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SIerから事業会社に転職して感じたこと

この記事は?

 SIerや下請けで勤務していた元SEが、事業会社に転職して感じたことを少し書いてみました。事業会社の仕事に興味がある方や転職を考えている、かつての自分と同じ悩みを持つ方にとって少しでも参考になればと思います。



私の経歴

 大手SIerの下請けでプログラミングやスクラムマスターを担当した後、大手SIerに転職してPLやPMOを歴任。現在はある決済サービスの店舗・社内向けシステムのプロダクトマネジメントを担当しています。

転職してよかったこと

① プロダクトマネジメントという仕事を通じて視野が広がった

 転職して得られた気付きの中で一番大きかったことは、プロダクトマネジメントを通じて特に顧客価値に目を向けることができるようになり、視野と同時に自分自身の伸びしろにも気が付くことができました。

 SIでプロジェクトマネジメントをしていた頃はプロジェクトを完了させることを第一のミッションに考えて推進をしていましたが、事業会社でプロダクトマネジメントをするようになると顧客思考やプロダクトの価値も考えることができるようになりました。

 要望元のビジネス部門から言われたものをどのように作るか、という課題解決に意識が向きがちでしたが、「それは顧客にとってどううれしいのか?」、「なぜ今やらなければならないのか?」という課題定義に意識が向くようになりました。何を解決すべきかを、ビジネス・ユーザー体験・テクノロジーのバランスを取りながら課題設定できる立場になることで、各領域にも目を向けるようになり、一気に視野が広がりました。

 視野が広がった分「自分全然できてないな・・・」と自分がいかに勉強不足だったのかも痛感しますが、伸びしろが増えたとポジティブに考えられる人ならきっと活躍できると私は思います。

② 大きな意思決定をする場面が増えた

 SIにいた頃から感じていましたが、事業会社のPM(プロジェクトマネージャー)ともなると、プロジェクト全体に影響する大きな意思決定をする機会が多々発生します。

 例えば、機能追加が必要な変更要件がプロジェクト終盤で発生した場合、SIにいた頃はどちらかというと提案ベースで「案①要件を追加すればコスト・スケジュールに影響する。」「案②プロジェクトの進行を優先して変更要件を取り下げ、運用で回避」といった提案がメインでしたが、事業会社はそれを判断することになり、結構しびれます。

 このような大きな判断から日々の小さな判断まで、様々な判断を求められます。時と場合によって戦略が変わるようなチグハグな回答をしないよう、判断軸や価値観を持つ(顧客第一。嘘つかない)ことや、疲れてるときは判断しないなど自分なりの判断に関する決め事を持っておくことをお勧めします。

③ 自社オフィスで働くことができ、客先常駐のストレスから解放された

 事業会社に転職する前は何とも思っていなかったのですが、いざ自社オフィスで働いてみると非常に快適です。
 特にSIでリーダーポジションになってからは客先で採用面談や人事評価、自社向けへの報告資料作成など、自社業務が非常に多く多少ストレスになっていたので、それから解放されたのはとても大きいです。

(番外編①)転職して想定外だったこと

当然転職して感じたのは良かったことだけではありません。想定外だった事も少し記載します(悪かった事ではなく、想定外だった事です)

  • SIerに勤めてた頃より技術トレンドのキャッチアップが必要になった

    • 私にとっては良かったことに書いても良いのですが、いろんなソリューションやトレンドをキャッチアップしておかないと、間違いなくSIにいた頃から引き出しが更新されなくなります。

    • SIで勤務されてた方なら新たに勉強しなくても仕事は何とかなり、事業会社ではITができる方になってしまう可能性もあるので、注意しないとなと思います。

  • Noと言ってくれる人が自分の周りに少なくなった

    • 自分がクライアントとして扱いを受けるようになり、周りも気を使って、自分の意見にNoを突き付ける人が少なくなってきてしまうことに気が付きました。

    • 自分にNoと言ってくれる人は貴重ですので、Noと言える文化を醸造するか、Noと言ってくれる人を近くに置くようにするようにしましょう。

  • 事務仕事が多い

    • どうしても事務作業は増えた印象です。

    • SIerにいた頃はアサインできる要員探しで疲弊していましたが、今は契約手続きや検収などの慣れない事務手続きで疲弊していますので、どこにいってもやりたくない仕事が多少あることは覚悟した方がよいと思います。

(番外編②)転職したからこそ気が付くSIerに勤めて良かった事

最後に転職したからこそ気が付く、SIに勤めていた頃の良かったことも書いておきます。

  • 色んな業界、会社の業務に携われる

    • これは大きいです。事業会社に勤めると特定事業には詳しくなるかもしれませんが、SIだと金融系といっても銀行・クレカ・保険など様々な業界の会社で仕事ができるので、幅広い業界の知識を習得できるという点においてはSIは良かったと感じます

  • プログラミングは楽しかった

    • SIerに勤める人でプログラミングが嫌いな人はレアだと思いますが、やはりモノ作りは楽しいです。

    • 私のように早くからマネジメントを経験するとSIerのエンジニアにしては技術力が低いというレッテルを貼られる(実際低いけど)こともあるので、心からプログラミングがしたい人は自分からスペシャリストになりたいという意志を示していきましょう。

  • クライアントから直接感謝を言ってもらえる

    • SIerならでは。というわけではないと思いますが、大体の大型プロジェクトは何か問題が起きます。そんなプロジェクトをやり遂げた時ほど、クライアントから言われる感謝の言葉が嬉しかったなと今になって思います。

最後に

 転職はリスクやデメリットもあると思いますが、転職して得られる事も多いと思います。転職に失敗したとしても失敗したことが勉強になりますし、失敗を糧にNoteに記事投稿すれば良い経験も積めると思います。

 今回の記事ではSIerから事業会社に転職したいけど勇気がないという人に向けて書いたので、事業会社に転職して良かったことをメインにポジティブな記事にしました。少しでも参考になれば幸いです。

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