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#脳科学

クレジットカードは脳の「報酬系」を活性化する

クレジットカードは脳の「報酬系」を活性化する

MITの Neural mechanisms of credit card spending という研究から。

この研究でクレジットカードを使用した購入において、報酬系を担う「線条体」が活性化することが分かりました。現金では報酬系は弱い反応しか示しませんでした。

また、今までクレジットカードは支出に伴う「痛み」を軽減するブレーキの解除の役割を果たすのか、それとも報酬系を通じてアクセルを踏むのか

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脳画像から心が読めるようになった

脳画像から心が読めるようになった

Semantic reconstruction of continuous language from non-invasive brain recordings というnature neuroscienceの掲載された論文の紹介です。

脳画像とタイトルで書きましたが、正確には脳機能画像(fMRI)です。

脳機能画像(fMRI)から文章を生成するモデルを構築3人の被験者に16時間に渡り物語の朗

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脳への電気刺激で自律神経を調整しCOVID-19の症状を緩和

脳への電気刺激で自律神経を調整しCOVID-19の症状を緩和

COVID-19患者に対して、非侵襲的な脳刺激法(tDCS)によって自律神経系を調整し、酸素飽和度を向上させる手法が開発されました。ブラジルのInstituto D'Or de Pesquisa e Ensinoの研究です。

刺激方法については、こちらのneumoの記事に詳細があります。

【龍成メモ】いつもnoteの表紙用にAIに絵を作ってもらっていますが、今回の記事用に作ってもらった絵がなか

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【新刊】私たちは電気だ(We Are Electric)

【新刊】私たちは電気だ(We Are Electric)

WSJの土曜版に "‘We Are Electric’ Review: Human Lightning" という記事があり、この記事で We Are Electric という本の存在を知りました。

電気オタク、Sally Adeeの新刊著者はSally Adeeという女性で、元無線技師の父を持ったことから、家の地下にも基盤・電線・はんだごてなどがあり、幼少期からハードウェア、特に電気・電流に興味

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母国語によって異なる脳の配線

母国語によって異なる脳の配線

How Our Native Language Shapes Our Brain Wiring という論文ニュースから。

私達の思考方法の根底にある脳のコネクティビティが母国語によって異なる、話す言語に形作られていくというマックス・プランク研究所の研究です。

アラビア語ネイティブの人はドイツ語ネイティブよりも半球間(=左半球と右半球)での接続が強く、ドイツ語ネイティブの人は左半球の言語野で接続

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心拍数の変化が人間の時間認識を歪める

心拍数の変化が人間の時間認識を歪める

Royal Holloway University大学の研究者らによる最新研究で、心臓の収縮期においては時間を短く感じ、拡張期においては時間を長く感じることが分かりました。

心臓は収縮する際に脳に信号を送りますが、拡張期の弛緩している状態では脳に信号を送りません。このことと時間認知の歪みが関係しているかもしれません。

そして心拍数が高い状態の時は心臓の収縮期の回数が多くなり、普段よりも脳に頻繁

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高齢者に対する電気刺激トレーニングで、ワーキングメモリと長期記憶が長期的に改善

高齢者に対する電気刺激トレーニングで、ワーキングメモリと長期記憶が長期的に改善

nature neuroscienceに掲載された Long-lasting, dissociable improvements in working memory and long-term memory in older adults with repetitive neuromodulation という論文です。

65~88歳の高齢者に対して、tACS(経頭蓋交流刺激)という非侵襲的な電気

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高齢者の「脳の白質」は若年者脳よりも若い?

高齢者の「脳の白質」は若年者脳よりも若い?

視覚知覚学習(VPL=visual perceptual learning)によって、脳の白質(軸索と呼ばれる神経細胞から伸びる長い突起が集まった脳の領域)については若者よりも高齢者の方が変化が大きいことが分かりました。

ただし、これは高齢者の脳の方が若いというよりは、他での低い可塑性を補うために結果として白質の可塑性が高くなっていることが原因かもしれません。

詳しくは White matte

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目が見えない子どもの意外な才能~神が扉を閉ざす時

目が見えない子どもの意外な才能~神が扉を閉ざす時

Challenged by musical scores, students master singing through memorization というChina Dailyのニュースから。

音楽の才能に秀でた視覚障がい者の話生まれて数ヶ月で視力を失ったZeng Xiaomengさん(現在18歳)や他にも視覚に困難を抱えてる一方、音楽の才能に長けた人の話が記事中ではいくつも登場します。

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認知症につながる高齢者の難聴

認知症につながる高齢者の難聴

Hearing Loss Linked to Dementia in Older Adults という論文ニュースから。

70歳以上の2/3が難聴になっているアメリカアメリカでは70歳以上の3分の2が難聴に罹患しています。日本の場合も65歳以上の半分、1,500万人が難聴です(note:高齢者が騒がしい環境で言葉を聞き取れない理由)。

難聴の程度が大きい高齢者は認知症になる可能性が高いジョンズ

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赤ちゃんが胎内で「解像度の低い音」にさらされることのメリット

赤ちゃんが胎内で「解像度の低い音」にさらされることのメリット

MITの研究ニュース(Early sound exposure in the womb shapes the auditory system)から。

胎児が子宮内で浴びる音は、主に低周波子宮の中で胎児は、妊娠20週目ごろから音を聞き始めることができます。しかし、羊水や周辺組織の消音効果によって、胎児が浴びる音は低周波に限られます。つまり豊かで複雑な音を胎内で聞けるわけではありません。

入力の質

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赤ちゃんは生まれてから数時間で言葉の「音の違い」を識別できるようになる

赤ちゃんは生まれてから数時間で言葉の「音の違い」を識別できるようになる

Babies can learn language sounds in the first few hours of being born という論文ニュースから。大元の論文はNature Human Behaviourにあります。

生まれてから3時間以内という出生後間もない新生児に、通常の母音(自然母音)と通常の母音を逆から再生した「逆さ母音」を聞かせます。(記事では驚くことにとありますが)当

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高齢者が騒がしい環境で言葉を聞き取れない理由

高齢者が騒がしい環境で言葉を聞き取れない理由

When Elders Can’t Hear Words at a Noisy Holiday Gathering, Too Many Brain Cells May Be Firing at Once という論文ニュースから。

高齢者が騒音下で会話や音を聞き取りづらい原因には、脳の処理が関係していることを示したジョンズ・ホプキンス大学の研究。

65歳以上の約半数が難聴国立長寿医療研究センター

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聞くことは信じること。音は視覚を変えることができる

聞くことは信じること。音は視覚を変えることができる

Hearing is believing: Sounds can alter our visual perception という論文ニュースから。元論文はこちらにあります。

飛行機と鳥の要素が視覚的に混ざっている絵を見せた時に、同時に鳥の声をきかせると、例えば飛行機と鳥の要素がそれぞれ50%ずつで作られた画像に対しても、鳥であると知覚されることが分かりました。

そしてこれは画像(=視覚)と音(

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