6月23日(金)『丸齧りは男の浪漫』

今日お昼ご飯を研究室の先輩とスーパーに買いに行った。

揚げ物とか丼とか麺とかの気分じゃなくて、何にしようか悩んでいる時にお魚コーナーが目に留まった。

居酒屋の倅ということで、両親にスーパーの魚を食すことを抑制されていたぼくであるが、もうその時には魚の口になってしまっていたので、小さな反抗をして魚にすることを決めた。

鉄火丼、サーモン丼、海鮮丼、巻き寿司などなど。

いろいろありすぎたのだが、その中で8種類くらいある寿司を選んだ。普通に美味しそうだったし、パッケージに魚屋さんが握ったみたいな文言があって、これは信頼できそうだと。

先輩もアジの寿司を買ってた。

今日は魚パーティーだ!と思い、スーパーの寿司がどれほどのものかと監査も兼ねて、楽しみにしていたが、先輩が口を開く。

「フルーツ食いたい」

気持ちはわかる。フルーツというものはたまに無性に食べたくなるものだ。嫌いな人はいないし、みんな好きなんだけど、しょっちゅうはいらない。たまに食うから美味い。それがフルーツ。

ぼくは毎晩風呂上がりに、バナナとブルーベリーと蜂蜜と牛乳をミキサーにかけたものを飲んでるから、フルーツとは身近だったけど、フルーツをそのまま食べることは最近なかったから便乗することに。

フルーツコーナーに行くと果物がたくさん。

フルーツがそのまま売ってあるのと、細かく切られてパックに入れられて売られているものと、いろいろあったけど、ぼくらが心を奪われたのは林檎。まるまるした林檎。林檎なんか久しく食ってない。そして思う。

『林檎を丸齧りしたいな』

誰しもが一度は憧れたことある林檎の丸齧り。ぼくも幼き頃に一度二度とやったくらいで、大学生になった今でも丸噛りという浪漫に心を揺さぶられた。

いろんな種類もあったけど、ぼくは「王林」先輩は「ふじ」を追加で購入。

研究室に戻ってまずは寿司を嗜む。

これがびっくりで全然美味しい。イカ、マグロ、タイ、サーモン、アナゴなどいろいろあったけど全部美味しかった。スーパーも捨てたもんじゃないなと。多少なめていた節を反省した。

寿司を平らげたら、いよいよ大本命。

軽く洗って齧り付く。

シャリ。

美味い!

林檎ってこんなに美味しかったのか!?

そんなことを思うくらい齧った林檎は美味しかった。おそらく丸齧りという行為に味のバフがかかっていたと思う。歯がやられそうになることも時たまあったけど、それでもシャリシャリ、シャリシャリ、シャリシャリと。

「どうしようお腹いっぱいだ」

林檎の半分くらいを齧った時、突如満腹感に襲われた。普通にお腹いっぱい。もういらない。でもまだ半分ある。ナマモノだし食べてしまわないと。でもしんどい。

林檎の丸齧りなんてめちゃんこ久しぶりだから、その分量を見誤ってた。普通に林檎1つの容量がデカ過ぎる。

先に言ってよ〜。おれ丸々食うと結構お腹いっぱいなりますよ〜って言ってよ〜。言ってくれると寿司食べなかったのに〜。それか林檎食べなかったのに〜。

ヒーヒー言いながらもどうにか食べ切り、林檎の芯を綺麗に取り出せた。

結果として寿司と林檎は美味しかったけど、まじでどっちがだけで良かった。林檎は1つで充分。

林檎の丸齧りには男の浪漫が詰まっている。


林檎を握力で潰してみたいなと思うそんなある日。

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