「大変だ空が落ちてくるぞ!」 CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)とドングリ
How default swaps become instruments of mass deception というFTの記事から。
CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という債権に対する保険のようなデリバティブ商品があります。会社が倒産したり債権が支払えないという事態(イベント)が発生した際に、CDSがあれば同じ額(等価)で交換してもらえます。
当然、CDSに紐付いた企業や銀行のリスクが高くなると、CDSの値段も高くなります。
先日、3月23日(木)の午後から翌朝にかけて、ドイツ銀行のCDSの価格が急騰しました。「ドイツ銀行が危ない」というサインです。ドイツ銀行の株価も14%以上も下落しました。
しかし、その後Financial Times紙には「ドイツ銀行は破綻しない」というコラムが載り、ドイツ政府もドイツ銀行を救済はしませんでした。CDSが数時間で25〜30%上昇した間に、債権価格はユーロで3セントしか下落してません。
これはCDSは流動性が低いために、価格が乱高下しやすいことも原因のようです(他には騒ぎ立てることで得をした人がいたとか?)。
記事では取引の透明性や、そもそもCDSが対象とする債権に対して何らかのリスクにさらされている人(=債権を実際に購入したとか)以外の購入を禁止するなどの規制を求めています。
【龍成メモ(たいへん たいへん/チキン・リトル】
記事中に「投資家はチキン・リトルになりきっていて、そのこと(=本当のこと)に気づかないように見えた。CDSの暴騰というドングリが頭のように落ちてきたのに、彼らは空が落ちてきたと思い込んでしまった」という表現が登場します。
ドングリ?空が落ちた? FTのSuper真面目な記事なのに、なにやら童話のような表現ですね。
調べてみたところイギリスに「Chicken Little」という童話がありました。
にわとりの頭に「どんぐり(acorn)」が落ちてきたのに、「空が落ちてきた」と勘違いをして、他の鳥たちにそれを知らせてしまい大騒ぎになるという話です。
ちなみに、パニックになった鳥たちは、これを好機と見たきつねに騙されて「きつねの巣穴」に誘い込まれて犠牲になってしまったようです。
まさに投資詐欺でありそうな展開ですね。
「空が落ちてくる」という話は他にもたくさんあるようです。「杞憂」もそうですね。