歯周病菌がアルツハイマー病や大腸がんに影響を及ぼす
Studying the Link Between Gum Disease and Alzheimer’s Disease という論文ニュースから。
歯ぐきや顎(あご)まで駄目にするフソバクテリウム・ヌクレアタム(菌)
フソバクテリウム・ヌクレアタム(F. nucleatum)は、歯周病で増殖する常在菌の一種です。歯ぐきや顎(あご)の骨に影響を与え、治療をしないと歯が不安定になり、歯を失うことになります。
早産や死産を引き起こすこともあるフソバクテリウム・ヌクレアタム
今回紹介する研究とは別の話になりますが、フソバクテリウム・ヌクレアタムは増えすぎると歯に悪影響を及ぼすだけでなく、全身に回り稀に早産や死産につながることもあります。もちろん歯周病だからといって、必ず早産や死産になるわけではありません。
アルツハイマー病に伴う認知機能の低下にも影響を及ぼす歯周病
フソバクテリウム・ヌクレアタムは特定の経路を通じて、マウスの記憶力や思考力を低下させることが、今回の研究で分かりました。
「歯周病がアルツハイマー病につながる」ということを示したわけではありませんが、歯周病の放置がアルツハイマー病の症状を悪化させる可能性があります。
逆に言えば早期の歯周病治療が、アルツハイマー病に伴う認知機能の低下のスピードを遅らせることができるかもしれません。
フソバクテリウム・ヌクレアタムは大腸がんにも関係している
これも今回とは別の研究ですが、進行大腸がんになるとフソバクテリウム・ヌクレアタムが腸内で爆発的に増加することが知られています。
横浜市立大学の研究チームは大腸に腫瘍がある患者さんに対して歯周病治療を3ヶ月行い、その後に大腸の腫瘍を切除しました。
そして切除後のフソバクテリウム・ヌクレアタムの量を観察したところ、歯周病治療が成功した患者さんでは、治療後の便のフソバクテリウム・ヌクレアタムが減少するという結果が得られました。
歯周病治療が、大腸がんの発がん予防や進行抑制に対して何らか寄与する可能性がある結果となっています。
メカニズムの解明については、今後さらなる研究が期待されます。
【龍成メモ】
うつなども含めて様々な病気に「炎症」が関わっていることは広く知られるようになってきていますが、歯周病菌も体中をかけめぐり様々な場所で炎症を引き起こしているようです。
歯ブラシはもちろんですが、フロスも忘れずにしたいですね。
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