都内社会人男のぼやき#4「海を見に行こう」
前々から、自分の中でモヤモヤしていることがあった。
iPhoneで撮影できる写真の限界についてだ。例えばとても美しい光景を目にした時、その瞬間を感動をカメラに抑えておきたい気持ちがある。
しかし、撮影された写真を見てもどうもしっくりこない。
iPhoneで撮影された写真は、自分の眼で見ている景色と同じ景色だけど、決定的に感動に欠けるものだった。
また近頃、幻想的で美しい星空を自分の手で撮影した写真で見てみたい気持ちが大きくなっている。それは、「銀河鉄道の夜」「星旅少年」「君は放課後インソムニア」といった夜空や星空を主題とした作品群に果てしない魅力を感じていたからである。
しかし、iPhoneでは無理なのである。限界がある。
そこで遂に購入しました。「一眼レフカメラ」を!
これで星空撮影に一歩近づいた。ただ現在の僕の撮影技術では、星空撮影までには当分時間がかかりそうだった。
だからまずは海でも撮るか!と思い、僕は早速先週の休日を利用して、カメラを片手に神奈川県の三浦海岸に足を伸ばした。
2時間かけて電車を3回の乗り換えして、お昼過ぎに三浦海岸に到着。海が見渡せるマクドナルドがあったため寄ることにした。出かけた先では、なぜかマクドナルドが食べたくなる。
知らない風景見ながら、ついついハンバーガー食べたくなっちゃうんですよね。
マクドナルドで海を見ながら一息ついた後、迷わず浜辺の方へ向かった。
僕はドキドキしながら、カメラを起動させ、レンズを覗き込む。そして、シャッターを押す。
撮影の設定は、カメラの教則本と自分で何度か試し撮りしながら徐々に覚えていく。
撮影された写真には、広大な海と奥にうっすらと山が見える。
海岸に訪れている人たちは、それぞれの過ごし方で海を満喫していた。
海水浴をしている人。サーフボードを片手に担いでいる人。釣りをしている人。海パン一丁で日光浴をしている人。浜辺で友人とはしゃいでいる人。
どの人も共通していることは、もれなく全員「楽しそう」で「開放的」だった。
海には、人をその方向に導く力がある。
自然の偉大さを感じる。
そして、僕はその姿を見てつい頬が緩む。
迷わずシャッターを切る。
海に来たなら、それに合わせた音楽も忘れてはいけない。
スピッツ、山下達郎、定番の夏ソングを聴きながら海沿いを歩く。
なんて贅沢な時間なんだろう。
僕はそのシチュエーションに感動しすぎて、思わず涙が出てきそうだった。
暑さと歩きで疲れてしまった身体を休めるため、海風を浴びながら堤防の淵に腰を下ろす。
音楽を聴きながら、海をただひたすらぼーっと眺めていた。
気づけば、時間は2時間経過していた。
海を眺めながら、ふと考えていた。
こういうことなんだろうな。
こういう自分の心を動かしてくれて、癒される時間や景色を見つけ出していくことが自分にとっては大切なんだろうな。
きっとそういうことなんだろうな。
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[playing]
スピッツ - 海を見に行こう
どうせなら、夕方の海も撮影していこう!と思い、日が暮れるまで三浦海岸の駅前にある「ぽえむ」という喫茶店に寄った。
最近、「女神のカフェテラス」というアニメを観ている。
「ぽえむ」は、その物語に登場する喫茶店のモデルの店だった。
作中には、「かぼちゃのチーズケーキ」が登場するのだが、「ぽえむ」にも同様のメニューが存在しており、迷わず注文した。
かぼちゃの風味が濃厚でとても美味しかった。
日が傾き始めていたので、海に戻り撮影再開。
夕方の海は、昼間とは様相を呈しており、少し寂しさを孕んでいた。
自然はすぐに表情を変える。
夕方の海には、夕方の海のための曲がある。
galileo galileiやoasisを聴きながら浸る。
[playing]
oasis - champagne supernova
音楽を聴くのをやめ、目を閉じながら波の音に耳をすませる。
耳から受け取った音の中に広がる世界には確かに、現実にはない時間の流れと景色が広がっていた。
帰るのが惜しかった。
ずっと眺めていたい。波の音に身を委ねたい。
だけど、もう帰る時間。サラバ!
寂しいけど、いいんだ。僕はその日海を見て「気づいた」から。
p.s.
三浦海岸では、海鮮丼を食べるためのお金を出すのを惜しんでしまったため、帰りにSEIYUに寄って刺身を買って帰りました。