5月13日(月)『中野ブロードウェイダンジョン』
先日、中野ブロードウェイに行ってきた。
同期に誘われたのだが、中野ブロードウェイなんて長崎の田舎者が知るわけないので、最初は美術館とか博物館かなんかだと思ってた。
行くことが決まり、すこしでも情報を得てようとして調べたらまったく想像と違い自分の田舎者ゲージが再びカンストした。
いろんなお店が連なるショッピングセンターで、〇〇館と呼ぶには属性が違いすぎた。
高円寺から中野までは徒歩圏内なので30分歩いて向かう。
歩いてる途中に今日の目当てを尋ねると食べたいクレープがあるとのことだった。
いやクレープて。
30分歩いてクレープて。なんなら途中でクレープ屋さんもあったのに、そこのクレープ屋さんがいいらしい。クレープにもいろいろあるのだろうかと思いながら話を聞いてると、聞きたくない言葉が聞こえてしまった。
あ!お金忘れた!
意味わからない。
何が起きたのかもわかっていない。
こいつが行きたいからと誘ってきたのに当の本人がお金を忘れてくるという失態。やる気がなさすぎる。クレープ代はもってきたらしいが、それしかなかった。どれだけクレープは食べたいのか。逆にクレープにしか目がなかった。
そこから引き返すことも距離的に面倒くさかったため仕方なしにお金は貸すことにして強行突破。全然解散でも良かったが、中野ブロードウェイという場所への興味が沸々と上昇していたためその選択肢はなくなった。
それからまた歩いて中野ブロードウェイについたのだが、入り口が特殊だった。商業施設のようなドアとかがあるわけでなく、真っ直ぐ歩けるようになっており、いつの間にか施設内にいるみたいな感じ。秘密道具の中にいるみたいだった。
一階には洋服や装飾品などが多くぼくには縁のない場所だったが、二階に上がると目の色が変わった。
漫画のグッズや、フィギュア、海外のキャラクターのグッズなんかも陳列されていた。
その中でも特に心躍ったのがキン肉マンのゾーン。
時代としては一つ上の世代のものなのだがぼくも好んで漫画を読んでいるのだが、そのキン肉マングッズが多く並んでいた。キン消しが並べられていたり、キン肉マンのフィギュアがあったり、デカい悪魔将軍がいたりと、ショウケースの中が宝の山。
いろんな超人たちがいたのだが、やっぱり悪魔将軍はひと味違った。輝きと存在が違った。個人的にキン肉マンの中で結構上位で好きなキャラだからそう映っただけの可能性はあるが、それを引いてみても1番目立っていた。
キン肉スグルなんて主人公のくせに全然いなかった。ちょっとリアルだった。
キン肉マンゾーンに感動しながら値札をチラッと見たら3万円は平気でする。それくらいのクオリティとカッコ良さ。普通に買いたかった。欲しかった。ちょっと頑張れば買えるその値段に何度も心が揺らいだ。
でも買ってはいけない。買えないではなく買ってはいけない。
まだ芸人の見習いとしてチョロチョロしてるのに、そんな奴が3万円以上する悪魔将軍を自分の棚に降臨させていいわけない。釣り合わない。今のレベルでおけるとしたらカニベースくらいだろう。スカイマンもワンチャン。
だからぼくは決意した。
いつか売れてバイトを辞めれた時にこのデカくてカッコいい悪魔将軍を買おうと。
そう意気込みながらも、そのお店を後にして、また別のお店に入る。
また漫画のキャラクターのフィギュアが陳列されている。キン肉マンはいなかったけど、有名な漫画のキャラクターはほぼ揃っていた。そこでは購買意欲はそそられなかったが、そのクオリティに息が漏れる。
またそのお店を後にして、また別のお店に入る。またそこにはさっきと同じようなモノが並べられている。
また別の店に入ると、また同じモノ。
ずっと同じような店をループしている。
店の数は多いし、ずっとおんなじ店にいるわけでもなくちゃんと進んでいるんだが、ずっとほぼ同じ中身。信じられないくらいおんなじ景色。
じゃあもうでっかい1つのお店でいいのに、めちゃくちゃ区切られている。途中普通に迷う。
この店来たっけ?
でも、これ置いてなかったはず。
あ、本当だ。ちょっと入ってみよう。
あれ、これどっちから来たっけ?
そんなかんなで同じような店を10件くらい見て周り、やっと上に続く階段を見つけた。フィギュアゾーンからの脱出。3階にはどんなものが陳列されているのだろうか。
3階に上がる。
フィギュアがずらりと並んでた。
まさかの3階も2階と同じような構図だった。
ありえない。
1階は全然違ったのに、2階と3階は同じ。
もういよいよ意味がわからない。
そんなに漫画のキャラクターのフィギュアは需要があるのだろうか。
確かに悪魔将軍のフィギュアを欲しくなった自分はいるが、それでも自分の購買意欲なんて高が知れている。もしかしたら一つ購入すると、リミッターがぶち破られたかのように買いまくるのだろうか。そんなんやってみなきゃわからない。
東京には人が多いから、数でその需要を補っているのかもしれない。
いや、でもだろ。
そんなわけない。
需要と供給のバランスが崩壊している。有り余る供給にちっぽけな需要しかない。完全崩壊している。でも、潰れてないと考えるとそのバランスは均衡しているってことなのか。いやいやまさかね。そんなわけない。
そう考えながらもすぐ階段を降りて、同期お目当てのクレープ屋に向かう。
美味しそうなクレープだった。
ちなみに、途中キン肉マン消しゴムの金銀メッキバージョンのガチャガチャを見つけた。
長崎にいる時からお気に入りだったガチャガチャで東京に来て初めて見つけた。
しかもレパートリーに悪魔将軍がいた。悪魔将軍とアシュラマンとサタンクロス、さらにはキン肉マンもいた。これと言って豪華すぎる面々。6種類の中で4種類が当たりという勝ち組ガチャ。引かないわけにもいかない。
ただ、スニゲーターというワニとスニーカーの合体させたスーパーモブ超人の姿もあった。こいつがいらなすぎる。コイツをこのラインナップに入れようと言い出した人はキン肉マンをもう6回くらいは見直してほしい。
そして500円を入れて回す。
ザ・サムライが出た。
誰?
だ、だ、だ、だ、誰?
まじで当たりでもなくハズレでもない奴が当たった。
でも、棚に飾られている。
そして中野ブロードウェイを後にして、また別の同期と合流して帰路に立つ。
どんどん離れていくその様は難解なダンジョンを攻略して帰路に立つ勇者みたいだった。
キン肉マンをまた読み直したくなったそんなある日。