孤立、非難聴者は15.6%が孤立という結果です。

※孤立の定義は、パートナーの有無・親しい友人がいるか・精神的なサポートや経済的なサポートの有無などを点数化し、2項目以上で孤立している場合に「孤立」と見なしている

聴こえが悪いほど孤立の確率が高くなる60~69歳女性

60~69歳のグループにおいて、女性については純音聴力検査(ピーという単音がなる検査)で25dB聴こえが悪くなるごとに、社会的孤立の可能性が3.49倍増加するという結果になりました。

同じ60~69歳のグループにおいても、男性については難聴と孤立について有意な相関性はありませんでした。70歳~84歳のグループについては男女ともに有意な相関は見つかりませんでした。

60~69歳グループの女性だけ、難聴が社会的孤立に繋がる理由

論文ではあくまでも仮説レベルとしてますが、男女差については、男女においてコミュニケーションにおいて重要とするポイントが異なる点、異性カップルの場合は男性の方が女性からサポートを受けられる可能性がある点などを挙げています。

年齢グループにおける違いについては、難聴で社会的に孤立してる人の方が若くして亡くなってしまう可能性や、そもそものサンプルサイズが小さい(593人)ことを理由として挙げています。

【龍成メモ】

老眼を気にしている人は多いと思いますが、耳については自覚するのが難しいため目に比べると気にしている人・気をつけている人が少ない現状です。耳が悪くなることは認知症にも絡む大きなリスクなので、これからもっと注目されるべき領域だと思います。

写真はsabinevanerpさんから

#難聴 #高齢者 #社会的孤立 #脳科学

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龍成(りょうせい)
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