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D諸和音の総括 一歩進んだ和声学 Part 14

今回は今まで登場したD(ドミナント)諸和音のまとめです。加えて補足事項を少し紹介しようと思います。

1 D諸和音の総括

ここで今まで出たVの和音をまとめます。

(i) Vの和音

Vの和音基本形、第1転回形、第2転回形の三つの形を持ちます。

それぞれの後続和音は
Vの和音→Iの和音、Iの和音第1転回形、VIの和音
Vの和音第1転回形→Iの和音
Vの和音第2転回形→Iの和音、Iの和音第1転回形

となります。

(ii) V7の和音

V7の和音基本形、第1転回形、第2転回形、第3転回形四つの形を持ちます。

それぞれの後続和音は
V7の和音→Iの和音、VIの和音
V7の和音第1転回形→Iの和音
V7の和音第2転回形→Iの和音、Iの和音第1転回形(ただし条件付き)
V7の和音第3転回形→Iの和音第1転回形

となります。

補足事項としてV7の和音第2転回形→Iの和音第1転回形の連結の時、以下の条件を満たせば第7音を2度上行することができます。

① 第3音高位の開離配分V7の和音第2転回形→根音高位の開離配分Iの和音第1転回形の時に第7音を2度上行可
根音高位の開離配分V7の和音第2転回形→第5音高位のOct配分Iの和音第1転回形の時に第7音を2度上行可

これはあくまで参考程度に捉えて頂いて構いません。

(iii) I2_V(7)の和音

Iの和音第2転回形とV(7)の和音はこれらを合わせて一つのドミナント和音として扱います。

後続和音は
Iの和音第2転回形+Vの和音→Iの和音、Iの和音第1転回形、VIの和音
Iの和音第2転回形とV(7)の和音→Iの和音、VIの和音

となります。

またIの和音第2転回形+V(7)の和音を用いる場合は先行和音は現段階ではS諸和音に限ります。

(iv) V7の和音根音省略形

V7の和音根音省略形第1低音位、第2低音位、第3低音位の三つの形を持ちます。

後続和音は
V7の和音根音省略形第1低音位→Iの和音
V7の和音根音省略形第2低音位→Iの和音、Iの和音第1転回形(条件付き)
V7の和音根音省略形第3低音位→Iの和音第1転回形

となります。

(v) V9の和音

V9の和音は4声体和声において第5音が常に省略されます。
そしてV9の和音基本形、V9の和音第1転回形、V9の和音第3転回形の三つ形があります。

後続和音は
V9の和音→Iの和音
V9の和音第1転回形→Iの和音
V9の和音第3転回形→Iの和音第1転回形

となります。

(vi) V9の和音根音省略形

V9の和音根音省略形第1低音位、第2低音位、第3低音位の三つの形を持ちます。

後続和音は
V9の和音根音省略形第1低音位→Iの和音
V9の和音根音省略形第2低音位→Iの和音第1転回形
V9の和音根音省略形第3低音位→Iの和音第1転回形

となります。

2 低音4度・低音2度の予備

第2転回形において第5音(バス)と根音との4度のことを低音4度といいます。
第3転回形において第7音(バス)と根音との2度のことを低音2度といいます。

低音4度・低音2度においてそれぞれをなす2音中、どちらか1音が先行和音から保留されることが望ましい。これをそれぞれ低音4度の予備、低音2度の予備といいます。

なので低音4度の予備・低音2度の予備ができない場合はV7の和音根音省略形第2低音位、V7の和音根音省略形第3低音位、V9の和音根音省略形第2低音位、V9の和音根音省略形第3低音位を用いると良いです。

3 終わりに

次回はこれらをふまえてバス課題を行いましょう。

よければ他の記事もご覧ください。

また作曲もしています。

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Ryo Sasaki
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