単なるビジネス相手? それとも「下請」? 建設業界の取引関係
建設の元請、下請について、その構造についてよく聞かれることがあるんですよね。実は、法令もあり、しっかりとした構造なのです。危険も伴うからこそ。単純なビジネス関係ではないんです。そんな話。
役割分担がしっかりあるんです
まず、基本の話。建設(建築・土木)業界において、元請、下請、孫請の構造があります。これは「役割分担」構造なんですね。一般の会社では、部長、課長、主任の役割があるように、建築では、それらの業務を、あたかも会社外部にて役割を振っている傾向があります。
その原因としては、
60以上ある専門職種の組み合わせであるからこそ、全ての職種を一つの会社で雇用できない、育成できない(だって、職人の育成は何年もかかるじゃん)なので、手分けしているんですよね。
現場をまとめる営業的な人員、工事の計画と遂行を任される人員、実際の作業をこなす人員、場合によっては、作業人員を集めて采配、まとめる人員などなど、役割はたくさん。
これらを一つの会社で担うのではなく、元請、下請などで分担しているわけなんです。
もちろん、なかには、単純に間に割り込んで、役割が薄いのにしっかりとマージンだけをとるような会社もいますが、基本的には、「建築業法」に従って、役割分担とその責務のルール化がされているんですね。
単なる「ビジネス相手」という認識では、建設業は務まらない
他業界出身の経営者で、リフォーム会社などを始めてしまった経営者さんとのやりとりの中で、私がよく困ることは、
「安全に関する意識の低さ」や「建設業法に関する知識の無さ」、「職人の技術習得には時間と労力がかかってきていること」です。
建設業に限ってではないのですが(自動車業界でも、IT業界でも同じような構造があると思います)、工事現場では、さまざまな会社の人員で構成された部隊により、業務を遂行しています。
なので、各々「単なるビジネス相手」という認識ではないんです。
その証として、特に安全に関することにおいては、元請が下請を教育する義務も課せられています。
技術的な指導においても、元請けと下請けで協力していく必要も多々あります。
なので、まさしく、単なるビジネス相手ではないんです。
こういったことを理解した元請でないと、「現場」の人間関係、オペレーショーンは崩れてしまいます。
やはり、こういったことの認識をしっかりと伝えていくこと、広めていくことが、良い工事、良い人員の育成につながる、そんな風に思います。
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