【WEEKLY留学記㉖】(4/1~4/7)
新年度が切りよく月曜日から始まるのは気持ちがいい。
和太鼓の話
今週水曜日、日本の玉川大学芸術学部の学生たちが「TAIKO&DANCE 2019」というツアーの一環として、ぼくの留学先であるStony Brook大学でパフォーマンスを披露してくれました。和太鼓サークルの顧問の先生に誘われ、ぼくもいい機会かなと思って観に行くことに。
男性陣の和太鼓と女性陣の踊りを交互に織り交ぜ、最後は46人全員が舞台に上がり、阿波踊りで締めくくるという、なんとも和って感じの構成でした。
写真は昨年のTAIKO&DANCE公演から
和太鼓の方は、力強いながら繊細なところに気を配ってるところがあって、例えば、曲によって立ち方を変えてたし、表情や掛け声で場に合わせた雰囲気を作ってるのがこっちまで伝わりました。
踊りはむしろ対照的って言ってもいいかもしれない。繊細で優美な立ち振る舞いだけど、すごく”芯”みたいなものを感じました。きっとめちゃくちゃ体幹を使ってると思う。お疲れ様です。
とにかく、その繊細さも力強さも、めちゃくちゃ練習に練習を重ねないと生まれないと思うし、それを実感させるようなパフォーマンスでした。と、いち素人が言葉を並べても伝わらないと思うので、今度機会があればぜひ観にいってほしいです。
彼・彼女らはこのStony Brook公演を皮切りに、4月中旬までほぼ連日の公演を予定していて、これからボストン、フィラデルフィア、ワシントンD.Cを回っていきます。来週末の4月13日には、東京がワシントンに3000本の桜木を寄贈したことを記念する「桜まつり」のパレードにてもパフォーマンスを披露するようです。このツアーは毎年やり続けて、今年で16周年というのもまたすごい。届くか分からないけどほんとに頑張ってほしい。
また、アメリカ人の目からすれば、歴史を感じさせる異国の舞台パフォーマンスには新鮮な物が見えるはずです。そういう意味でここは地球の中で、いろんな国の文化が溶け合いやすい最適な場所なんだなと最近よく感じます。トランプが大統領になってから、そうではなくなってきてるとよく言われますが。
今週は和太鼓によく関わった一週間だったかもしれない。
サークルの週二回の練習に、水曜日に玉川大学のパフォーマンスを鑑賞した翌日は、アメリカンチャイニーズが主催するイベントに僕らのサークルがパフォーマンスを披露しました。週四日は直接関わっていることになる。
何かに関われば関わるほど、そのことに対して考える時間が増えるので、どんどん好きになっていく、というのはどんなことにも当てはまると思っていて、実際僕は今和太鼓を好きになっている。いい事だなと思います。和太鼓に出会った去年の夏を振り返れば、まだお客様気分で、好奇心半分に練習に行っていたので。
今は恥ずかしいなと思うことだけど、和太鼓を練習して披露する立場になったにも関わらず、一流の和太鼓パフォーマーの舞台を観たのは、今回が初めてかもしれないです。小学校の芸術鑑賞や地元の夏祭りで和太鼓を叩いてるのを見たことあるけど、なんかの思いを持ってじっくり見たわけではないので、あんまり印象にも残っていません。上手くなりたいと思う少年野球ボーイが、プロの野球選手の試合一回も見たことないですってのは少し寂しいですよね。
音楽のバックグラウンドが皆無のそんな僕でも、触れてるうちに少しずつ知識が増えてくる。和太鼓の話で、おもしろいなと思うのは、”今日のようなスタイルの”和太鼓の歴史ってせいぜい70年しかなくて、小口大八という一人の長野県出身の奏者がアメリカで広めたということです。
もともと和太鼓は、一般的に歌舞伎や雅楽で伴奏として使われるぐらいで、和太鼓オンリーで表舞台に出ることはほとんどなかったみたいです。一方で、今の長野県で生まれた御諏訪太鼓というのは戦国時代に戦場でコミュニケーションツールとして使われていたらしく、楽曲要素もあったとさ。でもいつの間にか廃れてしまったみたい。それを戦後になって、小口大八さんが譜面を解読し、復活させたというのが、今日の主役として舞台に立つ和太鼓です。
ゲーセンに立ち並ぶナムコの「太鼓の達人」の起源も、武田信玄と小口大八の二人を避けては遡れないですね。
留学先のニューヨークで、和太鼓の文化や歴史に触れるのはなんとも不思議な体験です。二週間後にはサークルとしての集大成である舞台があるので、最近は練習時間も長めです。うまく行くことを祈ってください。
最後に
今日の話で、阿波踊り、歌舞伎、雅楽が出てきましたが、後の二つはユネスコ無形文化遺産のようです。
・能楽 2008年(登録年)
・人形浄瑠璃文楽 2008年
・歌舞伎(伝統的な演技演出様式によって上演される歌舞伎) 2008年
・雅楽 2009年
・小千谷縮(おぢやちぢみ)・越後上布(えちごじょうふ)@新潟 2009年
・奥能登(おくのと)のあえのこと @石川 2009年
・早池峰神楽(はやちねかぐら)@岩手 2009年
・秋保(あきう)の田植踊 @宮城 2009年
・チャッキラコ @神奈川 2009年
・大日堂舞楽(だいにちどうぶがく )@秋田 2009年
・題目立(だいもくたて )@奈良 2009年
・アイヌ古式舞踊 @北海道 2009年
・組踊 2010年
・結城紬(ゆうきつむぎ)@茨城・栃木 2010年
・壬生の花田植(みぶのはなたうえ)@広島 2011年
・佐陀神能(さだしんのう)@島根 2011年
・那智の田楽 @和歌山 2012年
・和食;日本人の伝統的な食文化 2013年
・和紙;日本の手漉和紙技術 2014年
・山・鉾・屋台行事 (日本各地計33件)2016年
・来訪神:仮面・仮装の神々 2018年
現時点で二十一個の日本の無形文化遺産が登録されていますが、その半分以上を内容どころか僕は読み方も知りませんでした。日本文化を少し知った気になるのにもまだまだ遠い道のりがかかりそうです。
日本に帰ってから、訪れてみたい場所がいっぱい。。。
君に幸あれ!!!